科目名分類学年卒業認定との関連
病態・薬理学2(内分泌・生殖器・骨)講義2年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※厚味厳一(病態生理学)

授業の概要

 ホルモンは、微量であっても体の様々な機能にかかわる物質であり、その量は巧妙に調節されています。そのため、ホルモン産生の調節の乱れなどによってホルモン量が変化すると、疾患が引き起こされることがあります。また、ホルモン自体やその誘導体は、薬物として用いられています。ホルモンに関連した疾患や薬物を学ぶと共に、身体の恒常性を維持する機構の大切さをこの講義を通じて感じ、健康を維持するために支援する立場になる意識も養いましょう。
 疾患に対して薬物治療を行っていく上で、臨床検査値は治療の効果を測るだけではなく、副作用のモニタリングや投与量の決定などにも用います。そのために、臨床検査値が持つ意味を理解することが大切です。本講義では、臨床検査に関して、今後の病態や薬物治療の講義を理解するために基本となる内容を紹介します。
 全講義を通して、復習や予習に有用なワークシートを毎回の講義終了後に配信します。次回の講義の冒頭では、この内容に関して議論やフィードバックすることにより、内容の理解を促すアクティブラーニング形式の学びも行います。

授業の到達目標

① 生理学などですでに学んだホルモンについて、現場で使える知識にする。
② 疾患や薬物という点から注目し、ホルモンに関する基本的な事項を身につける。
③ ホルモンの産生や分泌異常によって引き起こされる疾患について知り、早期発見に向けて症状を理解し、薬物治療の位置付けを説明できる。
④ ホルモンが関与する生殖器や骨の疾患、さらにホルモンに関連する薬物の知識を得る。
⑤ 生殖器や泌尿器に関わる疾患を知り、薬学的管理に必要な知識を身につける。
⑥ 現場での薬物治療に役立たせるために、臨床検査値やその変化が示す意味が説明できる。
⑦ 薬剤師としてはたらくということの意識を醸成できる。

授業形式

 教科書の内容を補助するプリントを用いて講義を進めます。講義の前半部分は、ワークシートに関するフィードバックを行うので、準備して講義に臨みましょう。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1内分泌系疾患とくすり ホルモンを概説できる(知識)。視床下部ホルモンと下垂体ホルモンについて説明できる(知識)。視床下部ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。厚味厳一
C4(1)②1
C6(6)②2~5
C7(1)⑫1
C7(2)②1
E2(5)③1
2内分泌系疾患とくすり 下垂体ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。下垂体ホルモン異常疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
E2(5)②4,5
3臨床検査総論臨床検査とは何かがわかる(知識)。
臨床検査値が持つ意味を理解し、値の変化と薬物治療との関連が説明できる(知識)。
厚味厳一
E1(2)②1~8
4内分泌系疾患とくすり 甲状腺ホルモンについて説明できる(知識)。甲状腺ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序と副作用が説明できる(知識)。甲状腺ホルモン異常疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑫1
C7(2)②1
C8(2)①3
E2(2)②7
E2(5)②2,3
5内分泌系疾患とくすり 副腎皮質ホルモンについて説明できる(知識)。副腎皮質ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。副腎ホルモン異常疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑫1
C7(2)②1
C8(2)①3
E2(2)①1
E2(2)②7
E2(5)②5
E2(5)③1
6内分泌系疾患とくすり、泌尿器系疾患とくすり男性ホルモンについて説明できる(知識)。男性ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。男性ホルモン関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑩1
C7(1)⑪1
C7(1)⑫1
C7(2)②1
E2(3)③6
E2(5)②1
E2(7)⑦3
E2(7)⑧11
7内分泌系疾患とくすり、生殖器系疾患とくすり女性ホルモンについて説明できる(知識)。女性ホルモン関連製剤の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑪1
C7(1)⑫1
C7(2)②1
C7(2)⑩1
E2(3)③6
E2(5)②1
8内分泌系疾患とくすり、生殖器疾患とくすり女性ホルモン関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑪1
C7(1)⑫1
C7(2)②1
C7(2)⑩1
E2(3)③6
E2(5)②5
E2(7)⑦3
E2(7)⑧11
E2(7)⑧13
9内分泌系疾患とくすり、生殖器や泌尿器系疾患とくすり妊娠、分娩、避妊に用いられる薬物の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。生殖器関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。腎がんと膀胱がんの病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑩1
C7(1)⑪1
E2(3)③7,8
E2(5)②1
E2(7)⑧11,12
10生殖器や泌尿器系疾患とくすり、骨とカルシウム代謝関連疾患とくすり生殖器関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。骨とカルシウム代謝について説明できる(知識)。骨とカルシウム代謝関連薬の薬理作用、作用機序、主な臨床応用と副作用が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑤1
C7(1)⑫1
C7(2)②1
E2(2)③2~4
11骨とカルシウム代謝関連疾患とくすり副甲状腺機能異常疾患の病態と治療が説明できる(知識)。骨とカルシウム代謝関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(1)⑤1
C7(1)⑫1
C7(2)②1
12骨とカルシウム代謝関連疾患とくすり、血糖値調節ホルモンとくすり骨とカルシウム代謝関連疾患の病態と治療が説明できる(知識)。血糖値調節ホルモンについて説明できる(知識)。血糖値調節ホルモン関連薬の薬理作用が説明できる(知識)。厚味厳一
C7(2)⑥1
E2(5)①1

成績評価の方法および基準

定期試験100% 筆記・論述試験で評価します。
中間試験0%
小テスト0%
レポート0%
その他

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書基礎から学ぶ内分泌薬学厚味厳一 編集エルゼビア・ジャパン
教科書病気がみえる③代謝・内分泌医療情報科学研究所 編集メディックメディア社
教科書薬がみえる②医療情報科学研究所 編集メディックメディア社
教科書パートナー薬理学石井邦雄、栗原順一、田中芳夫 編集南江堂
参考書病気がみえる⑧腎・泌尿器医療情報科学研究所 編集メディックメディア社
参考書病気がみえる⑨婦人科・乳腺外科医療情報科学研究所 編集メディックメディア社
参考書病気がみえる⑩産科医療情報科学研究所 編集メディックメディア社
その他プリントを毎回配付します。

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1病態や薬理作用を理解するためには、解剖学や生理学など、体の仕組みに関する知識が必要です。特に、2年生の前期で学ぶホルモンに関する内容をまずは知っていることを前提として講義を行うので、該当講義の復習をしてから、講義を受けてください。
2講義内容に関したワークシートをLMSで配信します。教科書などを用いて調べ、わかる範囲で期限までに答えましょう。調べるという行為が学びの中では大切です。
3次回の授業内容を教科書を読むなど予習し、専門用語の意味等を説明できるようにしておいてください。
4講義内容を重要な点を意識してまとめた上で、疑問点を教科書やプリント等を利用し、次回の授業までに説明できるようにしておいてください。
5講義内容に関する音声ファイルを補助資料として配信します。予習や復習に役立ててください。
6この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は43.5時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。

その他の注意事項

1講義では、基礎から応用まで幅広い内容を取り上げます。忘れてならないことや、各々の関連性はどのようになっているのかなどの点を特に意識しながら、集中して講義を受けてください。講義開始ぎりぎりに来ることや、講義中に居眠りをすることは、損失が大きくなると思います。体調も整えて、講義を受けましょう。
2臨床検査に関する部分は、病態や薬物治療を学ぶ上の基礎となる内容です。細かなことではなく、臨床検査値が持つ意味と、薬剤師が臨床検査値をどのように役立たせることができるかを目的に学びましょう。
3復習する際には、1年次の関連科目(基礎生物学、生命科学、機能形態学、生理学1、薬科生物学、薬物治療学入門)と2年前期の関連科目(生理学2、薬理学1、2)の教科書やプリントを用いて、そのつど振り返ることが大切です。生化学の知識も必要となることがあります。
4まとめのノートは、プリントの内容や聞いたことを単に書き写すものではありません。まとめるということを考えながら、独自のノートを作ってみましょう。
5講義終了後に配信するワークシートは、講義で学んだことを深く理解するためや、学んだことの意味を知るためのツールとなります。自分なりの回答を作り出しましょう。次回の講義の始めにフィードバックするので、期限までに LMS を通して提出してください。毎週の取り組みの積み重ねは、試験に向けての良い準備となります。試験勉強が遅れがちな人は特に、まじめに取り組みましょう。
6試験は、範囲も広く、また網羅的かつ複合的な理解を求めるので、直前の勉強だけではなかなか合格できません。合格のためには日頃の予習、復習が必要です。”わかる”とは何で、どのようにしたらわかるようになるのかも追い求めながら勉強してください。
7試験やレポート等に対し、解説等のフィードバックを講義内や補講、あるいは文書で行います。
8この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年機能形態学、薬科生物学、生理学1、生命科学、医学概論(症候・OTC)、基礎生物学、薬物治療学入門
2年生化学2、生化学3、生理学2、薬理学概論1(総論、自律神経系)、薬理学2(情報伝達・神経)、薬理学3(感染症・悪性腫瘍)
3年病態・薬理学4(代謝・血液・骨)、薬物治療学1(総論・臓器別治療1)、感染免疫学、分子生物学、病態・薬理学6(免疫・アレルギー、感覚器)、病態・薬理学5(腎・循環器・高血圧)
4年薬物治療学2(臓器別治療2)、薬物治療学3(悪性腫瘍)
5年
演習1年
2年
3年医療コミュニケーション2
4年薬学統合演習1、薬学演習
5年
実習1年
2年
3年薬学実習7(がん、感染症、代謝性疾患)
4年
5年薬学実務実習

メモ