手話コミュニケーション入門Ⅰ
担当者松本 弘
単位・開講先選択  2単位 [自己啓発支援科目]
科目ナンバリングSNE-101

授業の概要(ねらい)

 聴覚障害者の言語である手話は現在さまざまな場面で目に触れる様になってきている。昨今は政見、会見放送などでの手話通訳の役割も多く目にするようになってきた。手話の表現に触れ、その表現の豊かさに魅力を感じる人も多く、各地で手話サークルの活動は盛んになっており、手話を学ぶテレビ番組も継続して放映されている。
 手話を学んで聴覚障害者の方々との交流を図ることは今後の共生社会を担うものの一つの役割でもある。手話を学ぶことは自分を拓いて表現し、相手に寄り添い理解することが必要となる。そしてそれは手話を活用する力だけでなく、今後さまざまな場面で必要となるコミュニケーションの能力そのものを高めることになる。
 この授業では、手話の入門学習として、手話にて日常の簡単な会話ができるようにビデオ教材等を多彩に使い、初歩の手話技能を身に付けるようにしていく。
 また手話を通して、聴覚障害者の種々の社会的問題にも触れて、聴覚障害者への理解が進み、本学に在学する聴覚障害学生への支援に加われるようにしていきたい。

授業の到達目標

 ①聴覚障害者の表現する簡単な手話が理解でき、挨拶、自己紹介など簡単な日常会話を手話で話せるようになる。
 ②手話を通して聴覚障害そのものや、その教育の実際についても理解を得る。
 ③社会に生きる聴覚障害者の暮らしを知り、理解を持つことで共生意識を持って支援に係ろうとすることができる。

成績評価の方法および基準

 学習内容の評価配分は手話技能70%、聴覚障害理解30%とし、評価する方法として、講義の区切りに行うミニテスト30%、期末テスト70%の割合で評価する。
 出席10回未満の学生は単位認定しない。やむを得ない事情以外は遅刻、早退を認めない(出席に数えない。)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキスト『手話を学ぼう、手話で話そう』、前半の入門編を使用する全国手話研修センター
参考文献みんなの手話等、手話関連本 (授業時に紹介)NHK出版、他

準備学修の内容

 ①予習として、毎回シラバスで示された内容に該当するテキストとテキストに付属のDVDを視聴しておくこと。
 ②毎回の授業で習った手話表現についてビデオ等をみて、再現できるように確実に復習すること。
 ③テレビでの手話ニュース(NHK手話ニュース845等)や聴覚障害や手話についての番組(NHKろうを生きる難聴を生きる)を積極的に視聴すること。

その他履修上の注意事項

 これまで手話を学んだことのない学生を対象としている。初級以上になりたいと考える学生は続けて手話コミュニケーション入門Ⅱを学んで、その後は応用へと進んでほしい。今回のテキストは入門編と基礎編(応用)を合わせたものであり、こうした履修をするうえで利便性がある。ぜひ、永く活用してほしい。
 また、手話の表現を見なければ学習が成立しないので、視線を講師やスライドに集中させることができない学生、私語をする学生は授業に参加することを認めないこともある。校内で聴覚障害学生に触れあう機会を作り、ノートテイクなどの支援活動にも加わってもらいたい。

授業内容

授業内容
第1回LMSによる授業、内容としてオリエンテーション、および(実技)伝えあうこと、指文字 (講義)コミュニケーションとは
第2回(実技)自己紹介1(名前等) (講義)大学における聴覚障害学生とその支援のあり方
第3回(実技)自己紹介2(家族、出身等) (講義)聴覚障害者の生活1(全般的な事柄)
第4回LMSによる授業 自己紹介3(趣味) (講義)聴覚障害者の生活2(DVD私の大切な家族から①家庭生活②職場)
第5回(実技)自己紹介4(数字を使った表現) (講義)聴覚障害者の生活3(DVD私の大切な家族から③学校④地域での生活⑤手話通訳との関係)
第6回(実技)自己紹介5(仕事のこと) (講義)聴覚障害の基礎知識1(①耳の役割②音とは③聞こえの仕組み④聴覚検査⑤聞こえの実態)
第7回(実技)自己紹介6(自分の家の場所) (講義)聴覚障害の基礎知識2(⑥障害の等級⑦言葉の発達と聞こえ⑧補聴器と人工内耳⑨福祉制度、等)
第8回(実技)1日の生活 時間の表し方 (講義)手話の基礎知識1(①手話と身振り②手話と音声語③言語の核心④日本の手話の歴史)
第9回(実技)1週間、1か月の生活、予定、時の経過 (講義)手話の基礎知識2(⑤標準手話と方言手話⑥手話サークルの成立⑦手話文字⑧手話は一つ)
第10回(実技)1年の生活 季節、行事の表し方 (講義)乳幼児の聴覚障害
第11回(実技)新年会の計画、明日の予定を話しあう等 (講義)言語獲得と教育指導
第12回(実技)旅行について話す等 (講義)聴覚障害者のための学校1(乳幼児教育相談を中心に)
第13回(実技)健康、身体の状態の会話等 (講義)聴覚障害者のための学校2(難聴学級と聾学校)
第14回(実技)尋ねる、質問をするなどの用法を学ぶ。 (講義)手話を使った表現活動や手話歌について
第15回まとめ、最終テスト