科目名分類学年卒業認定との関連
医薬品安全性学講義4年前期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※渡邊真知子(臨床薬剤学), 板垣文雄(臨床薬剤学), 唐澤健(分子薬剤学), 久保田篤司(薬学実習推進研究センター), 原田史子(分子薬剤学), 谷川和也(分子薬剤学), 永島一輝(臨床薬剤学), 前島多絵(臨床薬剤学), 中村康宏(薬学実習推進研究センター)

授業の概要

 薬剤師の基本的な使命として、薬物療法にかかわる医療安全への貢献が期待されています。本講義では、医薬品の安全性にかかわる、① 代表的な「副作用」に関する基本的な知識として、推定される原因医薬品、身体所見、検査所見および対処方法、②「 医療安全・医薬品安全管理」に必要な基本的な知識として、医薬品が関わる代表的な医療過誤やインシデントの事例の原因と防止策、感染予防の基本的な考え方やその方法、③ 代表的な「薬害」の例について、原因と社会的背景及びその対応、について学習します。また、副作用被害者による講演を通じて,薬害や医薬品の副作用被害の実態を知るとともに,患者とその家族の苦痛を理解し、これらを回避するための手段を討議します。本科目は、実務経験(薬剤師)のある教員が担当する授業が含まれます。医療安全・医薬品安全管理に関するSGDおよび薬害の防止に関するSGDを行います。

授業の到達目標

1.医療における医薬品のリスクを回避できるようになるために、医薬品の副作用、医療安全・医薬品安全管理および薬害に関する基本的な知識を有している。
2.医薬品のリスクや薬害の歴史を認識するとともに、国民の健康管理、医療安全、薬害防止における役割を理解し、薬剤師の使命について説明できる。

授業形式

講義、演習,スモールグループディスカッション(SGD)

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1医薬品の副作用(1)血液障害・電解質異常,肝障害,腎障害を呈する副作用疾患について,推定される原因医薬品,身体所見,検査所見および対処方法を説明できる。(知識)板垣文雄
E1(4)3
2医薬品の副作用(2)消化器障害、代謝障害、循環器障害、精神障害を呈する副作用疾患について,推定される原因医薬品,身体所見,検査所見および対処方法を説明できる。(知識)板垣文雄
E1(4)3
3医薬品の副作用(3)筋障害、皮膚障害、呼吸器障害を呈する副作用疾患について,推定される原因医薬品,身体所見,検査所見および対処方法を説明できる。(知識)板垣文雄
E1(4)3
4医薬品の副作用(4)薬物アレルギー(ショックを含む)について,推定される原因医薬品,身体所見,検査所見および対処方法を説明できる。過剰量の医薬品による副作用への対応(解毒薬を含む)を説明できる。(知識)板垣文雄
E2(11)①2
5医薬品の副作用(5)特にリスクの高い代表的な医薬品(抗悪性腫瘍薬,糖尿病治療薬,使用制限のある薬等)の特徴と注意点を列挙できる。(知識)板垣文雄
F(2)⑥2
6医療安全・医薬品安全管理(1)感染予防の基本的な考え方とその方法,衛生的な手洗い,スタンダードプリコーションについて説明できる。代表的な消毒薬の用途,使用濃度および調製時の注意点を説明できる。(知識)渡邊真知子
F(2)⑥4〜6
7医療安全・医薬品安全管理(2)WHOによる患者安全の考え方について概説できる。医療に関するリスクマネジメントにおける薬剤師の責任と義務を説明できる。(知識)渡邊真知子
A(1)③2,3
8医療安全・医薬品安全管理(3)医薬品が関わる代表的な医療過誤やインシデントの事例,処⽅から服薬(投薬)までの過程で誤りの生じやすい事例を説明できる。(知識)渡邊真知子
F(2)⑥7
9医療安全・医薬品安全管理(4)発生したインシデント,アクシデントに対し再発防止策を講じるための事故分析手法を説明できる。医薬品のリスクマネジメントプランを概説できる。(知識)渡邊真知子
F(2)⑥1
10医療安全・医薬品安全管理(5)代表的なインシデント(ヒヤリハット),アクシデント事例を解析し,その原因,リスクを回避するために具体策と発生後の適切な対処法を討議する。(知識,態度)渡邊真知子
板垣文雄
前島多絵
永島一輝
F(2)⑥3
11薬害の防止(1)代表的な薬害の例とその背景について概説できる。(知識)唐澤健
A(1)③1,5, 6, B(2)②10
12薬害の防止(2)副作用被害者による講演を通じて,薬害や医薬品の副作用被害の実態を知るとともに,患者とその家族の苦痛を理解する(知識,態度)薬害患者への手紙を書くことを通じて,薬害や医薬品副作用防止の重要性を自らの言葉で表現できる。(態度)原田史子
谷川和也
中村康宏
唐澤健
A(1)③1,5,7, B(2)②10
13薬害の防止(3)「薬害防止のために薬剤師は何をすべきか」,「医薬品副作用被害救済制度に関して改善すべき点はどこか」について討議する。(知識,態度)原田史子
谷川和也
中村康宏
唐澤健
A(1)③1,5,7, B(2)②10, E1(4)4

成績評価の方法および基準

定期試験85%マークシートによる客観試験により、医薬品の副作用、医療安全・医薬品安全管理、薬害の防止について、基本的知識を有しているかを評価します。
中間試験0%
小テスト0%
レポート0%
その他15% 医療安全・医薬品安全管理に関するSGDおよび薬害の防止に関するSGDにおける態度およびプロダクトを評価します。
欠席については、シラバス「履修について」で定める基準で対応します。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書なし
参考書患者の訴え・症状からわかる薬の副作用 第2版大津史子、浜六郎じほう
参考書重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け)厚生労働省独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ホームページ(https://www.pmda.go.jp/pnavi-02.html)
参考書医薬品安全管理理論杉浦宗敏京都廣川書店
その他プリント

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1[事前学習(予習)] 配信する資料の次回授業部分を事前に読んでおくこと。各回概ね2時間程度必要です。
2[事後学習(復習)] 前回の授業内容を復習し、用語の意味等を理解しておくこと。各回概ね2時間程度必要です。
3この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は43.5時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。

その他の注意事項

1試験やSGDのプロダクトに関して、解説等のフィードバックを行います。
2外部講師による講演は、医薬品による副作用被害の経験を聴講する貴重な機会ですので真剣に臨んでください。また、講演に関する感想文を記載する際に"水性サインペン"が必要となりますので、必ず持参してください。
3当該科目は、ディプロマポリシー「4.科学的な根拠の下に医薬品等が生体に及ぼす影響を理解し、患者個人の背景を尊重した適切で効果的な薬物治療を実施できる。」の能力を身につけることに関連付けられます。

主な関連科目

講義1年医療社会学、薬学への招待1、薬学への招待2
2年製剤学1
3年調剤学、薬物治療学1(総論・臓器別治療1)
4年医薬品化学2、薬物治療学2(臓器別治療2)、薬物治療学3(悪性腫瘍・複数疾患合併症・臨床検査)、薬物治療学4(感染症・統合演習1)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学統合演習1
5年医療コミュニケーション4
実習1年
2年
3年
4年薬学実習8(実務実習事前学習)、薬学実習9(実務実習事前学習)、薬学実習10(実務実習事前学習)
5年薬学実務実習(病院・薬局)

メモ