データと社会・経済・人間行動
担当者赤木 徳顕教員紹介, 實吉 綾子教員紹介, 磯山  優教員紹介, 長島 光一教員紹介, 堀田 結孝教員紹介, 小島 寛之教員紹介, 鈴木 智弘教員紹介, 馬場 真哉教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [総合データ応用プログラム 総合データ応用プログラム]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 データは人の営みによって得られたもの。人のフィルターをとおして必ずバイアスがのっている。人間を理解できなければデータサイエンスは出来ない。データと社会、経済、人間行動の関わりについて理解し、これからの時代に本当に必要なスキルはなにか?学生自らが問題意識をもって考えるための鍵を与える。
 他の共通科目を受講することにより、データの扱い方、データから読み取る力を得られた前提で、本講義では主に社会科学の分野で、どのようなデータがあり、それをどのように集め、どのように意思決定に応用できるのかを、オムニバス形式で、経済学、経営学、心理学、教育学、法学の観点から紹介していく。共通科目受講後に、更に自らの研究分野を絞っていく際の基準を見つけると共に、この分野におけるデータ活用事例の多様性を知ってもらいたい。

授業の到達目標

(1) 社会人の場合、自らの出身企業に存在するデータ、および追加で必要となるであろうデータについて理解することができる。
(2) 更に工夫すれば社内にて、このようなデータを取得できることを知る。
(3) それらのデータを使った新たなプロジェクトを社内に提案できる。
(4) 社会人学生でない場合には、自分が目指す職業におけるデータサイエンスの課題や問題点を知る

成績評価の方法および基準

毎回受講した内容に関する学びと講師に対する質問をレポート形式で提出する。また期中および期末において主担当教員との口頭試問を行う。これらを踏まえて、総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特に指定しない。
参考文献

準備学修の内容

毎回次回テーマに関する準備をメール等にて連絡する。

その他履修上の注意事項

• コンピュータの基本操作(起動終了、文字入力、ファイル操作など)を習得していること。
• 高校1-2年程度の数学の知識、スキル、Excelで基本的なことができる程度の素養。

授業内容

授業内容
第1回「オリエーテーション」本講義の狙いと社会科学分野におけるデータサイエンスの体系を説明する。
第2回「経営戦略とデータ解析:ポジショニング戦略」Ansoffが提唱した製品市場マトリックスを出発点とし、多角化戦略の基礎について学ぶ。その際に、多角化戦略を数量的に把握できるよう、データを基にしたDI(=Diversitification Index)の計算方法について学ぶ。
第3回「経営戦略とデータ解析:競争戦略」Porterが提唱した五要因分析(five forces analysys)について、統計学を用いて分析する手法を学ぶ。
第4回「経営組織とネットワーク:経営組織論とは」本講義は、人間集団における組織の必要性の解明から出発し、組織の構造論的理解について平易に紹介する。そして現代の大規模な企業や大学、病院などを個別の組織のみで理解することの限界を踏まえ、組織のグループ化およびネットワーク化について論じ、次回の講義のネットワーク理論への橋渡しとする。
第5回「経営組織とネットワーク: ネットワーク理論とは」ネットワークを人と人のつながりや仕事と仕事のつながりと捉えれば、ネットワークは組織の延長線上に捉えることができます。そこで本講義は、組織論を踏まえたネットワーク理論について、数学などを用いずに解説する。そのため、M. S. Granovetterの「弱い紐帯」に関する理論、S. Milgramの「六次元のつながり」に関する理論について紹介する。
第6回「ロジスティクス:需要の変動のとらえ方」ロジスティクスの概要・在庫管理の初歩・経済的発注量・需要の変動・安全在庫・Excelによる計算を行う。
第7回「ロジスティクス:需要データの活用」時系列分析の初歩・需要予測の初歩・指数平滑化法・需要予測の活用に関する説明を行い、Excelによる計算を行う。
第8回「マーケティングサイエンス:データ収集とデータベース構築」マーケティング分析で取り扱うデータは社内でも分散している場合が多く、また社外データと統合するケースも多い。どのようなデータをどのように収集し、統合するかを学ぶ。
第9回「マーケティングサイエンス:データと分析手法」回析分析やコンジョイント分析などマーケティングリサーチのための統計手法とデータの関係性について学ぶ。
第10回「先端の経済学:行動経済学とゲームの理論」ナッジやマーケットデザインなど、経済学分野においても発展の目覚ましい分野においてその応用事例を学ぶ。
第11回「経済心理:ヒューリスティクス(文学部講義)」ダニエル・カーネマンらによる研究などを通して,心理学における意思決定に関する理論について学ぶ。
第12回「経済心理:ニューロエコノミクス(文学部講義)」人の意思決定の生理・神経的基盤について、社会脳と云われる前頭葉機能を中心に学ぶ。
第13回「データ利用のためのプライバシー・個人情報保護(法学部講義)」データ利用におけるプライバシー権の問題や個人情報保護法の基本について理解する。
第14回「AI社会におけるデータ利活用の法的問題(法学部講義)」データを利活用する者の保護をどう図るのかについて、その基本を理解する。
第15回まとめ