科目名分類学年卒業認定との関連
物理化学2講義2年前期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※岸本泰司(物理化学), 今野裕史(物理化学)

授業の概要

 物理化学2では、1年次に習った物理化学1の内容をもとに、より具体的な物理化学現象について学びます。水はなぜ0℃で凍り、100℃で沸騰するのか?水に砂糖を溶かすと凝固点や沸点がなぜ変化するのか?この講義では日常経験している多くの現象を、物理化学的に説明してゆきます。1年次の物理化学1に比べ、内容がより具体的であるため自分でイメージ化し、理解していくことが大切です。

授業の到達目標

①医薬品を取り扱う際に、その物性や反応性からその医薬品の特性を判断するために必要な、熱力学、物理平衡、溶液の性質、電気化学の理論を概説できる。

授業形式

プリント冊子を使った講義(後半ではパワーポイントも併用する)

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1自発的な変化(1)ギブズエネルギーと化学ポテンシャルの関係を説明できる。
(知識)
代表的な物理変化、化学変化に伴う熱力学量(エンタルピー変化、エントロピー変化、ギブズエネルギー変化など)を説明し、求めることができる。【アドバンスト】
各種熱力学量の値から、物理変化、化学変化の過程を推測することができる。【アドバンスト】
今野裕史
C1(2)④1
2自発的な変化(2)ギブズエネルギーと平衡定数の関係を説明できる。
(知識)
質量作用の法則および平衡定数の計算(高校化学の復習)。
ルシャトリエの平衡移動の原理(高校化学の復習)
今野裕史
C1(2)④2
3自発的な変化(3)平衡定数に及ぼす圧力および温度の影響について説明できる。
共役反応の原理について説明できる。(知識)
今野裕史
C1(2)④3,4
4溶液の性質(1)希薄溶液の束一的性質について説明できる。(知識)

今野裕史
C1(2)⑥1

5溶液の性質(2)活量と活量係数について説明できる。
電解質溶液の電気伝導率およびモル伝導率の濃度による変化を説明できる。
イオン強度について説明できる。(知識)
今野裕史
C1(2)⑥2,3,4

6溶液の性質(3)
イオンの輸率と移動度について説明できる。【アドバンスト】
電解質の活量係数の濃度依存性(Debye-Hückel の式)について説明できる。【アドバンスト】(知識)

今野裕史
C1(2)⑥2,3,4
7相平衡(1)相変化に伴う熱の移動について説明できる。
相平衡と相律について説明できる。(知識)
岸本泰司
C1(2)⑤1,2
8相平衡(2)状態図について説明できる。(一成分系)(知識)岸本泰司
C1(2)⑤3
9相平衡(3)状態図について説明できる。(二成分)(知識)岸本泰司
C1(2)⑤3
10相平衡(4)状態図について説明できる。(二成分、三成分系)(知識)岸本泰司
C1(2)⑤3
11電気化学(1)電池の構成と仕組み(高校化学の復習)
代表的な電池の種類(高校化学の復習)
起電力とギブズエネルギーの関係について説明できる。(知識)
電極電位(酸化還元電位)について説明できる。
電荷と電流、電圧、電力、オームの法則などを説明できる。(高校化学の復習)
エネルギーの種々の形態(熱エネルギー、化学エネルギー、電気エネルギーなど)の相互変換につ
いて、例を挙げて説明できる。(高校化学の復習)
岸本泰司
C1(2)⑦1,2
12電気化学(2)Nernst の式が誘導できる。【アドバンスト】
濃淡電池について説明できる。【アドバンスト】
膜電位と能動輸送について説明できる。【アドバンスト】(知識)
岸本泰司
C1(2)⑦1,2

成績評価の方法および基準

定期試験100%:マークシートによる客観試験
中間試験0%:なし
小テスト0%:なし
レポート
その他適宜プリント等を配布することがある。再試験のための補講は行ないません。理解が不十分だと思う場合は、講義視聴システムを利用して、不得意分野を克服して下さい。
出席に関して不正(講義途中での出席チェックで正当な理由がないのにいないなど)があった場合、定期試験と再試験の受験を認めないことがある。
形成的評価として宿題の取組み状況を試験の結果に加味することがある。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書なし(プリント冊子を配布)
参考書ベーシック薬学教科書シリーズ3 物理化学(第2版)石田寿昌化学同人
参考書スタンダード薬学シリーズ2 物理系薬学 I日本薬学会 編東京化学同人
参考書アトキンス物理化学(上)Peter Atkins, Julio de Paula著、千原秀昭、中村亘男訳東京化学同人
その他年度始めのガイダンスにおいてプリント冊子を配布します。
参考書は購入する必要は無い。なおスタンダード薬学シリーズはコアカリ準拠、アトキンス(上)は上級者向けだが熱力学、相図が詳しい。

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

11年次の物理化学1の範囲を復習していおいてください。特に熱力学の範囲は、物理化学2の基礎となります。また、年度始めに全範囲のプリント冊子を配布しますので、予習を心掛けて下さい。
2履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。
講義1回について150分(含中間試験、午後の演習)以上の予習・復習をしてください。
予習について:プリント冊子を予め配布しているので、次回の講義範囲を目を通してください(30分程度)。
復習について:プリント冊子の章末問題、宿題を解き、理解度を確認して下さい。間違えたときは安易に解説を読まず、本文を見直してください(120分以上)。

その他の注意事項

11年次の物理化学1の内容は必須です。よく復習しておきましょう。「アイススケートはなぜ滑るのか」「蚊取り線香はなぜ有効成分が燃えないのか」…不思議に思うことと、何故だか知りたいという好奇心が大事です。
2比率、分率、百分率を換算できますか?物質A、物質B、物質Cが1:1:1の比率で存在するとき、Aの分率は0.33、Aの百分率は33%となります。小学生の算数ですが、これが出来ないために物理化学が不得意になる人がいがいに多いのです。
3毎週講義内容に関するプリントの章末問題を解き、理解度を確認して下さい。また、知識は必ず低下して行くものと考え、2年次後期以降も自己学習アプリの問題を定期的に解いて下さい。
4定期試験、確認テスト、宿題に対し、解説等のフィードバックを行います。
5この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年基礎物理化学、物理化学1
2年物理化学3
3年
4年基礎薬学特論1(物理・分析系薬学)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学演習
5年
実習1年
2年薬学実習4(物理化学、生化学、薬剤学)
3年
4年
5年

メモ