科目名 | 分類 | 学年 | 期 | 卒業認定との関連 | |
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薬学総合講義1 | 講義 | 6年 | 前期 | 必修・2単位 | |
担当者(※は責任者) | |||||
楯直子(生体分子化学), 岸本泰司(物理化学), 山下純(生物化学), 荒田洋一郎(衛生化学), 本間光一(病態分子生物学), 山口真二(基礎生物学), 山本秀樹(環境衛生学), 細山田真(人体機能形態学), 馬渡健一(医薬品分析学), 青木直哉(病態分子生物学), 根岸文子(基礎生物学), 岡沙織(衛生化学), 北加代子(毒性学), 三枝大輔(臨床分析学), 宮田佳樹(薬物治療学), 安田誠(医薬品分析学), 道志勝(人体機能形態学), 佐々木洋子(生物化学), 原田史子(分子薬剤学), 下山多映(環境衛生学), 本間太郎(毒性学), 長田洋一(薬学教育研究センター), 村田拓哉(生体分子化学), 今野裕史(物理化学), 森千紘(病態分子生物学), ※鈴木俊英(毒性学), 岩澤晴代(薬学教育研究センター) |
《物理分野》薬学の基礎となる物理化学および分析化学について、項目別に各回完結型で講義します。物質の物理的性質、物質の状態(エネルギーや相平衡)、反応速度、化学平衡、さまざまな分析方法、ならびに機器分析について、代表的な医薬品の例を学びながら理解を深めます。本講義を通じて、問題の意図を的確に把握し、その解決能力を高めます。
《生物分野》これまでの生物系基礎薬学分野の講義で学習した重要な項目を総合的に各回完結型で講義します。本講義を通じて、生命現象を分子・細胞レベルでより深く理解できる総合力を養います。5年次の実務実習で学習した内容を踏まえ、生物系薬学分野の学問的基盤と薬剤師の専門性との関連を再認識しながら学習することを目的とします。
《衛生分野》2〜4年までの間に学習した衛生薬学分野の各科目の総復習をし、「健康と環境」に関する知識を確かなものとします。また、実務実習で学習・体験したこの分野に関係する内容・項目も取り入れ、薬剤師として幅広い分野で活躍するために必要な知識を修得する事を目的として講義を行います。
《物理分野》4年後期の基礎薬学特論1で確認した物理系薬学(物理化学と分析化学)の基本事項をもとに、更に一歩踏み込んだ応用に対応できるようにするために、物理系薬学で習ってきた事項をどのような場合に使うか、どのように使うか、あるいは正確に計算できるかなどを身につける。
《生物分野》科学的な根拠の下に医薬品・化学物質等が生体に及ぼす影響を理解し適切で効果的な薬物治療を実施するために、
①医薬品が作用する場である人体の構造や仕組みを説明できる。
②感染症の原因である微生物とそれに対応する人体の免疫機構について説明できる。
③生体物質の代謝など基本的な生命現象を科学的に説明できる。
④医薬品の作用点であるタンパク質や核酸の機能について説明できる。
《衛生分野》人々の健康増進と、健康にとってより良い環境の維持および公衆衛生の向上に貢献できるようになるために、現代社会における疾病とその予防、栄養と健康、化学物質などのヒトへの影響、適正な使用、および地球生態系や生活環境と健康との関わりにおける基本的知識を有している。
教科書とプリントを使った講義。講義中に理解度の確認テストをする場合もありますが、講義後に各自必ず問題を解いて確認を行って下さい。
回 | 項目 | 内容 | 担当 | コアカリ 番号 |
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1 | 物質の構造 | 化学結合および分子間相互作用について説明できる(知識) | 岸本泰司 | C1(1)③ |
2 | 物質の構造 臨床現場で用いる分析技術 | 放射線と放射能、分析技術(代表的な画像診断技術)について説明できる(知識) | 宮田佳樹 | C1(1)④, C2(6)② |
3 | 物質の状態 I | エネルギー(仕事と熱、エンタルピー)、自発的な変化(エントロピー、ギブスエネルギー)について説明できる(知識) | 岸本泰司 | C1(2)②, C1(2)③ |
4 | 物質の状態 II | 物理平衡(相平衡、溶解平衡、束一的性質)について説明できる(知識) | 岸本泰司 | D1(3)③1〜3 |
5 | 反応速度 | 反応速度について説明できる(知識) | 今野裕史 | C1(3)① |
6 | 化学平衡 | 酸と塩基、各種の化学平衡(沈殿平衡、分配平衡、イオン交換)について説明できる(知識) | 安田誠 | C2(2)①, C2(2)② |
7 | 定量の基礎と化学物質の検出, 蛍光光度法 | 定量の基礎、定性分析について説明できる(知識) 蛍光光度法について説明できる(知識) | 馬渡健一 | C2(1)①1~3, C2(3)①1, C2(4)①2 |
8 | 容量分析・重量分析・純度試験法 | 容量・重量分析、純度試験について説明できる(知識) | 馬渡健一 | C2(3)②1~7 |
9 | 化学物質の検出と定量 | 金属元素の分析、クロマトグラフィーについて説明できる(知識) | 三枝大輔 | C2(5)① |
10 | 化合物の構造決定 | 1H-NMR スペクトル、IRスペクトルについて説明できる(知識) | 三枝大輔 | C2(4)①3, C2(4)②, C3(4)①, C3(4)② |
11 | 分析技術の臨床応用 | イムノアッセイ、電気泳動法ほかについて説明できる(知識) | 安田誠 | C2(5)②, C2(6)② |
12 | 無機化合物・錯体の構造と性質 | 代表的な無機化合物・錯体(医薬品を含む)の構造、性質について説明できる(知識) | 村田拓哉 | C3(5)① |
13 | 微生物・ウイルス | 総論(微生物、原核生物と真核生物)、細菌の構造と増殖、グラム陽性菌と陰性菌、細菌毒素、ウイルスの構造と増殖過程、真菌・原虫・その他微生物、消毒と滅菌について説明できる(知識) | 本間光一 | C8(3), C8(4) |
14 | 生理活性分子とシグナル分子 | さまざまなホルモンとホルモン異常による疾患、エイコサノイド・セロトニン・ヒスタミンの生合成と生理、神経伝達物質、サイトカイン・ケモカインについて説明できる(知識) | 道志勝 | C7(1)⑫, C7(2)②, C7(2)③, C7(2)⑩ |
15 | 細胞内情報伝達 | セカンドメッセンジャー、膜タンパク質受容体、細胞内受容体について説明できる(知識)。 | 道志勝 | C6(6)② |
16 | 生体防御反応 | 自然免疫と獲得免疫、補体、自己と非自己の認識、体液性免疫と細胞性免疫、免疫に関与する組織と細胞、免疫反応における細胞間ネットワーク、分子レベルで見た免疫のしくみについて説明できる(知識) | 根岸文子 | C8(1)①, C8(1)②, C8(1)③ C8(2)① |
17 | 免疫系の破綻・免疫系の応用 | 免疫系が関係する疾患(アレルギー・炎症・自己免疫疾患・免疫不全症候群)、免疫応答のコントロール、免疫反応の利用について説明できる(知識) | 青木直哉 | C8(1)①, C8(1)②, C8(1)③, C8(2)① |
18 | ヒトの成り立ち | 概論、中枢神経系・末梢神経系、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌全般、感覚器、血液と造血器系臓器、骨の基本骨格と骨格筋、皮膚の構造と機能について説明できる(知識) | 細山田真 | C7(1), C7(2) |
19 | 生命活動を担うタンパク質 | 多彩な機能をもつタンパク質を列挙し概説できる。タンパク質の成熟と分解について説明できる。酵素反応の特性、反応速度論、補酵素、微量金属の役割、酵素活性調節機構を説明できる。膜輸送体、血漿リポタンパク質について説明できる(知識) | 佐々木洋子 | C6(3)①~④ |
20 | 生体エネルギーと生命活動を支える代謝系 | 解糖系、TCAサイクル、電子伝達系、酸化的リン酸化(ATPの産生)、栄養素の消化・吸収、飢餓状態と飽食状態について説明できる(知識) | 山下純 | C6(5) |
21 | 生命現象を担う分子 | 脂質・糖質・アミノ酸の分類と構造・役割・性質とその代謝、ビタミンの基本的性質と欠乏症・過剰症について説明できる(知識) | 山下純 | C6(2)①~③, C6(2)⑥ |
22 | 生体の機能調節 | 神経・筋、ホルモン、循環・呼吸系、体液、消化・吸収、体温とそれぞれの調節機構について説明できる(知識) 細胞と組織、細胞膜、細胞内小器官、細胞の分裂と死、細胞間コミュニケーションについて説明できる(知識) | 原田史子 | C7(2), C6(1), C6(6), C6(7) |
23 | 生命情報を担う遺伝子 | ヌクレオチドと核酸、遺伝情報を担う分子について説明できる(知識) 転写と翻訳のメカニズム、遺伝子の複製・変異・修復、遺伝子多型について説明できる(知識) | 森千紘 | C6(4) |
24 | 遺伝子操作 バイオ医薬品とゲノム情報 | 遺伝子操作の基本とクローニング、遺伝子ライブライリー、PCR法、RNAの逆転写、DNAの塩基配列の決定法、遺伝子機能の解析、組換え医薬品について説明できる(知識) | 山口真二 | C6(4) |
25 | 栄養素 (1) | 五大栄養素の栄養学的価値、栄養素の消化吸収代謝、五大栄養素以外の食品成分について概説できる(知識) | 岡沙織 | D1(3)①1〜4 |
26 | 栄養素 (2) 食品機能と食品衛生(1) | エネルギー代謝、栄養摂取の現状と問題点、食事摂取基準、栄養素の過不足で起こる疾病、疾病治療における栄養の重要性について概説できる(知識) 保健機能食品について概説できる(知識) | 岡沙織 | D1(3)①5〜8, D1(3)②1〜4 |
27 | 食品機能と食品衛生(2) | 食品の腐敗・変敗、褐変現象、食品の保存法、食品成分由来の発がん性物質、食品添加物、食品衛生に関する法規制について概説できる(知識) | 荒田洋一郎 | D1(3)②5〜7 |
28 | 食中毒と食品汚染 | 細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、自然毒による食中毒、化学物質やカビによる食品汚染について概説できる(知識) | 荒田洋一郎 | D1(3)③1〜3 |
29 | 保健統計、疫学 | 人口静態、人口動態、死因別死亡率の変遷、疫学の種類、要因・対照研究、症例・対照研究について概説できる(知識) | 鈴木俊英 | D1(1)①1, D1(1)②1~3, D1(1)③1~4 |
30 | 疾病の予防、感染症、生活習慣病、職業病 | 予防接種、新生児マススクリーニング、感染症の現状とその予防、感染症の類型、生活習慣病の種類と動向、職業病について概説できる(知識) | 本間太郎 | D1(2)①1~2, D1(2)②1~4, D1(2)③1~3, D1(2)④1,2, D1(2)⑤1,2 |
31 | 化学物質の代謝・代謝的活性化 化学物質による発がん | 第一相及び第二相反応の関わる代謝と代謝的活性化、発癌機構(発癌のイニシエーションとプロモーション)について概説できる(知識) | 北加代子 | D2(1)①1, D2(1)③1,3 |
32 | 化学物質(乱用薬を含む)の毒性とその評価、法的規制、試験法および解毒法 | 代表的な薬毒物(金属、農薬、有機塩素剤、工業用薬品、乱用薬物、活性酸素など)の毒性と健康影響、生体防御要因について概説できる(知識) 代表的な薬毒物の試験法、安全性評価、法的規制および薬毒物中毒の解毒法について概説できる(知識) | 北加代子 | D2(1)①2~7, D2(1)②2~5, D2(1)③2 |
33 | 地球環境と生態系および廃棄物 | 地球環境と生態系、廃棄物について概説できる(知識) | 山本秀樹 | D2(2)①1~4,D2(2)⑥ |
34 | 水環境の衛生 | 水環境に関して概説できる(知識) | 下山多映 | D2(2)③ |
35 | 大気環境の衛生および室内環境 | 大気環境、室内環境、環境保全と法的規制について概説できる(知識) | 山本秀樹 | D2(2)④,D2(2)⑤ |
36 | 放射線の生体への影響 | 電離放射線、非電離放射線を列挙し、生体への影響とそれを防御する方法について概説できる(知識) 代表的な放射性核種と生体との相互作用について概説できる(知識) | 長田洋一 | D2(1)④1〜4 |
定期試験 | 100% マークシートによる客観試験で評価します。 |
中間試験 | 0% |
小テスト | 0% |
レポート | 0% |
その他 | 無断欠席、遅刻など、受講態度が不良な場合には減点することがあります。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 薬学テキストシリーズ 分析化学 Ⅰ、Ⅱ | 中込和哉、秋澤俊史 編著 | 朝倉書店 |
教科書 | 放射薬品学 | 小佐野博史、岸本成史他 | 南江堂 |
参考書 | カラー図解 見てわかる生化学 | コールマン、レーン 著 | メディカル・サイエンス・ インターナショナル |
参考書 | スタンダード薬学シリーズⅡ 4 生物系薬学Ⅰ 生命体の成り立ち | 日本薬学会編 | 東京化学同人 |
参考書 | スタンダード薬学シリーズⅡ 4 生物系薬学Ⅱ 生命をミクロに理解する | 日本薬学会編 | 東京化学同人 |
参考書 | スタンダード薬学シリーズⅡ 4 生物系薬学Ⅲ生体防御 | 日本薬学会編 | 東京化学同人 |
参考書 | 衛生化学詳解(上下) | 大塚文徳 他7名 著 | 京都廣川書店 |
参考書 | 薬剤師国家試験対策参考書1 物理 | 薬学ゼミナール編 | 薬学ゼミナール |
参考書 | 薬剤師国家試験対策参考書3 生物 | 薬学ゼミナール編 | 薬学ゼミナール |
参考書 | 薬剤師国家試験対策参考書4 衛生 | 薬学ゼミナール編 | 薬学ゼミナール |
その他 | 副教材としてのプリントや予習用演習問題が、TYLASの資料として、あるいは小テストシステムで配信される場合があります。 |
1 | 授業を受ける前に、4年次の共用試験に向けて積み重ねた知識を復習するとともに、5年次の実務実習で得た知識を再確認しておくこと。 |
2 | 授業中の疑問点をまとめ、教科書、プリント等を利用し、次回の授業までに解決しておくこと。 |
3 | 履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。 講義1回について150分以上の予習・復習を行ってください。 予習について:次回の講義範囲に目を通し、用語の意味等を理解しておくこと(30分程度)。 復習について:配布プリント、配信資料、教科書、参考書、自己学習アプリ、国試過去問などを見返し問題を解き、理解度を確認するとともに知識の定着を図って下さい(120分以上)。 |
1 | 講義後の自己学習(問題の演習)が重要です。出来るだけ講義を受けた日に、問題を解いて理解度の目安にしてください。 |
2 | 実務実習で経験した内容との関連性をいつでも頭の片隅におきながら学習して下さい。 |
3 | 試験やレポート等に対し、解説等のフィードバックを行います。 |
4 | この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連を理解すること。 |
講義 | 1年 | 基礎物理化学、物理化学1、薬品分析化学、生化学1、機能形態学、生理学1、薬科生物学、生命科学1、生命科学2 |
2年 | 物理化学2、物理化学3、応用分析化学、機器分析学、生化学1、生化学2、生化学3、生理学2、エコサイエンス、栄養化学 | |
3年 | 臨床分析学、放射薬品学、分子生物学、感染免疫学、衛生化学、環境衛生学、毒性学 | |
4年 | 保健衛生学、基礎薬学特論1(物理・分析系薬学)、基礎薬学特論3(生物系薬学)、衛生薬学特論 | |
5年 | 薬学最前線 | |
演習 | 1年 | |
2年 | ||
3年 | ||
4年 | 薬学演習、薬学統合演習1 | |
5年 | ||
実習 | 1年 | 薬学実習1(薬学実習入門)、薬学実習2(化学、生物) |
2年 | 薬学実習3(有機化学・分析化学)、薬学実習4(物理化学、生化学、薬剤学) | |
3年 | 薬学実習6(衛生薬学) | |
4年 | 薬学実習8(実務実習事前学習)、薬学実習9(実務実習事前学習)、薬学実習10(実務実習事前学習) | |
5年 | 薬学実務実習(病院・薬局)、卒論実習 |
各分野の取りまとめ教員
・物理:岸本泰司
・生物:山下 純
・衛生:鈴木俊英
注:コアカリ番号C3(5)①「無機化合物、錯体」は化学系薬学に含まれますが、この薬学総合講義1(物理)で講義します。