担当者 | 河内 正治 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [スポーツ医療学科] | |
科目ナンバリング | HPH-103 |
本講義は、医療行為のみならず社会生活の基盤のひとつである、感染症と安全管理に焦点を当てて医療系キャンパスから医療共通教育研究センターとして発信するものである。講義はオムニバス形式で、基本的に各々一回の講義で完結して時間内に小テストを実施する形式とする。第一部では「感染症との戦い」とのサブタイトルで、消毒や麻酔の歴史を振り返って、安全に手術ができるようになるには様々な努力が行われてきたこと、その上で、微生物と人類が抗生物質という武器を手に入れてどのように戦い、比較的短期間で大きな飛躍を遂げたことを知り、しかしながらその限界が耐性菌という形で現在迫ってきていることを理解する。また次の3コマを使って、ウイルス学の基礎知識からウイルスが原因となって生じる疾患を知り、ウイルスの治療薬についても知識を得る。さらに、現在流行中のCOVID-19だけがウイルス疾患ではなく、他にも人類にとって大きな脅威となっている発熱性の伝染性ウイルス疾患があることを知る。第二部は「安全とヒューマンエラー」の話で、ヒューマンエラーとは何か、あるいは医療事故とは何か、といった総論から、有人宇宙開発から学ぶ安全管理、放射性同位元素等規制法、カルタヘナ法から学ぶ安全管理といった各論、また健康リスクや、公衆衛生学分野におけるリスクコミュニケーションについても各分野の専門家が話をする。
1)講義はオムニバス形式で、基本的に各々一回の講義で完結して時間内に小テストを実施する形式とするため、各々の講義における小テストの正答率が80%以上であることを主到達目標とする。小テストは講義時間内に終了できるように配慮される。
2)具体的には、第一部の「感染症との戦い」では、人類が安全に病気と戦えるようになってからまだ100年余りしか経過していないこと、さらに微生物との戦いがいかに人類にとって大きな課題であるかを理解し、このCOVID-19流行が感染症の一つの側面と捉えられるような感染症に対する幅広い知識を身につけることが到達目標である。第二部「安全とヒューマンエラー」では、人間は様々なエラーを生じる可能性を持っていること、そのことで医療事故等が生じてこれに対する社会の仕組みや法律の整備がなされていることを知る。さらに特殊な分野では独自の安全管理方法を開拓して医療分野で応用していることや、リスクの意味やリスクコミュニケーション、健康リスクについても理解することを目標とする。
COVID-19蔓延下を踏まえて、オンデマンドのオムニバス形式の講義及び小テストを基本とし、受講学生はそれぞれLMSを利用して受講する。オムニバス形式のため、講義ごとに小テストを実施し、その小テストは講義時間(90分)以内に受講可能なように、実際の講義時間を調整する。目安としては、音声入りスライド等を用いたオンデマンド講義60分、LMSを用いた小テスト実施時間30分である。
1) 講義を受講する前に、関連する基礎医学各科目の内容を復習し確認しておくことが望ましい。その上で教科書や参考書、講義資料を熟読し、理解できるところ・できない所を明らかにしておくこと。
2) 各講義で、それぞれの講義内容・項目の理解する上で基本となる知識や問題を解説する。小テストの解答は講義内容を理解していれば可能なレベルとする。
受講状況の確認はLMS上の各講義ごとの小テストの実施をもって行う。
①学期中のレポート提出(第一部、第二部において最も興味を持った講義にフォーカスしてレポートをA4一枚で提出)、学期途中を提出期限とする。
②講義への積極的参加と小テストの成績。
以上のことを勘案して評価を行う。 評価のウェイトは①が40%、②が60%とする。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 外科医の世紀 近代医学のあけぼの | Jürgen Thorward著,小川道雄訳 | ヘルス出版、2007年 |
参考文献 | To Err is Human -Building a Safer Health System | Linda T. Kohn, Janet M. Corrigan, and Molla S. Donaldson, editors | National Academy Press, USA, 2000年 |
【事前学修】
本科目の目標達成のため、基礎医学各科目の重要事項をもう一度確認するとともに、講義前にシラバスおよび教科書の関連個所を熟読しておくこと。
【事後学修】
講義で習った内容を自宅で復習すること。
【必要時間】
1回の授業に対して予習・復習がそれぞれ30分程度必要である。
講義はオンデマンド配信のオムニバス形式で、基本的に各々一回の講義で完結して時間内に小テストを実施する形式とするため、各々の講義における小テストを必ず行わなければ出席とみなされないので注意すること。小テストは講義時間内に終了できるように配慮される。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 第一部「感染症との戦い」1. 全身麻酔薬の発見 痛みをコントロールする方法を見つけた。麻酔薬を発見して外科手術が発展した。しかし、痛みの制御だけでは手術は安全で科学的なものにはまだ至らなかった。 (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 教授 河内正治) |
第2回 | 第一部「感染症との戦い」2. 消毒の概念を手に入れた 19世紀に入って人類は消毒の概念を発見した。創部を消毒して(微生物による感染を)手術後の感染症による死亡を防ぐことが判明したが、まだ微生物の概念は確立していない時代であり、世の中に受け入れられるには、先人たちの多大な犠牲が必要であった。 (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 教授 河内正治) |
第3回 | 第一部「感染症との戦い」3. 微生物との戦い 1.歴史ー微生物の発見。微生物発見はなされたが、その存在が一般的になるにはまだまだ年月を要した。 (薬学部 薬物治療学 准教授 宮田 佳樹) |
第4回 | 第一部「感染症との戦い」4. 微生物との戦い 2. 歴史ー武器を人間は手に入れた−抗生物質の発見。微生物及びそれがもたらす疾患に対して、有効な治療薬が開発された。 (薬学部 薬物治療学 准教授 宮田 佳樹) |
第5回 | 第一部「感染症との戦い」5. 耐性菌の出現−1.耐性菌とはどのようなもの? (医学部 微生物学 教授 吉野 友祐) |
第6回 | 第一部「感染症との戦い」6. 耐性菌の出現−2.人類は耐性菌で滅びる? (医学部 微生物学 講師 西田 智) |
第7回 | 第一部「感染症との戦い」7. ウイルスと細胞 (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 准教授 鈴木 章一) |
第8回 | 第一部「感染症との戦い」8. 抗ウイルス薬とは? (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 講師 菅又 龍一) |
第9回 | 第一部「感染症との戦い」9. 発熱を起こすウイルス性疾患 SARS-CoV2がパンデミックを引き起こし現在その渦中であるが、怖いのはCOVID-19だけではなく、COVID-19以外の発熱を伴う怖いウイルス疾患について学ぶ。 (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 教授 河内 正治) |
第10回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」1. 医療安全とヒューマンエラー概論 (医療共通教育研究センター/アジア国際感染症制御研究所 教授 河内 正治) |
第11回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」2. 医療事故とはなんだろう? (医療共通教育研究センター 教授 大滝 恭弘) |
第12回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」3. 有人宇宙開発から学ぶ安全管理 有人宇宙活動において問題となる点を理解し、宇宙飛行士が安全かつ健康に活動するためのシステム作りについて考察する。 (医療共通教育研究センター 講師 山崎 丘) |
第13回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」4. 放射性同位元素等規制法、カルタヘナ法から学ぶ安全管理 放射線防護、遺伝子組換え生物等の拡散防止について学ぶ。 (医療共通教育研究センター 講師 山崎 丘) |
第14回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」5. 身の回りの健康リスクを見積もってみよう。 (公衆衛生学研究科 講師 津田 洋子) |
第15回 | 第二部「安全とヒューマンエラー」6. リスクコミュニケーション~公衆衛生学分野~ (公衆衛生学研究科 講師 津田 洋子) |