東洋史演習1B-Ⅱ
担当者陳  佑真教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングSEM-318

授業の概要(ねらい)

○儒教経典の世界に触れてみよう
 この授業では、儒教の代表的な経典について、その内容を講義形式で紹介します。
 前近代の漢字文化圏では、学問をする人は多くの場合まず儒教の経典を暗記することを出発点にしました。彼らの思考の根元には、儒教の経典に説かれている世界が広がっています。ヨーロッパの歴史や文化を理解する際にキリスト教を知る必要があるのと同様に、日本や中国や朝鮮半島を理解するためには儒教を知る必要がある、ということになります。
 儒教というものが過去に重視されたことは広く知られる一方、その経典の中身を知っている人は珍しいのではないでしょうか。「親孝行」「長幼の序」のような抽象的で説教臭いことを延々述べ立てる、というイメージをもたれがちですが、実際には武将の忠義物語や恋の歌、古代の料理レシピなど、具体的で豊富な内容がつながって壮大な世界観が描かれています。
 前近代の人たちの思考の源を探る手がかりとして、ぜひ経典の世界に触れてみましょう。
 後期は四書の解説にともない、朱子学についてもお話しします。

授業の到達目標

☆1:儒教の経典がもつ内容について説明する能力を獲得する。
☆2:前近代人の言動の背景について、儒教の教養という角度から把握することができるようになる。

成績評価の方法および基準

授業への参加姿勢(40%・コメントペーパーを配布し、疑問や考えたことを記入していただきます)・授業内試験(60%・最終回に実施)によって評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書プリントを配布します。
参考文献『四書五経入門』竹内照夫平凡社ライブラリー
参考文献『儒教入門』土田健次郎東京大学出版会

準備学修の内容

中国史の学習経験がない方の履修も想定しておりますが、ある程度中国史の流れを把握しておくとより楽しく学ぶことができます。陳舜臣・手塚治虫監修『中国の歴史』(八王子市図書館等所蔵、古書でも安く出回っています)がマンガで読みやすく、内容もかなりしっかりしていておすすめです。

その他履修上の注意事項

○特殊講義は同じ教員が開講するものでも毎年A・B・Cと名称が替わり、それぞれ別の授業として単位が認定されます。
○私語など一緒に授業を受ける仲間の集中を削ぐ行為はなさらないでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:前期授業のおさらい、授業概要説明(対面授業)
第2回門ひとつくぐるのに何分かけるつもりですか?—『儀礼』が伝える古代のマナー(対面授業)
第3回首都建築・フクロウ退治官・主食とおかずの取り合わせ—細かすぎて伝わらない『周礼』の国家モデル(対面授業)
第4回麒麟が来た→孔子号泣—『春秋』の世界秩序(1)(対面授業)
第5回尊王攘夷する武将たち—『春秋』の世界秩序(2)(対面授業)
第6回中華思想の意外な正体—『春秋』の世界秩序(3)(対面授業)
第7回「でも、堅苦しいんでしょう?」「ご安心ください!」—『論語』はこわくない(1)(対面授業)
第8回「でも、古くさいんでしょう?」「ご安心ください!!」—『論語』はこわくない(2)(対面授業)
第9回すべては民のために—紀元前に「革命」を説いた男・孟子(対面授業)
第10回聖人になるための八つのステップ—『大学』と朱子学(1)(対面授業)
第11回朱子学者はなぜあんなに必死なのか—『大学』と朱子学(2)(対面授業)
第12回経典にハマるマニアたち—清朝人の生態を探る(対面授業)
第13回経学と中国史(対面授業)
第14回後期総まとめ(LMS配信)
第15回授業内試験とその解説(対面授業)