科目名分類学年卒業認定との関連
漢方医学概論講義4年前期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※山岡法子(臨床分析学)

授業の概要

 中国で発生した伝統医学・伝統薬は6~7世紀頃までに日本に伝来し、長い年月をかけて日本の伝統医学となった。これが「漢方医学」および「漢方薬」である。江戸時代までは我が国の医療を支える主流であった漢方であるが、明治の医療改革に際して西洋医学が主流となったことから一度は大きく衰退した。しかし近年その重要性が再認識され新しい適応が報告されて徐々に利用が広まり、現在は日常的に医師が診療に用いるようになっている。
漢方医学総論では、漢方医学の来歴、基本概念と診察法や現代医療の中の漢方医学の位置付けを学ぶ。漢方薬各論では、医療用漢方エキス製剤として頻繁に用いられる処方を主要な構成生薬を中心に分類して学ぶ。また、近年の医療現場における漢方薬の利用状況や問題点について知っておくことは実務実習および薬剤師の職務を行う上で非常に重要である。医療用医薬品としての漢方薬の他に、セルフメディケーションで活用される薬局製剤としての漢方製剤、一般用医薬品に分類される漢方製剤もあることから、各薬剤の違いや取り扱いについて修得する。本科目は、実務経験(薬剤師)のある教員による授業です。

授業の到達目標

医療現場で用いられている漢方薬を適切に扱うことができる薬剤師になるために、
①漢方医学と漢方薬に関する考え方と特徴、患者の状態を漢方医学的に判断するための基本概念を概説できる。
②含有生薬から漢方薬を系統的に分類し主要な漢方薬の作用に関する知識を有する。
③代表的な漢方薬の適応と副作用や注意事項に関する知識を有する。

授業形式

教科書とプリントを使った講義とし、スライドを用いて説明を行う。講義に対する理解度を確認するための小テストを実施する。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1漢方医学総論(1) 漢方医学・漢方薬を学ぶ意義、漢方の特徴、西洋薬・民間薬・サプリメント・保健機能食品などとの違いについて説明できる(知識)、漢方製剤の種類と剤型、煎じ薬・エキス剤の特徴、エキス剤の製造工程などについて説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)①1.4
E2(10)②3
2漢方医学総論(2) 漢方の来歴、漢方基本概念(陰陽、虚実、寒熱、表裏、気血水など)について説明できる(知識)山岡法子
E2(10)①1,2
3漢方医学総論(3) 漢方診察法(四診)、「証」について説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)①1,2
E2(10)②1,3
4漢方医学総論(4)本草学(気味、性、修治など) 、漢方薬の分類 について概説できる(知識) 山岡法子
E2(10)①1,3
E2(10)②1,2
5漢方薬各論(1) 桂枝湯類、麻黄剤について、代表処方と効能・適応を説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
6漢方薬各論(2) 柴胡剤、瀉心湯類について、代表処方と効能・適応を説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
7漢方薬各論(3) 大黄剤・承気湯類、苓朮剤、について、代表処方と効能・適応を説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
8漢方薬各論(4) 附子剤、人参剤について、代表処方と効能・適応を説明できる(知識)山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
9漢方薬各論(5) 地黄剤(四物湯類)、石膏剤について、代表処方と効能・適応を説明できる(知識)山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
10漢方薬各論(6) 駆瘀血剤およびその他、代表処方と効能・適応を説明できる(知識)山岡法子
E2(10)①3
E2(10)②2
11漢方薬の応用(1)漢方薬の副作用、服用上の注意点について説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)③1
12漢方薬の応用(2) 漢方薬の服薬指導、近年の医療現場における漢方薬の利用状況について説明できる(知識) 山岡法子
E2(10)②1,2,3

成績評価の方法および基準

定期試験100% 到達目標の達成度に関して、マークシートによる客観試験と筆記・論述試験を併用して評価する。
中間試験0%
小テスト0% 講義中に行う小テストを理由なく行わないものは、該当する講義を欠席したものとみなす。
レポート0% 
その他0% 出席点は加味しない。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書現代医療における漢方薬 改訂第3版日本生薬学会 監修南江堂
参考書薬学生のための漢方医薬学 改訂第3版山田陽城、花輪壽彦、金成俊、小林義典 編集南江堂
参考書漢方診療のレッスン花輪壽彦金原出版
その他プリント、漢方薬(エキス製剤、煎じ薬・丸剤・散剤など)

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1指定する教科書該当ページを読んでから講義を受けること。事前課題がある場合には必ず行う。(各回120分以上)
2事前または事後学習として、教科書に閉じこまれている「漢方構成生薬一覧ワークシート」を完成させることを必須とする。(各回120分以上)
3履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。

その他の注意事項

1現代医学と異なる考え方は当初戸惑うこともあるかもしれませんが、漢方薬の成り立ちや使用方法を理解する上で重要です。またこれまで馴染みのない漢方薬の名前は覚えにくいですが、効能別や内容生薬でグループごとに覚えるとよいでしょう。
2近年漢方薬の利用が広がっています。医療現場で頻繁に利用される薬剤のひとつとして実務実習でも漢方薬を扱います。薬剤師業務を想定して、前向きに取り組みましょう。
3小テストやレポートなどに対するフィードバックは、TYLASまたはLMSシステムを用いて資料配信します。講義の一部と認識し、重要な注意や補足を含む場合もあるため必ず確認してください。
4この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年
2年
3年生薬学・天然物化学
4年基礎薬学特論2(化学系薬学)
5年
演習1年
2年
3年
4年
5年
実習1年
2年薬学実習3(有機化学・分析化学)
3年
4年
5年

メモ