科目名分類学年卒業認定との関連
生命科学2講義1年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※原田史子(分子薬剤学), 濱弘太郎(物理薬剤学)

授業の概要

「生命科学1」に引き続き、様々な生命現象を細胞・分子レベルで理解するために必要な基礎的事項について学びます。本講義は、今後、疾患やそれに対する薬の作用を理解していくための基礎として、細胞の活動についての基本的な概念および知識を身につけることが目標です。授業は教科書とプリントを用いて講義形式で行います。

授業の到達目標

生体の機能、疾患、薬の作用、薬物治療など薬学に関連する生物学的事項を分子レベルで理解できるようになるために、各種生命現象の機構に関する基礎的な概念と知識を修得します。具体的には以下の内容です。
① 細胞を構成する様々な構造体を列挙でき、その特徴と機能について概説できる。
② 接触による細胞のコミュニケーションに関わる構造体や分子を列挙でき、その特徴と機能を概説できる。
③ 遺伝子の発現に関わる基本的な概念や出来事を列挙でき、その内容や過程について概説できる。
④ 細胞の増殖と死に関わる基本的な概念と事象を列挙でき、個々の事象の特徴と過程について概説できる。
⑤ がんに関する細胞および遺伝子レベルでの基本的な特徴を列挙し概説できる。

授業形式

教科書とプリントを使った講義

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1細胞の構造と機能(3):細胞小器官細胞小器官(核、ミトコンドリア、小胞体、リソソーム、ゴルジ体、ペルオキシソームなど)の構造と機能を概説できる。(知識)原田史子
C6(1)②1
2細胞の構造と機能(4):細胞骨格細胞骨格の構造と機能を概説できる。(知識)原田史子
C6(1)③1
3細胞間コミュニケーション (1)細胞間、細胞ー細胞外マトリックス間の接着構造の種類と特徴を概説できる。(知識) 原田史子
C6(6)③1
4細胞間コミュニケーション (2)主な細胞接着分子および細胞外マトリックス分子の種類と特徴を概説できる。(知識)原田史子
C6(6)③1,2
5遺伝情報とその発現 (1):転写 遺伝情報の保存と発現の流れを説明できる。遺伝子の構造を概説できる。DNAからRNAへの転写の過程について概説できる。RNAのプロセシングについて概説できる。(知識)原田史子
C6(4)①1,C6(4)②2,C6(4)④1,3,4
6遺伝情報とその発現 (2):翻訳RNAの種類と機能について概説できる。リボソームの構造と機能について概説できる。RNAからタンパク質への翻訳の過程について概説できる。(知識)原田史子
C6(1)②1,C6(4)②3,C6④5
7細胞の分裂 (1) :DNAの複製DNA、遺伝子、染色体、ゲノムとは何かを概説できる。DNAの複製の過程について概説できる。DNAの変異について概説できる。(知識)   C6(4)①2,C6(4)③1,C6(4)⑤1
8細胞の分裂 (2) :細胞分裂体細胞と生殖細胞の細胞分裂について概説できる。遺伝子と遺伝の仕組みについて概説できる。(知識) C6(7)①2,C7(1)1
9細胞の分裂 (3) :細胞周期とその制御細胞周期とその制御機構について概説できる。(知識) C6(7)①1
10細胞死細胞死(アポトーシスとネクローシス)について概説できる。(知識) C6(7)②1
11がん細胞 (1) 正常細胞とがん細胞の違いについて概説できる。(知識)C6(7)③1
12がん細胞 (2) がん遺伝子とがん抑制遺伝子について概説できる。(知識) C6(7)③1

成績評価の方法および基準

定期試験97% 筆記試験で評価します。
中間試験0%
小テスト3% (1−6回の講義と連動して行います。)
レポート0%
その他

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書詳解生化学荒田洋一郎、板部洋之 編著京都廣川書店
教科書やさしい基礎生物学 第2版南雲保 編羊土社
教科書京都廣川"パザパ"薬学演習シリーズ⑬
生化学演習
野尻久雄 編著京都廣川書店
参考書Essential 細胞生物学中村桂子、松原謙一 監訳南江堂
参考書新細胞生物学竹鼻眞、高橋悟、野尻久雄 編廣川書店
参考書カラー図解 見てわかる生化学 第2版ヤン コールマン、クラウス-ハインリッヒ レーム(川村 越 監訳)メディカル・サイエンス・インターナショナル
その他プリント

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。
2事前学習、事後学習の資料の一部をLMSで配信します。事前学習①、②で30分程度、事後学習①〜④で120分程度を想定しています。定期試験の準備のための時間は別に必要です。
3事前学習①
高校生物基礎、高校生物または『やさしい基礎生物学 第2版』に該当項目がある場合には一通り読むことで講義が理解しやすくなります。
4事前学習②
講義で配布するプリントと同じものを事前にLMSで配信します。簡単に目を通して、次回の講義内容の全体像をつかみましょう。
5事前学習③
余力があれば、事前に教科書および参考書の該当部分を一通り読むと良いでしょう。(わからないところがあって構いません。)
6事後学習①
講義の復習をしましょう。講義中の疑問点について、教科書等を利用する、担当教員等に質問するなどして、次回の講義までに解決してください。
覚えるべきものは、言葉の意味や示す範囲、一緒に機能するものなどを確認しながら、覚えましょう。
生命科学2では生命科学1と異なり、構造体の役割や細胞で起こる事象について学びます。用語を覚えるのも重要ですが、まず全体像をつかむことを心がけてください。事象については時系列に沿った出来事の概略を理解することが重要です。どちらも、ノートやプリントを見ずに人に簡潔な説明ができるようになることを目指しましょう。
7事後学習②
問題集やLMS及びプリントの練習問題などを使って、知識と理解の確認を行ってください。
8事後学習③
講義内容に対応する教科書のページを読み、講義で説明されたことが教科書ではどのように書かれているかを確認してください。講義で触れなかった部分についても(理解できない部分があって良いので)一通り読んでみましょう。余力があれば、参考書も読んでみるとさらに理解と視野が広がるでしょう。

その他の注意事項

1生命現象を理解するためには生物学の知識が不可欠です。本講義では必要な生物学事項は基礎から筋道立てて説明しますので、講義内容を「理解する」ことを心がけて下さい。講義にでてくる生命現象についての全体像や流れを理解しようとせずに、安易な暗記に走るとつまらなくなるだけでなく、ますますわからなくなってしまうでしょう。生物学では様々な用語が出てきますがその都度意味を調べる習慣をつけましょう。意味をきちんと理解しないまま暗記すると、2年以降の講義で全く役にたちません。用語の意味や命名の背景をしっかり理解すれば、覚えなくてはらないことの量が減ります。後回しにしないでその都度復習することが重要です。
2用語などは、眺めているだけではなかなか覚えられません。意味を理解した上で、声に出したり、実際に紙に繰り返し書いたりするなど工夫してみましょう。人に説明してみるのも有効です。
3確認テスト、小テストおよび午後演習の問題について、解説等のフィードバックを行います。講義、演習時を基本としますが、LMSによる配信も使用します。
4この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し理解すること。

主な関連科目

講義1年生命科学1、基礎生物学、機能形態学、生理学1、薬科生物学
2年生化学1、生化学2、生理学2、薬理学3(感染症・悪性腫瘍)、栄養化学
3年分子生物学
4年基礎薬学特論3(生物系薬学)、薬物治療学3(悪性腫瘍)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学演習
5年
実習1年薬学実習2(化学、生物)
2年
3年
4年
5年

メモ

図書館のDVDや関連するテレビ番組などの映像資料は、全体像をイメージしやすくしたり、興味の幅を広げたりする助けになるだけでなく、講義内容の理解にも役立ちます。積極的に活用しましょう。
授業の進み具合によって、授業計画の内容が多少前後する等の変更が起こる可能性があります。その場合は、あらかじめ講義内でアナウンスします。