科目名分類学年卒業認定との関連
薬理学2(情報伝達・神経)講義2年前期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※上園崇(医薬品作用学), 小野景義(薬効解析学)

授業の概要

 これから学んでいく予定の科目、「病態・薬理学1」〜「病態・薬理学6」で登場する様々な疾患およびその治療薬の作用機序を理解するための「軸」となる重要な知識を修得することが目標です。様々な臓器とそこにある細胞は、一見異なる働きをしているように見えても、細胞の中で起きていることには幾つも共通点があります。同様に、治療薬の作用機序についても、よくみると異なる臓器で共通のものが多く見つかります。早い段階でそのことを理解し、幾つかの重要な共通点を知ることができれば、その先に学習する多くの個別の疾患と治療薬の働きを「理解」(覚えるのではなく)するのに、近道であり、強い土台となります。

授業の到達目標

①体の中で働いている、薬の標的となる分子(受容体、イオンチャネル、酵素、トランスポーターなど)の性質を理解し、それらがどの臓器でどのように働くと臓器の機能がどう変化するのかを説明できる。
②臓器毎の共通点を把握出来る。

授業形式

教科書、LMS(プリントや資料配信)を使った講義 状況次第ではZoomによるオンライン講義となります。講義形式は年度の始めに掲示、通知します。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1薬の作用点(1)薬物が作用する標的としての、受容体、酵素、イオンチャネルおよびトランスポーターについて説明できる(知識)。小野景義
E1-1-1-3, C6-6-2-1~3
2薬の作用点(2)受容体、酵素、イオンチャネルおよびトランスポーターに作用する薬とその効果について説明できる(知識)。小野景義
E1-1-1-4, C6-3-4-1
3薬の作用点(3)薬物の作用発現に関連する代表的な細胞内情報伝達系の働きについて説明できる(知識)。小野景義
E1-1-1-5, C6-6-2-3,4
4薬の作用点(4)受容体から細胞内への情報伝達の例〜各臓器への発展〜について説明できる(知識)。小野景義
E1-1-1-3〜5, C6-6-2-5
5中枢神経系の疾患の薬の作用点(1)中枢興奮薬の標的と薬理作用について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-3-3
6中枢神経系の疾患の薬の作用点(2)全身麻酔薬、催眠薬の標的と薬理作用について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-3-1
7中枢神経系の疾患の薬の作用点(3)麻薬性鎮痛薬の標的となる受容体と薬理作用について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-3-2
8中枢神経系の疾患の薬の作用点(4)非麻薬性鎮痛薬の標的と薬理作用について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-3-2
9中枢神経系の疾患の薬の作用点(5)ヒスタミン、セロトニンとそれらが関わる薬について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-3-2
10末梢性筋弛緩薬の作用機序末梢性筋弛緩薬(競合性アセチルコリン受容体遮断薬、脱分極性アセチルコリン受容体遮断薬)の作用機序、主な臨床応用と副作用を説明できる(知識)。上園崇
E2-1-2-2, C7-2-1-4
11末梢性筋弛緩薬、局所麻酔薬の作用機序その他の末梢性筋弛緩薬および局所麻酔薬の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用について説明できる(知識)。上園崇
E2-1-2-1, E2-1-4-1, C7-2-1-1
12局所麻酔薬の作用機序局所麻酔薬の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用を説明できる(知識)。上園崇
E2-1-2-1, C7-2-3-1

成績評価の方法および基準

定期試験95% マークシート及び一部筆記・論述試験を併用して評価します。授業中に行う小テストを事前学習の成果として5%程度、成績に反映させる。
中間試験0%
小テスト5% 理解の状況を教員、学生相互に把握するために適宜、講義中に小テストを行う。事前学習が出来ているかを適宜判断し、成績判定に反映させる。このため、授業中に行う小テストの総合点を成績判定の一部に取り入れる。
レポート0% 授業に関するレポートの提出は、原則として課さない。
その他確認テスト0% 成績には加味しない。講義の途上で各自がどれほど講義を理解し、ついて来られているのかを自己判断するのに役立てて下さい。但し、この確認テストを正当な理由なく欠席した場合、再試験の受験資格を失います。
定期試験の得点が平均点を大きく下回る場合、追再試験の受験を認めない場合があります。出席システムを悪用した不正な出席登録者、入り打刻のみ記録され[早退]の記録になっていても無断で講義室に不在だったことが判明した者、などには、定期試験および再試験の受験資格を与えない。さらに、学則に則った厳しい処分が課される。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書ブランニューアプローチ 新釈薬理論(改訂版)小野 景義、忍足 鉄太 著京都廣川書店
教科書パートナー薬理学 改訂第3版石井 邦夫、栗原 順一、田中 芳夫 編集南江堂
参考書薬がみえる Vol.1 第1版医療情報科学研究所 編集メディックメディア
参考書コスタンゾ 明解生理学 原著第6版林 俊宏、高橋 倫子エルゼビア・ジャパン株式会社
参考書生化学系の講義の教科書、参考書
その他LMSを通じて予めプリントを配信します。

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は43.5時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。
21年次に学んだ主な関連科目(次頁)が、薬理学を学ぶための重要な基礎となります。体を構成する物質、細胞、組織、器官とその働きについて、改めて良く理解しておくことを勧めます。薬と病気をどう"理解"していきたいのか、各自熟考してみることを勧めます。
3受容体と細胞内情報伝達のしくみについては、1年生後期の「薬科生物学」と2年生前期の「生化学1」でも習う事項です。「薬科生物学」で習った内容を十分に復習し、「生化学1」で習う内容を相互にチェックして学習を進めて下さい。
4「生理学2」でも、本講義を理解するための基本となる事項を習います。本講義と同時期に進行されるので、相互に対比、参照しつつ本講義に臨むことを勧めます。
5事前学修について: 関連科目の対応する箇所を見つけ出し、用語や概念を理解しておくこと。授業内容に該当する教科書のページを事前に読んでから授業に臨むこと。予め配信する講義資料の練習課題を解き、解答をノートに記入しておくこと。
事後学修について: 講義資料に付加する問題を利用し、講義の内容が理解できていることを確認すること。国家試験問題の該当箇所を利用して講義内容の理解を深めること。 

その他の注意事項

1「薬理学1」、「薬理学2」、「薬理学3」の3科目が、これから学んでいく「病態・薬理学」1〜6を理解する上での重要な骨格、基盤になります。薬の名前を逐一覚えることよりも、薬理の「理」の文字が何を意味するかを考え、薬の標的にはどんなものがあるのか、それを動かしたら生体の働きがどう変化するのかを「理解」することから始めましょう。薬が生体内で働いて正常な機能を回復させるための、"基本原則"をしっかりと"理解"することのほうが遥かに重要です。
2生理学1、生理学2、薬科生物学、生化学1、生化学2などと密接に関連していることを常に意識して学習を進めることを勧めます。
3授業中に行う小テスト等に対し、適宜解説等のフィードバックを行います。
4この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照して、理解しておくこと。常に他の科目や将来習う科目、既に習った科目とに関連があることを意識して学ぶと、効率よい学習が出来ます。

主な関連科目

講義1年生命科学1、薬科生物学、生理学1
2年薬理学1(総論・末梢神経)、生理学2、病態・薬理学1(精神・神経・筋)
3年病態・薬理学3(呼吸器・消化器)、病態・薬理学5(腎・循環器・高血圧)
4年薬物治療学2(臓器別治療2)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学統合演習1
5年
実習1年
2年
3年薬学実習5(薬理学)
4年
5年

メモ