科目名分類学年卒業認定との関連
基礎医療法学講義1年前期選択・2単位
担当者(※は責任者)
※大滝恭弘(医療共通教育研究センター)

授業の概要

1999年に発生した患者取違え事件及び消毒薬の誤注射事件をきっかけとし、報道機関による病院バッシングとともに医療訴訟が激増しました。その後、医療訴訟件数は減少に転じましたが、近年は下げ止まっています。医療過誤訴訟は医療者にとって大きな負担であり、医療職であっても、司法における取扱いについてはある程度知っておく必要があります。
医療は法律と複雑に絡み合っているにもかかわらず、医療従事者はこれまで法的素養を養う機会に恵まれませんでした。この講義は将来の医療職を目指す学生にそのような機会を提供し、受講者の法的素養を涵養することを目的としています。具体的には、各種の医療事故事例を取り上げつつ、法律の基礎的なことから学びを深めていきます。講義の後半では複雑な医療事故事例を取り扱います。受講者には自分なりの結論を出すことが求められます。
医療事故事例における法解釈に正解はなく、現在の通説的な解釈はすべて議論の産物です。受講者自ら事例を考察し、自分なりの結論を導き出すことが最も重要です。これまで全く法律を学んでいないことを前提としますが、本講義では、全て実際の具体的な医療過誤訴訟事例を取り扱うため、講義内容は決して易しいものではなく、医療及び法律の専門用語も頻出します。受講者は、事案に対し、真摯に取り組んでもらいたいと思います。

授業の到達目標

①本邦の紛争処理制度について概説できる。
②医療過誤訴訟の法律構成を説明できる。
③過失と因果関係について説明できる。
④本講で取り扱う具体的事例につき、法的視点から意見を述べることができる。

授業形式

講義

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1医療法学総論について説明できる。大滝恭弘
2医療過誤I過失について説明できる。大滝恭弘
3医療過誤II過失について説明できる。大滝恭弘
4医療過誤III因果関係について説明できる。大滝恭弘
5医療過誤IV因果関係について説明できる。大滝恭弘
6医療過誤V説明義務とインフォームドコンセントについて説明できる。大滝恭弘
7医療過誤VI看護師・薬剤師の責任について説明できる。大滝恭弘
8医療過誤VII技師・救命士の責任について説明できる。大滝恭弘
9医療過誤VIIIチーム医療における法的責任について説明できる。大滝恭弘
10医療過誤IX応用的事例を検討することができる。大滝恭弘
11医療過誤X応用的事例を検討することができる。大滝恭弘
12生殖医療・精神医療と法倫理の関わりについて説明できる。大滝恭弘
13医療拒否・安楽死と法倫理の関わりについて説明できる。大滝恭弘
14その他の医療と法倫理の関わりについて知識を有している。大滝恭弘
15授業振り返り 習熟度確認大滝恭弘

成績評価の方法および基準

定期試験試験 100%
中間試験0%
小テスト0%
レポート0%
その他発言を行った者等に対し、加点します。よく考えられた発言に対してはさらに加点します。
授業妨害に対しては厳格に対応し、その者には単位を付与せず、その後の履修も認めません。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書特に指定しない
参考書「医療法学入門(第三版)」大磯義一郎・大滝恭弘・荒神裕之(医学書院, 2021)
参考書[改訂版]医療系学部のための「医療と社会」入門大滝恭弘・大沼麻美・筒井秀代・福田八寿恵(ムイスリ出版, 2018)
参考書「医事法判例百選」甲斐克則・手嶋豊編(有斐閣, 2014)

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1【事前学修】
 講義は事前にLMS上に掲載する資料に沿って行います。各自、準備をして講義に望んでください。参考書①・②の素読により講義の理解は深まりますが、全く法律を学んだことのない者の受講を前提として解説するため、参考書①・②の精読までは必要ありません。取り扱う事案に対し、自分の頭で考え、自分なりの結論を出して下さい。
【事後学修】
 授業中の疑問点をまとめ、参考書等を利用し、次回授業までに解決しておくこと。
【必要時間】
 習熟のためには、当該期間に30時間以上の予復習が必要です。

その他の注意事項

1発言やレポート等に対し、解説等のフィードバックを行います。
この科目と学位授与方針との関連をカリキュラムマップを参照し理解しておいてください。

主な関連科目

講義1年
2年
3年
4年
5年
演習1年
2年
3年
4年
5年
実習1年
2年
3年
4年
5年

メモ

学部・学科により開講学期が違う場合があります。時間割等で確認してください。