卒業演習(美術史・文化遺産2)-Ⅰ
担当者山田 大樹
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングSEM-449

授業の概要(ねらい)

 文化遺産の保護は、一般的には、計画がなければ、調査も保存・修復も、活用もされません。文化遺産の保護は、決して抽象的な概念ではなく、歴史的建造物や古墳、発掘遺物や祭礼行事等、実際の対象があり、その対象に合わせた措置を取ることです。本授業(演習)では、文化遺産の保護のための具体的な計画を立てる道筋を学ぶことを目的とします。
 本授業では、八王子キャンパスがある八王子市の文化遺産を題材として、その保存活用のための計画案を作成します。ここでの「文化遺産」は、行政計画を想定しているため、「文化財」と同意とします。履修生の興味に合わせ、建造物や祭礼行事、考古遺物や古美術品等、3~4人単位で4~6班に分かれ、グループごとに八王子市の文化遺産の特徴について、ワークショップを通して議論し、調査によって検討を深め、整理した内容を発表します[グループワーク①]。次にグループごと文化遺産の種別を一つ選び、保存活用の課題について調査研究し発表します[グループワーク②]。最後に、各履修生が、それぞれ一つの文化遺産を選び、調査研究したうえで、保存活用のための具体的なアクションプラン(保護措置)を立案して発表します[個人ワーク①]。
 グループワークでは、分析方法、共同作業者との協力と調整能力、協調性、リーダーシップの訓練を行います。さらに、個人ワークでは、発表の技巧を研鑽するとともに、具体性や実現性、説得力のある計画立案方法を学びます。このように、実在する具体的な文化遺産対象物を定めて保存計画をすることで、大学で学ぶ内容を社会にどのように還元しうるのかを理解できるように、また4年次の卒業論文で自身がテーマとする内容が社会に対してどのような意味を持つのかを相対的に考えられるようになることが授業のねらいです。

授業の到達目標

・チームで議論する方法を理解すること
・自身の興味のある文化遺産の保存活用の課題を具体的に理解すること
・実在する文化遺産の課題について、自分で情報を整理できるようになること
・パワーポイント等を使い論理的な発表ができるようになること
・社会に還元できる具体的な計画を作成できる力を身につけること

成績評価の方法および基準

 グループごとの発表(貢献度を含む)を30%、個人発表(最終レポート)を40%、他の人の発表へのコメントを30%として総合的に評価します。なお、個人発表は順番によって大きな差が出ないよう、最終レポートと併せて判断します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献八王子の歴史・文化財八王子市https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/003/index.html
参考文献文化財保存活用地域計画パンフレット文化庁https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/bunkazai_hozon/pdf/92911401_01.pdf

準備学修の内容

 講義の中でも説明しますが、参考文献として示した、八王子市の文化遺産、文化財保存活用地域計画について、事前に目を通しておいてください。なお、毎回の授業後にはグループワークのまとめや、授業前にはグループワークのための準備があります。

その他履修上の注意事項

 発表はパワーポイントもしくは配付資料を使用して行います。パワーポイント、ワード、エクセルなどのソフトウェアの最低限の操作は各自で勉強してください。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
第2回履修生各人の関心の発表・チーム分け
第3回施設見学(桑都日本遺産センター 八王子博物館を想定)
第4回グループワーク①-1作業の進め方
第5回グループワーク①-2八王子市の文化遺産の特徴を考える
第6回グループワーク①-3他都市との比較、発表準備
第7回グループワーク①-4八王子市の文化遺産の特徴の発表
第8回グループワーク②-1文化遺産の種別ごとの課題(作業の進め方、SWOT分析)
第9回グループワーク②-2文化遺産の種別ごとの課題(他事例比較分析、発表準備)
第10回グループワーク②-3文化遺産の種別ごとの課題(発表)
第11回個人ワーク①-1進め方説明
第12回保存活用計画(オンディマンド学習)
第13回個人ワーク①-2発表1(5名)
第14回個人ワーク①-3発表2(5名)
第15回個人ワーク①-4発表3(6名)