科目名分類学年卒業認定との関連
分子生物学講義3年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※本間光一(病態分子生物学), 森千紘(病態分子生物学)

授業の概要

 生命のプログラムである遺伝子の構造、機能および代謝に関する基本的知識を修得します。また、バイオテクノロジーを薬学領域で応用できるようになるために、遺伝子操作に関する基本的知識を修得します。

授業の到達目標

分子生物学の基本をマスターすることを目的に、遺伝子の構造、機能および代謝、バイオテクノロジーに関する知識を修得する。

授業形式

教科書とプリントを使った講義、問題演習

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1遺伝子工学、遺伝子工学で使われる生物、遺伝子操作における安全性確保:カルタヘナ法、バイオ・細胞医薬品とゲノム情報遺伝子工学とは、最初の遺伝子工学実験とその意義、遺伝子工学を発展させたエポック、遺伝子工学はどのように活かされているか、遺伝子工学の将来、遺伝子工学で生物を用いる目的、原核生物と真核生物、ゲノムと遺伝子、大腸菌、遺伝子工学に登場する真核生物、遺伝子工学に利用される動物ウイルス、遺伝子組換え実験の自己規制、カルタヘナ法に成立、遺伝子組換え生物の使用と実験分類、実験の種類と拡散防止措置、組換え体医薬品、遺伝子治療、細胞、組織を利用した移植医療、について説明できる(知識)。本間光一
C6(2)⑤1,C6(4)①1~2,C6(4)②1~3,C6(4)③1,C6(4)④1~5,C6(4)⑤1,C6(4)⑥1~2,E2(8)①1~3,E2(8)➁1,E2(8)③1~4
2DNA:化学構造、複製。構造変化DNAの構造、DNAの構造変化、DNAの複製、DNAのメチル化、DNAの損傷と修復、DNAの組換え、について説明できる(知識)。森千紘
C6(2)⑤1,C6(4)①1~2,C6(4)②1~3,C6(4)③1,C6(4)④1~5,C6(4)⑤1
3遺伝子の発現RNA、転写機構、原核生物の転写制御、真核生物の転写制御、クロマチンとエピジェネティクス、RNAの加工と成熟、アミノ酸・ペプチド・タンパク質、翻訳、真核細胞で翻訳されたポリペプチドの運命、について説明できる(知識)。森千紘
C6(4)②1~3,C6(4)③1,C6(4)④1~5
4制限酵素、DNAメチラーゼ、DNAリガーゼ、核酸の合成、分解、修飾酵素細菌がもつ自己防衛手段:制限と修飾、遺伝子工学における制限酵素発見の意義、制限酵素の種類、Ⅱ型制限酵素のDNA認識配列と切断末端、DNAメチラーゼと制限酵素の切断特性、ホーミングエンドヌクレアーゼ、粘着末端を利用したDNAの連結、DNA合成酵素、核酸分解酵素、DNAの平滑末端化、末端リン酸基の脱着、組換えDNAからのRNA調製、について説明できる(知識)。森千紘
C6(4)⑥1~2
5プラスミド、ファージ、トランスポゾンプラスミド(プラスミドの基本的な特徴、大腸菌のプラスミド、その他のプラスミド)、ファージ(ファージの種類と増殖、λファージ、一本鎖ファージ:M13)、トランスポゾン(概要、DNAトランスポゾン、レトロトランスポゾン)、について説明できる(知識)。森千紘
C6(4)⑥1~2
6ベクターベクターの基本(遺伝子組換え実験におけるベクター、選択マーカー、ベクターの能力にかかわる機能性配列)、原核生物のベクター(主な選択マーカー、DNA導入・増幅用の大腸菌プラスミドベクター、遺伝子発現用の大腸菌プラスミドベクター、大腸菌以外の細菌用プラスミドベクター、大腸菌ファージベクター、混成プラスミドベクター、巨大DNAクローニング用ベクター)、真核生物のベクターとマーカー(真核細胞中での発現制御系、真核細胞で利用されるマーカー、酵母・真菌のベクター、動物細胞用ウイルスベクター)、について説明できる(知識)。森千紘
C6(4)⑥1~2
7タンパク質産生制御系、組換えDNAの作製と細胞への導入発現ベクター、大腸菌によるタンパク質産生、融合タンパク質の作製、T7 RNAポリメラーゼによる発現系、真核生物でのタンパク質発現、遺伝子工学で使われるタンパク質分解酵素、組換えDNAの作製(伝統的なサブクローニング、新しい組換えDNA構築法)、DNA構築に関連する技術(オリゴヌクレオチド、部位特異的変異DNAの作製、cDNAの合成)、細胞へのDNA導入(DNA導入の一般的方法、原核生物へのDNA導入、動物細胞へのDNA導入、植物細胞:TiプラスミドDNAに基づく方法)、について説明できる(知識)。森千紘
C6(4)⑥1~2
8DNAクローニング、核酸の取り扱いと分離伝統的なクローニング法(伝統的なDNAクローニングの概要、DNAライブラリー、ゲノミックライブラリーの作製)、cDNAクローニング(cDNAライブラリーの作製、cDNAクローンの選択)、ゲノム情報とPCRを活用したクローニング、核酸の物理化学的性質、DNAの調製、RNAの扱い、核酸の濃縮、ゲル電気泳動による核酸の分離、超遠心分離機による核酸の分離、について説明できる(知識)。本間光一
C6(4)⑥1~2
9塩基配列の検出と解読、PCRによるDNAの増幅核酸のハイブリダイゼーション、プローブの作製:DNAの標識、ハイブリダイゼーションによる核酸の検出法、ジデオキシ法によるシークエンシング、次世代シークエンサー:NGS、PCRの原理と概要、材料と反応条件、遺伝子工学におけるPCRの利用、リアルタイムPCR、デジタルPCR、PCRによらないDNA増幅法、について説明できる(知識)。本間光一
C6(4)⑥1~2
10遺伝子発現と遺伝子産物の解析内在性遺伝子の発現状態の解析、細胞を使った遺伝子の発現機能解析、試験管内反応による遺伝子発現の測定、情報高分子間の相互作用解析、クロマチンとエピゲノムの解析、について説明できる(知識)。本間光一
C6(4)⑥1~2
11遺伝子工学技術の応用①タンパク質工学、RNA工学とRNAi、細胞・組織・個体発生を操作する技術、ゲノム工学:遺伝子ターゲティング、について説明できる(知識)。本間光一
C6(4)⑥1~2
12遺伝子工学技術の応用➁、脳機能と分子生物学ゲノム編集、医療と遺伝子工学、植物の生命工学・遺伝子工学、生命科学におけるビッグデータ、学習能力の機能的発達と分子生物学、について説明できる(知識)。本間光一
C6(4)⑥1~2

成績評価の方法および基準

定期試験100% マークシートによる客観試験にて評価します。
中間試験0%
小テスト0%
レポート0%
その他出席点は加味しません。
遅刻、途中退席、打刻忘れ、指定された席以外での受講は、欠席扱いとなるので注意して下さい。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書基礎から学ぶ遺伝子工学 第2版田村 隆明羊土社
参考書ワトソン 遺伝子の分子生物学第7版ジェームス・D・ワトソン東京電機大学出版局
その他プリント

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1生命のプログラムである遺伝子の構造、機能および代謝に関する基本的知識は、皆さんが薬剤師として生命現象を正しく理解できる鍵となります。毎回の講義内容の予習と復習をそれぞれ2時間ずつするようにしてください。
2履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。
3次回の授業内容を予習し、専門用語の意味等を理解しておいてください。
4授業中の疑問点をまとめ、教科書、プリント等を利用し、次回の授業までに解決しておいてください。

その他の注意事項

1バイオテクノロジーを薬学領域で応用できるようになるために、遺伝子操作に関する基本的知識、技能、態度を修得することは大切です。科学的な見方を一般向けの科学雑誌を読んで知っておきましょう。
2iPS細胞や再生医療、個体レベルでの遺伝子操作は、先端的な技術です。理解するためには、生物学、化学、遺伝学の素養が必要です。テレビの科学番組を積極的に視聴して講義に臨みましょう。
3試験やレポート等に対し、解説等のフィードバックを講義内に行います。
4この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し理解すること。

主な関連科目

講義1年基礎生物学、生命科学2
2年
3年感染免疫学
4年基礎薬学特論3(生物系薬学)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学演習
5年
実習1年
2年
3年薬学実習7(がん、感染症、代謝性疾患)
4年
5年

メモ