授業の概要（ねらい）

　手話に関しては障害者権利条約の批准の中で、言語として位置付けられ、今は社会に広く認知され、テレビ以外でも公的な場など様々な場面で目にすることが増えてきている。手話を学びたい人も多いが、なかなか継続して学べる機会はまだ十分とは言えない。この講義は手話コミュニケーション入門を学習して、手話に興味を持った学生が継続して手話の学習を深められる授業として設計する。
　授業の対象として手話コミュニケーション応用Ⅰを履修し、単位習得した学生に対してさらに手話の理解を深め、技能を積み上げられるようにする。そのために内容を継続して学習できるように同じテキストを使用し、応用Ⅰで未学習の内容を主に取り上げる。具体的にはこれまでの自己紹介や身近な話題での簡単な会話を土台にして、手話の基本文法を理解し、聴覚障害者、ろう者と日常の会話が円滑にできるようにすること。またその延長として聴覚障害者への奉仕として簡単な通訳ができるような手話力と関わる姿勢を身に付けられることを目指している。
　加えて聴覚障害者の社会的、歴史的立場やそれに関連した福祉、文化、教育等の事柄をテレビ番組や映画などの視聴で理解し、共生社会に参加する姿勢を得られるようにしていく。

授業の到達目標

　①手話の文法を踏まえた手話表現を身に付け、聴覚障害者と多彩で円滑な会話ができるようになる。
　②手話単語の語彙を増やし、手話検定でいえば3級レベルの１０００語程度の単語を使いこなせるようになる。
　③聴覚障害者の社会的、歴史的立場や現在の法制制度を踏まえた聴覚障害者理解ができることで、共生社会に積極的に参加する姿勢が身に付く。
　④聴覚障害学生への支援に積極的に参加しようとする態度が身に付く。

成績評価の方法および基準

　学習内容の評価配分は手話技能80％、障害理解20％とする。評価する内容、方法としては講義の中での発表内容を20％とし、また、単元のまとまりごとに実施する3回のミニテストで20％、期末テスト60％の割合で評価をする。
　出席が10回未満の学生は単位認定を受けられない。やむを得ない事情以外は遅刻、早退を認めない（出席に数えない）。

教科書・参考文献

準備学修の内容

　①毎時の内容をテキスト、付属のDVDで視聴しておくこと。また授業で習った手話表現をこのDVDを活用してしっかりと再現できるようにすること。
　②NHK手話ニュース８４５、NHK「ろうを生きる難聴を生きる」を視聴し、感想をまとめること。
　③聴覚障害学生と交流の機会を持ち、ノートテイク等の支援に積極的に関わろうとすること。

その他履修上の注意事項

　この授業は手話コミュニケーション入門Ⅰ、Ⅱ、および手話コミュニケーション応用Ⅰを履修し、単位を取得した学生を対象にしている。復習もするが基本的に今までの内容が十分身に付いていることが前提である。テキストは応用Ⅰで使用しているので事前に復習をして臨んでほしい。
　（全体）第3回授業から第12回の計10回にわたり、講義の最後の20分程度の枠をおいて、聴覚障害、手話の関連知識について以下の３項目を中心に講義する。
（1）聴覚障害者と障害者権利条約、差別解消法と合理的配慮 （2）聴覚障害教育と、社会的な取り組み （3）映画等でみられる手話表現と聴覚障害者への対応
　その他、手話単語のドリル学習で語彙の習得を行う。
　◎手話は他の語学と同じように実際に使うことで身に付く。聴覚障害者、特に本学の聴覚障害学生との交流、支援を通して日常で使う機会を持ってほしい。

授業内容