科目名分類学年卒業認定との関連
基礎薬学特論2(化学系薬学)講義4年後期必修・1単位
担当者(※は責任者)
※忍足鉄太(創薬化学), 橘高敦史(薬化学), 杉山亨(代謝化学), 高野真史(薬化学), 山岡法子(臨床分析学), 田畑英嗣(創薬化学)

授業の概要

 薬学の根幹となる有機化学及び生薬・漢方について項目別に各回完結型で講義します。代表的な医薬品(天然物由来の医薬品を含む)についても採り上げ、官能基の化学、立体化学、作用機序と絡め医薬品の成り立ちを理解します。本講義を通じて、問題の意図を的確に把握し、その解決能力を高めます。本科目は、実務経験(薬剤師)のある教員が担当する授業が含まれます。

授業の到達目標

医薬品と生体成分との相互作用を理解する観点から、
1)脂肪族及び芳香族炭化水素の化学的な性質と構造的な特徴を説明できる。
2)官能基が有機化合物に与える効果を理解し、反応性と物質としての性質を説明できる。
3)自然界に存在する天然医薬資源の特徴や基原、臨床への応用などについて説明できる。

授業形式

教科書とプリント(iPad配信)を使った講義。毎回、理解度の確認テストをします。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1化学物質の性質と反応(1)脂肪族炭化水素の性質を説明できる。特に、アルケンへの求電子付加反応と立体化学、医薬品への適用について説明できる。(知識)
芳香族炭化水素の性質を説明できる。特に、芳香族化合物の反応性・求電子置換反応、医薬品への適用について説明できる。(知識)
橘高敦史
高野真史
忍足鉄太
田畑英嗣
C3(2)①1~5, C3(2)②1~3, C3(2)③1~5, C4(3)③3, C3(1)①1〜4,6,7
2化学物質の性質と反応(3)官能基が有機化合物に与える効果を理解し、反応性と物質としての性質を説明できる。特に、有機ハロゲン化合物・求核置換反応(SN2とSN1)および脱離反応(E2とE1)と立体化学、医薬品への適用について説明できる。(知識)高野真史
田畑英嗣
C3(3)①1,2, C3(3)②1~3, C3(3)③1,2, C3(1)①8,9
3化学物質の性質と反応(4)官能基が有機化合物に与える効果を理解し、反応性と物質としての性質を説明できる。特に、ケトン・アルデヒドの求核付加反応、医薬品への適用について説明できる。(知識)高野真史
田畑英嗣
C3(3)④1, C3(3)⑤1, C3(5)①1〜5
4化学物質の性質と反応(5)官能基が有機化合物に与える効果を理解し、反応性と物質としての性質を説明できる。特に、カルボン酸とカルボン酸誘導体、医薬品への適用について説明できる。(知識)橘高敦史
杉山亨
高野真史
C3(1)①2〜9,
C3(3)④2,3 C3(3)⑥1, C3(3)⑦1
5化学物質の性質と反応(6)官能基が有機化合物に与える効果を理解し、反応性と物質としての性質を説明できる。特に、アミンの塩基性と求核性、複素環の窒素原子の役割、医薬品への適用について説明できる。(知識)田畑英嗣
忍足鉄太
C3(3)⑤1, C3(3)⑥1, C3(3)⑦2, C4(3)③1〜3
6生薬学・漢方薬自然界に存在する物質を医薬品として利用するために、代表的な天然物質の起源、特色、臨床応用などについて説明できる。特に、日本薬局方収載生薬の性状、確認試験反応、及び薬効等について説明できる。(知識)山岡法子
田畑英嗣
C5(1)①1~4, C5(1)②1 , C5(1)③1,2, C5(1)④1~5
7天然物化学と医薬品自然界に存在する物質を医薬品として利用するために、代表的な天然物質の含有成分の単離、構造、物性、生合成などについて説明できる。特に、生薬成分の生合成と構造、天然物由来医薬品の構造と薬効、NMRによる構造決定について説明できる。(知識)田畑英嗣
忍足鉄太
山岡法子
C5(2)①1~5, C5(2)②1,2, C5(2)③1, C5(2)④1,2, C3(4)①1〜5
8生体分子・医薬品を化学で理解する医薬品の作用を化学構造と関連付けて理解するために、医薬品に含まれる代表的な構造とその性質について説明できる。また、古典的な医薬品から理論的な創薬への歴史について説明できる。(知識)橘高敦史
杉山亨
田畑英嗣
高野真史
C3(1)②1〜5, C4(1)①1,2, C4(1)②1〜3, C4(2)③1,2, C4(2)④1,2, C4(3)①1, C4(3)②1,2, C4(3)③1〜3, C4(3)④1〜6, C4(3)⑤1〜5, C4(3)⑥1〜3, C4(3)⑦1

成績評価の方法および基準

定期試験100% マークシートによる客観試験で評価します。
中間試験
小テスト
レポート
その他集中講義であるため3回以上欠席した場合も定期試験の受験を認めるが、欠席回数に応じて減点する。
理解度の確認テストへの取り組みが不良と判断される学生(例えば、確認テストに未回答の者や白紙で提出した者など)は、減点の対象となるので注意すること。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書ベーシック薬学教科書シリーズ
有機化学
夏苅英昭、高橋秀依 編著化学同人
教科書ベーシック薬学教科書シリーズ
創薬科学・医薬化学
橘高敦史 編著化学同人
参考書知っておきたい有機反応100日本薬学会編東京化学同人
その他プリントの問題(おもにiPad上に配信します)
スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学Ⅰ.第2版 日本薬学会編 東京化学同人
スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学Ⅱ.第2版 日本薬学会編 東京化学同人
スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学Ⅳ. 演習編 日本薬学会編 東京化学同人

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1事前学修:前回の授業内容(プリント等)を復習し、用語の意味等を理解しておくこと。
1年生から4年生前期までに有機化学、医薬品化学、天然物化学と生薬学の力をしっかり蓄えていないと本講義は消化できません。これまでの有機化学系の講義内容をよく復習してきてください。勉強してきた人にはチャレンジしがいのある、また復習効果が高い講義内容です。
事後学修:授業中の疑問点をまとめ、教科書、プリント等を利用し、次回の授業までに解決しておくこと。
2この講義は1単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は29時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。

その他の注意事項

1医薬品の化学構造と薬効の理解、作用機序と副作用、リスクの高い医薬品(特に抗悪性腫瘍薬)の化学構造、化学的安定性から考慮すべき保管法など、臨床現場を常に意識しましょう。
2練習問題をこなすほど理解が深まります。学習内容を忘れることも少なくなります。薬学実習3の復習もするようにしましょう。
3分子模型は理解を助けます。分子を3次元的に理解できるようにしましょう。
4試験やレポート等に対し、解説等のフィードバックを行います。
5この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連について、カリキュラム・マップを参照して理解すること。

主な関連科目

講義1年基礎化学、有機化学1
2年有機化学2、有機化学3、機器分析学
3年有機化学4、医薬品化学1、生薬学、天然物化学
4年医薬品化学2、漢方医学概論
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学演習
5年
実習1年
2年薬学実習3(有機化学・分析化学)
3年
4年
5年

メモ

CBTの問題集・解説書・コアカリ重点ポイント集なども適宜参考にします。