科目名 | 分類 | 学年 | 期 | 卒業認定との関連 | |
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薬理学3(感染症・悪性腫瘍) | 講義 | 2年 | 後期 | 必修・1.5単位 | |
担当者(※は責任者) | |||||
※飯島亮介(生体防御学), 坂本謙司(医薬品作用学) |
薬理学3では、悪性腫瘍および感染症の病態と原因についてアウトラインを学んだ後、治療に用いられる薬物の作用を学びます。悪性腫瘍は、遺伝子の変異により増殖の制御が失われた自身の細胞によって発生する疾病であり、その治療薬の作用機序は、腫瘍細胞の増殖に関係する種種の機構を妨げて、腫瘍を縮小させるものです。感染症は、ウイルス、細菌、真菌、原虫などの病原微生物により引き起こされる疾患であり、その治療薬の作用機序は、主に病原微生物に対する選択的な毒性です。
本科目では、悪性腫瘍と感染症の治療に用いられる薬物の分類、基本的化学構造、薬理作用、適応症および副作用を学びます。
悪性腫瘍および病原微生物(細菌、ウイルス、真菌、原虫)に作用する医薬品の薬理と、悪性腫瘍や感染症の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的事項を身につけることを目的とします。
教科書と教科書の内容を補助するプリントを使った講義を行います。
回 | 項目 | 内容 | 担当 | コアカリ 番号 |
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1 | 悪性腫瘍概論 悪性腫瘍の治療 | orientation (講義の進め方) 腫瘍の定義、発生機序、分類、検査、疫学、治療方法を概説できる(知識) | 飯島亮介 | C6(7)③1 E2(7)⑦1~3 |
2 | 悪性腫瘍の薬(1) ・基本構造 ・薬理作用、作用機序 ・副作用、相互作用、組織移行性 ・臨床適用 ・耐性獲得機構 ・副作用軽減のための対処法 | DNAに架橋形成する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (1)アルキル化薬 (2)白金製剤 | 飯島亮介 | C7(2)③1 E2(7)⑧1~3 E2(7)⑩1 |
3 | 悪性腫瘍の薬(2) ・基本構造 ・薬理作用、作用機序 ・副作用、相互作用、組織移行性 ・臨床適用 ・耐性獲得機構 ・副作用軽減のための対処法 | 核酸合成を阻害する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (3)代謝拮抗薬 | 飯島亮介 | C7(2)③1 E2(7)⑧1~3 E2(7)⑩1 |
4 | 悪性腫瘍の薬(3) ・基本構造 ・薬理作用、作用機序 ・副作用、相互作用、組織移行性 ・臨床適用 ・耐性獲得機構 ・副作用軽減のための対処法 | 核酸合成を阻害する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (4)トポイソメラーゼ阻害薬 DNAに作用する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (5)抗腫瘍抗生物質 有糸分裂を阻害する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (6)微小管阻害薬 | 飯島亮介 | C7(2)③1 E2(7)⑧1~3 E2(7)⑩1 |
5 | 悪性腫瘍の薬(4) ・基本構造 ・薬理作用、作用機序 ・副作用、相互作用、組織移行性 ・臨床適用 ・耐性獲得機構 ・副作用軽減のための対処法 | 腫瘍細胞や腫瘍組織に特異的な作用点に働く抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (7)分子標的治療薬 | 飯島亮介 | C7(2)③1 E1(1)①3~5 E2(7)⑧1~3 E2(7)⑩1 |
6 | 悪性腫瘍の薬(5) ・基本構造 ・薬理作用、作用機序 ・副作用、相互作用、組織移行性 ・臨床適用 ・耐性獲得機構 ・副作用軽減のための対処法 | ホルモンの作用を調節する抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (8)抗腫瘍ホルモン関連薬 その他の抗悪性腫瘍薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (9)その他の抗悪性腫瘍薬 支持療法薬の薬理および臨床適応を説明できる(知識) (10)支持療法薬 | 飯島亮介 | C7(2)③1 E1(1)①3~5 E2(7)⑧1~3 E2(7)⑩1 |
7 | 感染症治療概論 細菌感染症の治療薬(1) | 主な感染症の発症機序とその病態について説明できる(知識) 感染症薬物療法の医療における役割と、それが人類に対して与えてきた影響について説明できる(知識) 細胞壁合成に作用する抗菌薬(β-ラクタム系抗菌薬、グリコペプチド系抗菌薬)の構造と作用機序について説明できる(知識) | 坂本謙司 | A1(4)1,2 C8(3)①1 C8(3)②1~2 E1(1)①3 E2(7)①1 E2(7)⑩1 |
8 | 細菌感染症の治療薬(2) | タンパク合成に作用する抗菌薬(テトラサイクリン系系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬)の構造と作用機序について説明できる(知識) | 坂本謙司 | E1(1)①3 E2(7)①1 E2(7)⑩1 |
9 | 細菌感染症の治療薬(3) | 核酸合成やDNAの複製に作用する抗菌薬(キノロン系抗菌薬、サルファ剤)、細菌の細胞膜に作用する抗菌薬、および抗結核薬の構造と作用機序について説明できる(知識) | 坂本謙司 | E1(1)①3 E2(7)①1 E2(7)⑩1 |
10 | 抗菌薬の使用上の注意 抗菌薬の耐性と副作用 | 抗菌薬の使用上の注意と組織移行性、化学療法薬の耐性獲得機構、および化学療法薬の副作用とその症状について説明できる(知識) | 坂本謙司 | E2(7)①1,2 E2(7)②1 |
11 | 真菌感染症および原虫・寄生虫感染症の病原体 抗真菌薬、抗寄生虫薬 | 真菌感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、プリオン病、およびその他の感染症の病原体と病態について説明できる(知識) 抗真菌薬と寄生虫薬の作用機序について説明できる(知識) | 坂本謙司 | A1(4)1,2 C8(3)④1,2 E2(6)③2 E2(7)⑤1 E2(7)⑥1,2 E2(7)⑩1 |
12 | ウイルス感染症と病原体 抗ウイルス薬 ワクチンによる感染防御 | 主なウイルス感染症の病原体と病態について説明できる(知識) 抗ウイルス薬の作用機序について説明できる(知識) ワクチンやトキソイドの分類と適応について説明できる(知識) ワクチン等の感染症に関係する代表的な生物学的製剤を挙げ、その作用機序を説明できる(知識) | 坂本謙司 | A1(3)6 B3(1)6 B3(2)3 C8(3)③1 E2(7)④1~5 E2(7)⑩1 C8(2)②1 |
定期試験 | 100%:授業の到達目標にある基本的知識の修得について、マークシートによる客観試験と、筆記・論述試験を併用して評価します。 |
中間試験 | 0%:確認テストを実施します。 試験形式:LMSを用いた、選択肢から選ぶ形式の試験。 注意:シラバスに記載されている正当な理由がなく解答を提出しなかった場合は、再試験の受験資格を失います。 |
小テスト | 0%:LMSの小テストを実施することがあります。 |
レポート | 0%:実施しません。 |
その他 | 0% |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 化学療法学 病原微生物・がんと戦う 改訂第2版 | 大村智 監修、供田洋、黒田照夫 編集 | 南江堂 |
参考書 | パートナー薬理学 改訂第3版 | 石井邦雄、栗原順一、田中芳夫 編集 | 南江堂 |
その他 | 資料プリントを講義前に配信し、講義当日には印刷版を配布します。また、セルフテスト問題も配布します。 |
1 | 事前学修:講義前に資料プリントを配信します。教科書と共に関連の箇所をよく読み、分からない用語については調べておくこと。(授業1回につき100分) |
2 | 事後学修:授業内容に即したSelf Test(自己学習用の問題)を配布しますので、問題を解いて復習すること。分からなかった問題は教科書、プリントで調べて理解し、まとめておくこと。(授業1回につき120分) |
3 | 履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。 |
1 | 当該科目は、ディプロマポリシー「4.科学的な根拠の下に医薬品等が生体に及ぼす影響を理解し、患者個人の背景を尊重した適切で効果的な薬物治療を実施できる。」の能力を身につけることに関連付けられます。 |
2 | Self Test を、自己学習アプリとは別に授業毎に資料配信します。講義内容を理解し、今後も活用できる知識とするためには、毎回、取り組むことが必要です。不断の努力によってのみ、学んだ事柄を使える知識にできます。講義を受ける前に、前の講義で配布されたSelf Testを解いてください。 |
3 | Self Test、確認テスト、小テスト、及び定期試験に対し、解答・解説等のフィードバックを行います。 |
4 | 本科目では、薬物がどのようにして腫瘍細胞の増殖を抑制し、また病原微生物を死滅させるかを学びます。それらは、1、2年次の生物学、生理学、生化学関連科目の内容のうち、細胞の構造と機能、細胞増殖と細胞周期、遺伝子発現とその調節等と密接に関連しています。上に述べた事柄を充分に復習して講義に臨んでください。 |
5 | 感染症が人類の歴史に多大な影響を与え、薬物療法(特に抗生物質の発見と実用化)および予防接種が劇的な効果をもたらしたことを思い出してください。現在でも地球規模での感染症の発生や耐性菌・耐性ウイルスの出現といった社会的問題も生じていることを常に意識して学習に臨んで下さい。また、悪性腫瘍は1980年代以降、日本の死因別死亡率の首位であり、医療現場に立つためにはその成因と治療薬についてよく理解しておくことが必要です。 |
6 | 悪性腫瘍および感染症に対する医薬品は患者にとって健康リスクの高いものが多く、将来の医療従事者として患者を守る責任と義務を自覚して学習してください。また、ソリブジンやゲフィチニブ、サリドマイドのように重大な薬害を引き起こしたものもあります。その社会的な背景も復習しておいてください。 |
講義 | 1年 | 生命科学、生理学1、薬科生物学、医学概論(症候・OTC)、薬学への招待1、薬学への招待2 |
2年 | 生化学2、生化学3、生理学2、病態・薬理学2(内分泌・生殖器)、薬理学2(情報伝達・神経) | |
3年 | 感染免疫学、分子生物学、毒性学、病態・薬理学3(呼吸器・消化器)、病態・薬理学4(代謝・血液・骨)、病態・薬理学6(免疫・アレルギー・皮膚・感覚器)、薬物動態学 | |
4年 | 薬物治療学2(臓器別治療2)、薬物治療学3(悪性腫瘍・複数疾患合併症・臨床検査)、薬物治療学4(感染症・統合演習1) | |
5年 | ||
演習 | 1年 | |
2年 | ||
3年 | ||
4年 | 薬学演習、薬学統合演習1 | |
5年 | ||
実習 | 1年 | 薬学実習2(化学、生物) |
2年 | ||
3年 | 薬学実習7(がん、感染症、代謝性疾患) | |
4年 | ||
5年 |