科目名分類学年卒業認定との関連
医療社会学講義1年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※大滝恭弘(医療共通教育研究センター), 秦 奈峰子(医療共通教育研究センター)

授業の概要

医療社会学は、社会学の一部分として、医療にかかわる営みを取り扱う学問です。その射程は広範囲に及びます。
本講では、日本社会における、医療制度、医療経済、医事法制などの医療の「仕組み」と臨床・研究、倫理、薬害などの医療の「営み」に関する基礎的なテーマを取り扱います。
本講は、下記の①~③を目的としています。受講者が積極的に講義に参加することを望んでいます。
 ①医療と社会の接点の問題を理解すること
 ②様々な現代医療の問題点について自ら考えること
 ③様々な立場から医療を複眼視的にとらえること
LMSに掲載した資料を用いて授業を行います。
本科目は、実務経験(医師, 弁護士)のある教員が担当する授業が含まれます。

授業の到達目標

①本邦の医療を取り巻く現状について概説できる。
②医療保険、介護保険など本邦の医療制度について具体的に説明できる。
③医療従事者の法的・倫理的責任について概説できる。
④医薬品等にかかわる様々な社会問題について知識を有している。
⑤医療にかかわる様々な社会問題について知識を有している。
⑥生命倫理と社会との関わりについて概説できる。

授業形式

講義は教科書及び事前にLMS上に掲載する資料に従って行います。受講者は、教科書及び当該資料を講義前にあらかじめ準備しておいて下さい。壇上からの一方的な講義のみではなく、学生とのやり取りを重視しています。事前に教科書の該当箇所を読むことで理解が深まります。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1総論 日本の医療を取り巻く現状①日本の医療を取り巻く現状と社会問題を概観する。②それぞれの社会問題について具体的に検討する。(知識)秦 奈峰子
A(5)①,③
B(4)①,②
2医療保険制度
介護保険制度
①医療保険制度について概観する。②疾患の慢性化と高額な薬剤の登場等により、急速に注目を集めている高額療養費制度について知識を深める。③混合診療について概観し、そのあり方について検討する。④介護保険制度について概観する。(知識)秦 奈峰子
B(3)①
3薬剤師法①薬剤師法を逐条的に学ぶ。②薬剤師法が問題となった具体的事例を通じて、薬剤師法の理解を深める。(知識)秦 奈峰子
B(1)
B(2)①
4医事法制
チーム医療
①医療法制の構造について学ぶ。②薬剤師に課せられる法律上の責任について学ぶ。③具体的事例を通じて民事責任と刑事責任について理解を深める。③具体的事例を通じて医療事故におけるヒューマンエラーとその予防について学ぶ。④近年重視されているチーム医療について概観し、あるべきチーム医療の姿を具体的に検討する。(知識)秦 奈峰子
A(1)①,②,③
A(4)
B(2)①
5病人役割
医療化・脱医療化
精神医療
①病人役割、医療化・脱医療化について学ぶ。②具体的事例を通じて、病気とは、また、患者とは何なのかを検討する。③精神医療について学ぶ。④PTSD(心的外傷後ストレス障害)の誕生の歴史をふりかえりながら、社会の中で疾病が概念化されていく様子を追う。(知識)秦 奈峰子
A(2)②,③
6ジェンダーと医療①ジェンダーについて学ぶ。②医療におけるジェンダーの特性について具体的事例を通じて理解を深める。(知識)秦 奈峰子
B(1)
7ハンセン病問題①戦前・戦後のハンセン病患者と社会とのかかわりについて概観する。②医療専門職というプロフェッションの社会的責任について検討する。(知識)秦 奈峰子
A(2)②
A(2)③
8薬害と薬事行政
①薬害の歴史を概観する。②薬害の発生要因とその防止について具体的事例を通じて理解を深める。③医薬品の開発プロセスを学ぶ。④医薬品につき、社会と医療(科学)の視点から検討する。(知識)秦 奈峰子
大滝恭弘
A(1)②,③
A(2)②,③
B(2)②
9予防接種
①予防接種法の理解を通じて、日本の予防接種の特徴を学ぶ。②予防接種行政の問題点を検討する。③予防接種禍について、具体的事例を通じて理解を深める。(知識)秦 奈峰子
A(1)③
10患者と医療者との間のコミュニケーション①患者(家族)と医療者が一緒に「物語」を育むナラティブアプローチについて学ぶ。②インフォームドコンセントについて学ぶ。③説明義務と自己決定権について理解を深める。④患者と医療者との間の望ましいコミュニケーションのあり方について検討する。(知識)秦 奈峰子
大滝恭弘
A(1)①,②
A(2)③
A(3)①
A(4)
B(1)
11生命倫理ー生に関する諸問題(生殖補助医療、優生思想など)①体外受精、着床前診断・出生前診断、代理母出産など、生命の誕生に対する人為的介入について検討する。②人工妊娠中絶について様々な角度から検討する。③生命予後不良の低出生体重児等の医療のあり方について検討する。(知識)秦 奈峰子
A(1)①
A(2)①,②,③
A(3)②
12生命倫理ー死に関する問題(臓器移植、人生の最終段階における医療など)①安楽死・尊厳死などの人生の最終段階における医療のあり方を、具体的事例を通じて検討する。②日本人の死生観について考える。③臓器移植のあり方について検討する。④老い、病い、そして死について考える。(知識)秦 奈峰子
大滝恭弘
A(1)①
A(2)①,②,③
A(3)②

成績評価の方法および基準

定期試験100% 試験(100点満点)を行います。
中間試験0% 予定はありません。
小テスト0% 予定はありません。
レポート0% 予定はありません。
その他発言を行った者等に対し、加点します。よく考えられた発言に対してはさらに加点します。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書[第二版]医療系学部のための「医療と社会」入門(2021年発刊)編著者:大滝恭弘
共著者:加藤大裕・齋藤智恵・秦奈峰子
ムイスリ出版
参考書医療法学入門(2021年発刊)大磯義一郎・大滝恭弘・荒神裕之医学書院
参考書よくわかる医療社会学(2010年発刊)中川輝彦・黒田浩一郎(編著)ミネルヴァ書房
参考書パーソンズ 医療社会学の構想(2002年発刊)高城和義岩波書店
参考書日本の薬害事件-薬事規制と社会的要因からの考察(2013年発刊)一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団編薬事日報社
その他LMS教材

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1講義前に教科書を精読することで、より理解が深まります。
講義後は講義中の疑問点をまとめ、教科書等を利用して、次回講義までにそれらを解決する必要があります。
2この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は43.5時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。なお、習熟のためには、当該期間に45時間以上の予復習が必要です。

その他の注意事項

1遅刻・欠席は減点の対象になりえます。
①試験(100点満点):定期試験を行います。
②発言をした者には、その内容に応じた加点を行います。積極的な発言を期待します。
最終評価は①+②で行います。評点が100を超えた場合、100とみなします。
2発言やレポート等に対し、解説等のフィードバックを行います。
3この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年
2年
3年
4年薬事関係法規・制度
5年
演習1年
2年
3年
4年医療コミュニケーション3
5年
実習1年
2年
3年
4年
5年

メモ