東洋史演習1B-Ⅰ
担当者陳  佑真教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングSEM-317

授業の概要(ねらい)

○儒教経典の世界に触れてみよう
 この授業では、儒教の代表的な経典について、その内容を講義形式で紹介します。
 前近代の漢字文化圏では、学問をする人は多くの場合まず儒教の経典を暗記することを出発点にしました。彼らの思考の根元には、儒教の経典に説かれている世界が広がっています。ヨーロッパの歴史や文化を理解する際にキリスト教を知る必要があるのと同様に、日本や中国や朝鮮半島を理解するためには儒教を知る必要がある、ということになります。
 儒教というものが過去に重視されたことは広く知られる一方、その経典の中身を知っている人は珍しいのではないで
しょうか。「親孝行」「長幼の序」のような抽象的で説教臭いことを延々述べ立てる、というイメージをもたれがちですが、実際には武将の忠義物語や恋の歌、古代の料理レシピなど、具体的で豊富な内容がつながって壮大な世界観が描かれています。
 前近代の人たちの思考の源を探る手がかりとして、ぜひ経典の世界に触れてみましょう。
 前期は『周易』(『易経』)を使った占いの体験実習を行います。

授業の到達目標

☆1:儒教の経典がもつ内容について説明する能力を獲得する。
☆2:前近代人の言動の背景について、儒教の教養という角度から把握することができるようになる。

成績評価の方法および基準

授業への参加姿勢(40%・コメントペーパーを配布し、疑問や考えたことを記入していただきます)・授業内試験(60%・最終回に実施)によって評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書プリントを配布します。
参考文献『四書五経入門』竹内照夫平凡社ライブラリー
参考文献『儒教入門』土田健次郎東京大学出版会

準備学修の内容

中国史の学習経験がない方の履修も想定しておりますが、ある程度中国史の流れを把握しておくとより楽しく学ぶことができます。陳舜臣・手塚治虫監修『中国の歴史』(八王子市図書館等所蔵、古書でも安く出回っています)がマンガで読みやすく、内容もかなりしっかりしていておすすめです。

その他履修上の注意事項

○特殊講義は同じ教員が開講するものでも毎年A・B・Cと名称が替わり、それぞれ別の授業として単位が認定されます。
○私語など一緒に授業を受ける仲間の集中を削ぐ行為はなさらないでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:教員自己紹介・授業概要説明(対面授業)
第2回儒教誕生の時代・周の理想と現実(対面授業)
第3回孔子の生涯と儒教の成立(対面授業)
第4回世界は光と闇の戦い—『周易』の世界観(1)(対面授業)
第5回六十四卦に示された古代人の世界イメージ—『周易』の世界観(2)(対面授業)
第6回人生を決める占い—『周易』の世界観(3)(対面授業)
※この回にコインを使った易占いの実習を行います。硬貨かそれに類するものを持参してください。
第7回聖王と賢臣のミュージカル—『尚書』が描く歴史(1)(対面授業)
第8回下剋上・摂政の誕生—『尚書』が描く歴史(2)(対面授業)
第9回民の口コミ、天が見てます—『尚書』が描く歴史(3)(対面授業)
第10回中国最古の詩篇と外交—『詩経』は何をうたうのか(1)(対面授業)
第11回「おしとやかなあの子がくれた赤い筆」古代の恋の歌—『詩経』は何をうたうのか(2)(対面授業)
第12回荘厳に歌い上げられた周王朝の「維新」—『詩経』は何をうたうのか(3)(対面授業)
第13回儒教の教えの主要な内容と歴史上の意義(対面授業)
第14回前期総まとめ(LMS配信)
第15回授業内試験及びその解説(対面授業)
※各回の内容には、授業の進行ペースや皆さんの関心の傾きに応じて調整を加えることがあります。