科目名 | 分類 | 学年 | 期 | 卒業認定との関連 | |
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医療経済学 | 講義 | 1年 | 半期 | 選択・2単位 | |
担当者(※は責任者) | |||||
※岩崎淳(経済学科)教員紹介 |
経済学とは、人々が個人でまた集団で、何かを生産し、その対価として所得を得て、それを消費する、あるいは貯蓄するといった、生きていくための幅広い営みを対象とする学問である。医療は個人と社会の健康増進を目的とするが、コロナ禍において改めて明確になったように、医療をめぐる環境は人々の営み、社会全体の振る舞いに影響し、また影響を受けることで経済と深い関係を有する。さらに医療も人々の生み出す重要なサービス財の一つとして、経済的に限られた資源分配の対象となる。これらの点で、医療従事者にとって経済学の知識は非常に有用である。
とりわけ、我が国においては、少子高齢化が急速に進展する中で人口減少に直面し、マクロ経済の観点から現在の国民皆保険を基本とした医療制度の存続可能性に関して疑問符が投げかけられている。こうした環境変化に対応するための制度設計には、医療サービスの提供者ならびに消費者の観点からのミクロ経済的なアプローチが欠かせない。
本講義では、経済学の基本的な概念を学習したうえで、医療分野に焦点を置いた経済的な話題についての議論を行い、参加者の知識の蓄積、考え方の目安となる枠組みを与えることを目指す。
①マクロ経済学、ミクロ経済学、行動経済学の基本的な知識を習得し、日本経済新聞の「経済教室」が理解できる。
②我が国医療制度の課題、将来の方向性について、自らの理解を基にして他者と議論ができる。
講義
回 | 項目 | 内容 | 担当 | コアカリ 番号 |
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1 | 経済学の基礎知識(1) | - 医療と経済との関係、市場の失敗、自由主義からマルクス主義などを経て新自由主義に至る経済学の議論の歴史的潮流を説明できる。 | 岩崎淳 | |
2 | 経済学の基礎知識(2) | - マクロ経済学に関する基本的な概念、とりわけGDPとは何か、GDPの限界、労働市場や物価の指標について説明できる。 | 岩崎淳 | |
3 | 経済学の基礎知識(3) | - ミクロ経済学の基本的な概念、とりわけ需要と供給、市場の役割、財の種類と分配、リスクと保険について説明できる。 | 岩崎淳 | |
4 | 経済学の基礎知識(4) | - 経済政策、すなわち金融政策と財政政策の役割と限界、我が国経済政策の現状の考え方について説明できる。 | 岩崎淳 | |
5 | 経済学の基礎知識(5) | ‐ 行動経済学の基本的な知識(確実性効果と損失回避などのバイアス、フレーミング効果、現在バイアスなど)について説明できる。 | 岩崎淳 | |
6 | 我が国の医療介護制度の基礎知識(1) | - 我が国の社会保障制度・医療保険制度の概要とその各国比較について説明できる。 | 岩崎淳 | |
7 | 我が国の医療介護制度の基礎知識(2) | - 我が国の医薬品に関する諸制度、介護保険制度について説明できる。 | 岩崎淳 | |
8 | 医療経済学の基本的視点 | ‐ 医療サービスの特殊性や情報非対称性、モラル・ハザード問題について説明できる。 | 岩崎淳 | |
9 | 国民医療費問題 | ‐ マクロ的にみた現行医療制度の課題と医療費増加の背景について説明できる。 | 岩崎淳 | |
10 | コロナと経済 | 日本の税制について説明できる。 特別講義:税制から社会を考える。 ‐ コロナ禍による我が国および世界経済への影響をどう考えるか説明できる。 | 岩崎淳 | |
11 | 医療の無駄問題および医師不足問題 | ‐ 過剰な検査・治療、薬剤使用、病院数の問題や医師不足問題に関する考え方を説明できる。 | 岩崎淳 | |
12 | 医療の費用と効果 | ‐ EBM、費用対効果分析、高額医薬品問題、予防医療の問題に関する考え方について説明できる。 | 岩崎淳 | |
13 | 貧困と格差の問題 | ‐ 貧困の定義と生活保護制度、子供の貧困や格差の問題についての考え方について議論できる。 | 岩崎淳 | |
14 | コロナ禍による我が国・世界経済への影響について議論できる。 | 講師の提示した論題についてグループディスカッション・プレゼンテーションを行い、医療経済学の論点につき議論できる。 | 岩崎淳 | |
15 | 習熟度確認 | これまでの講義内容全体を振り返り、説明できる。 | 岩崎淳 |
定期試験 | 期末テスト:60% |
中間試験 | 0% |
小テスト | 期間中にLMSを用いて4回実施される小テスト:40% |
レポート | 0% |
その他 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『経済学を知らずに医療ができるか!?:医療従事者のための医療経済学入門』 | 康永秀生 | 金芳堂、2020年 |
教科書 | 『やさしいマクロ経済学』 | 塩路悦朗 | 日経文庫、日本経済新聞出版社、2019年 |
教科書 | 『ミクロ経済学入門の入門』 | 坂井豊喜 | 岩波新書、岩波書店、2017年 |
参考書 | 『世界一わかりやすい「医療政策」の教科書』 | 津川友介 | 医学書院、2020年 |
参考書 | 『医療経済学15講』 | 細谷圭、増原宏明、林行成 | 新世社、2018年 |
参考書 | 『医療現場の行動経済学:すれ違う医者と患者』 | 大竹文雄、平井啓 | 東洋経済新報社、2018年 |
参考書 | 『新医療経済学:医療の費用と効果を考える』 | 井伊雅子、五十嵐中、中村良太 | 日本評論社、2019年 |
参考書 | 『薬価の経済学』 | 小黒一正、菅原琢磨 | 日本経済新聞出版社、2018年 |
参考書 | 『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門ミクロ編・マクロ編』 | ティモシー・テイラー | かんき出版、2013年 |
参考書 | 『マクロ経済学・入門(第5版)』 | 福田慎一、照山博司 | 有斐閣アルマ、有斐閣、2016年 |
参考書 | 『アセモグル/レイブソン/リスト マクロ経済学』 | D・アセモグル他 | 東洋経済新報社、2019年 |
1 | 【事前学修】 講義日程ならびに講義中の指示に従って、教科書ならびに参考書の該当箇所を予習し、不明個所を認識する。 【事後学修】 講師が講義で配布する資料、学んだ内容に関する教科書ならびに参考書の該当箇所を読み直し、理解を改めて確認した上で、不明個所が理解できたことを確認する。不明個所が残った場合には教員にメールを通じて、あるいは講義時に問い合わせる。 【必要時間】 当該期間に30時間以上の予復習が必要。 |
1 | 事前学修に基づく質問など、受講生による活発な講義への参加を期待します。 小テストなどの課題に対しては、講義の中で解説等のフィードバックを行います。 この科目と学位授与方針との関連をカリキュラムマップを参照し理解して下さい。 講義中の私語等,他の受講生の妨げとなる行為があった場合には,警告を行ったうえで退出指示や成績評価における大幅減点,もしくは不合格とする場合があります。 |
講義 | 1年 | |
2年 | ||
3年 | ||
4年 | ||
5年 | ||
演習 | 1年 | |
2年 | ||
3年 | ||
4年 | ||
5年 | ||
実習 | 1年 | |
2年 | ||
3年 | ||
4年 | ||
5年 |
学部・学科により開講学期が違う場合があります。時間割等で確認してください。