科目名分類学年卒業認定との関連
薬学実習7(がん、感染症、臨床検査値)実習3年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※厚味厳一(病態生理学), 本間光一(病態分子生物学), 飯島亮介(生体防御学), 青木直哉(病態分子生物学), 大藏直樹(病態生理学), 鎌田理代(生体防御学), 石橋賢一(病態生理学), 森千紘(病態分子生物学)

授業の概要

 本実習は、3つの研究室(生体防御学、病態分子生物学、病態生理学)が担当し、「がんと抗悪性腫瘍薬」、「感染症」、「臨床検査値」に注目した実習を行ないます。この実習では、がん細胞に対抗する免疫作用と抗悪性腫瘍薬の作用を体験します(生体防御学研究室担当)。また、抗生物質に耐性を獲得した菌の検出を分子生物学的手法で行なうとともに、サイトカインの量を免疫学的手法で測定します(病態分子生物学研究室担当)。さらに、血液生化学検査や血液検査の臨床検査値を測定し、薬剤師の立場で臨床検査値をどのように活用するのかを、得た値を基に考えます(病態生理学研究室担当)。
 病態生理学研究室が担当する実習では、臨床検査値や患者情報から推測できる患者の状態についてグループで議論する問題解決型(PBL)のアクティブラーニングを一部取り入れます。

授業の到達目標

① 講義で習ったことを実験を通じて体験し、知識をより確実なものとして発信できる。
② 明確な答えがないことについて、根拠を挙げて推測し、討論できるようになる。
③ 休むことなく真摯に取り組み、必要とされるものが期限までに提出できる。

授業形式

全体を大きく3つのグループにわけ、3項目の内容をローテーションすることで、全員が3項目のすべてを行います。各グループは1項目について3日ずつ実習します。各項目では、2人から4人で実習を行います。一部の実習では、SGDを行います。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1ガイダンス
実習の概要と目的の説明。実習日程の説明と諸注意の伝達。 鎌田理代
飯島亮介
本間光一
青木直哉
厚味厳一
大藏直樹
石橋賢一
森千紘
A(5)①4
G(1)①1,2
2がんと免疫免疫強化薬によって活性化された白血球が観察できる(知識、技能、態度)。飯島亮介
鎌田理代
C6(7)③1
C8(1)①3
C8(1)②2
E2(7)⑦1,3
3がんと分子標的薬
がん細胞に対する分子標的薬のはたらきを概説し、その作用を評価できる(知識、技能、態度)。飯島亮介
鎌田理代
C8(1)①3
C8(1)③5
C8(2)①6
4細胞傷害性抗悪性腫瘍薬および分化誘導能をもつ抗悪性腫瘍薬抗悪性腫瘍薬の作用を概説し、その効果を測定できる(知識、技能、態度)。飯島亮介
鎌田理代
A(1)②4
C6(7)②1
E2(7)⑦3
E2(7)⑧1,3
5抗生物質耐性菌の分子生物学的手法による検出(1)
分泌されるサイトカインの免疫学的手法による検出(1)
黄色ブドウ球菌と大腸菌が分離できる(技能、態度)。
サイトカインの量を抗原抗体反応を利用した方法を概説し、測定できる(知識、技能、態度)。
本間光一
青木直哉
森千紘
C2(6)②2
C8(2)②4
C8(3)②1,5
C8(3)⑥2,3
E2(7)②1
6抗生物質耐性菌の分子生物学的手法による検出(2)
分泌されるサイトカインの免疫学的手法による検出(2)
遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応により増幅できる(技能、態度)。
サイトカインの量を抗原抗体反応を利用した方法を概説し、測定できる(知識、技能、態度)。
本間光一
青木直哉
森千紘
C2(6)②2
C6(4)⑥1
C8(2)②4
C8(3)②5
E2(7)②1
7抗生物質耐性菌の分子生物学的手法による検出(3)
分泌されるサイトカインの免疫学的手法による検出(3)
アガロースゲル電気泳動により遺伝子断片が分離できる(技能、態度)。
電気泳動の結果に基づき、抗生物質耐性菌が検出できる(技能、態度)。
サイトカインの量を抗原抗体反応を利用した方法を概説し、測定できる(知識、技能、態度)。
本間光一
青木直哉
森千紘
C2(5)②1
C6(4)⑥1
C8(2)②4
C8(3)②5
E2(7)②1
8臨床検査値の測定と患者情報に基づく薬学的管理薬剤師が薬学的管理を行うために必要な臨床検査値について概説できる(知識、技能)。
血液検査値や血液生化学検査値の測定が実施できる(知識、技能)。
臨床検査値の変化に基づき、患者の健康状態の変化を説明できる(知識、技能、態度)。
臨床検査値や患者情報に基づき、患者への対応を想定し議論できる(知識、技能、態度)。
厚味厳一
大藏直樹
石橋賢一
A(1)①2
A(1)②6
A(1)③5
A(3)①7,8,9
A(4)2,3,5
A(5)①3,4
B(4)①1,2,3
C2(6)②3
C6(2)⑧1
C6(3)④2
C7(2)⑥1
D1(2)③2,3
D1(3)①5,8
E1(2)①1
E1(2)②3
E1(3)1
E1(4)2
E2(5)①1,2,3
E2(9)1,3,4,6
E3(2)②3
F(3)③2,9
F(3)④1,4,7,9,10
9臨床検査値の変化に基づく薬学的管理血液検査値や血液生化学検査値の測定が実施できる(技能、態度)。
薬物治療の効果や副作用発現の可能性について、臨床検査値の変化に基づき想定し議論できる(知識、技能、態度)
臨床検査値や患者情報、医薬品情報から推測した患者の状態について、医療従事者間での共有に関して考える事が出来る(知識、技能、態度)。
厚味厳一
大藏直樹
石橋賢一
A(1)①2
A(1)②6
A(1)③5
A(4)2,3,5
A(5)①3,4
B(4)①1,2,3
C2(6)②3
C6(2)⑧1
C6(3)④2
C7(2)⑥1
D1(2)③2,3
E1(1)①7
E1(2)①1
E1(2)②2,3
E1(4)2
E2(5)①1,2,3
E2(9)1,3,6
E3(2)②3
F(3)③2,9
F(3)④1,4,7,9,10
10臨床検査値の測定と臨床検査値の変化に基づく薬学的管理血液検査値の測定を実施できる(技能、態度)。
患者の臨床検査値の変化から、病態の変化について説明できる(知識、技能、態度)。
臨床検査値の変化に基づき、薬物治療の効果や処方の適正性について推測し議論できる(知識、技能、態度)。
厚味厳一
大藏直樹
石橋賢一
A(1)①2
A(1)②6
C2(6)②3
C7(2)⑨1
D1(2)③2,3
E1(1)①7
E1(2)①1
E1(2)②2,3
E1(3)1
E2(3)①1
E2(3)②2
E3(2)②3
F(3)③2,9
F(3)④1,4,7,9,10

成績評価の方法および基準

定期試験10% 到達目標①の知識に関して、マークシートを用いた客観試験を実習終了時に実施し、評価する。
中間試験0%
小テスト0%
レポート30% 到達目標の①と②について、各項目ごとのレポートをルーブリック評価表に基づき、評価する。
その他60% 到達目標の③について、休むことなく実習を行い、期限までにレポートを提出し、試験を受験した場合に、成績評価の60%分を与える。なお、実習態度が悪い場合やレポートの提出が遅れた場合などは、減点する。
原則として欠席を認めないが、やむを得ない欠席と判断した場合には補充実習を行う。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書実習書(薬学実習7)
生体防御学研究室、病態分子生物学研究室、病態生理学研究室 編
参考書化学療法学柴崎正勝他 監修廣川書店
参考書病気がみえる ⑥免疫・膠原病・感染症医療情報科学研究所 編集Medic Media
参考書基礎から学ぶ遺伝子工学 第2版田村隆明 著羊土社
参考書イラストでわかる微生物学超入門ー病原微生物の感染のしくみ斎藤光正 著南山堂
参考書休み時間の免疫学齋藤紀先 著講談社サイエンティフィック
参考書病気がみえる ③糖尿病・代謝・内分泌医療情報科学研究所 編集
Medic Media
参考書薬がみえる②医療情報科学研究所 編集Medic Media
参考書パートナー薬理学石井邦雄、栗原順一、田中芳夫 編集南江堂
参考書知っておきたい臨床検査値(第2版)日本薬学会編東京化学同人

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1実習前には、1、2年生の生理学、解剖学、生化学など生物学の基礎となる内容を学んだ講義、2年生の薬理学3、3年生の病態薬理学4、病態薬理学6、分子生物学、感染免疫学、薬物治療学1、臨床分析学の該当箇所を復習すること。
また、必ず実習書を読むこと。各実習項目について、少なくともこれらのことを合わせて1時間半は事前に行うこと。
実習後には、実習で行った内容に関してわからなかったことを、少なくとも1時間は調べること。
2この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は22.5時間であり、1回の講義あたり2.25時間となります。

その他の注意事項

1実習を受身で行なうのではなく、積極的に参加し、多くの有益な体験をしてください。また、得られた結果に対し、「何がわかるのか」や「何が考えられるのか」といったことを考察する必要があるので、そのためにも準備学修は大切です。
2実習で行なう手法、用いる機器などに興味を持ちましょう。また、ただの作業にならないように、ひとつひとつの操作の意味を考えて、丁寧に実習を行いましょう。
33年生後期までに履修した関連科目から得た知識を自分のものとし、生きた知識とすることを目指してください。
4実習結果に基づいて問題点などを見つけて考察し、結果を自分なりに解釈することを目指しましょう。その過程で、班員や教員と討論を行うことがあります。自分の考えを根拠を基にしてまとめて、正しく表現することも目指しましょう。
5レポートは、個人で書くものです。他人のレポートを参考にするのは良いですが、そのまま、あるいはほとんど同じ内容を書くことは、カンニングと同じ行為とみなすので、行わないこと。高い倫理観をもって、実習を行いましょう。また、教科書やネットから得た関連しそうな内容を、考えなく書き連ねることは意味がないことです。
6実習で得られた結果などに対し、解説等のフィードバックを行います。
7この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年生化学1、生理学1、医学概論(症候・OTC)、生命科学1、薬科生物学、生命科学2、機能形態学
2年生化学2、生化学3、生理学2、薬理学3(感染症・悪性腫瘍)、栄養化学
3年分子生物学、臨床分析学、感染免疫学、薬物治療学1(総論・臓器別治療1)、医薬品情報学、病態・薬理学4(代謝・血液)、病態・薬理学6(免疫・アレルギー、感覚器)
4年薬物治療学3(臨床検査・悪性腫瘍)、薬物治療学4(感染症・統合演習1)、薬物治療学2(臓器別治療2)、基礎薬学特論3(生物系薬学)
5年
演習1年
2年
3年薬学コミュニケーション2
4年薬学統合演習1、薬学演習
5年医療コミュニケーション4
実習1年
2年
3年薬学実習5(薬理学)
4年薬学実習8(実務実習事前学習)、薬学実習9(実務実習事前学習)、薬学実習10
5年薬学実務実習(病院・薬局)

メモ

実習の場所:薬学部実習室 A1~3