科目名分類学年卒業認定との関連
薬物治療学3(悪性腫瘍)講義4年前期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※飯島亮介(生体防御学), 板垣文雄(臨床薬剤学)

授業の概要

 薬物治療学3の前半では「がんの薬物治療」、後半では「症候の鑑別と臨床判断」に関する講義を行う。
 がんの薬物治療については、悪性腫瘍(がん、悪性新生物)の原因と病態を学ぶとともに、治療に用いられる薬物及び薬物治療の特徴を学ぶ。悪性腫瘍は遺伝子変異により細胞増殖の制御が失われた自身の変異細胞に起因する疾病であり、その治療には細胞増殖に関係する分子機序を妨げる多様な薬物が使われる。抗悪性腫瘍薬の臨床適用、レジメン、及び副作用とその防止を含めた薬物療法上の注意についての基本的な知識を修得し、悪性腫瘍の薬物治療の基礎を築く。
 薬剤師が病院の病棟や薬局および在宅で患者に対して薬学的管理を実践する、または来局者に対してセルフメディケーションの支援を行う際には、症候を訴える患者・来局者の話から疾患やその状況を推測し、可能性を絞り込む「症候の鑑別」を行い、最適な医薬品の選択や受診勧奨を行う「臨床判断」ができる必要がある。9〜12コマ目では、患者・来局者がよく訴える代表的な症候について、関連する頻度の高い疾患や見逃してはいけない疾患を理解した上で、どのような情報から疾患を鑑別し、どのような臨床判断を経て、薬剤師としての対応を行っていくのかを症例をもとに学ぶ。本科目は、実務経験(薬剤師)のある教員が担当する授業が含まれます。

授業の到達目標

 「がんの薬物治療」では、悪性腫瘍に用いる医薬品、及び悪性腫瘍の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、説明できることを到達目標とする。
「症候の鑑別と臨床判断」では、以下の二項目を到達目標とする。
① 代表的な症候について、それらを伴う頻度の高い疾患、見逃してはいけない疾患を列挙できる。
② 代表的な症候を示す患者・来局者について、適切な情報収集と疾患の推測、適切な対応の選択ができる。

授業形式

教科書とプリントを使った講義を行う。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1悪性腫瘍の薬物治療(1)
腫瘍の定義、分類、検査、疫学、悪性腫瘍のリスクと予防について概説できる(知識)。抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる(知識)。飯島亮介
E2(7)⑦1~3
E2(7)⑧1
2悪性腫瘍の薬物治療(2)
抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる(知識)。
抗悪性腫瘍薬の主な副作用(下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害(手足症候群を含む)、血小板減少等)の軽減のための対処法について説明できる(知識)。
飯島亮介
E2(7)⑧2,3
3悪性腫瘍の薬物治療(3)
消化器系の悪性腫瘍(胃癌、食道癌、肝癌、大腸癌)について、薬物治療(医薬品の選択、代表的なレジメン等)を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑧4,8
4悪性腫瘍の薬物治療(4)
消化器系の悪性腫瘍(胆嚢・胆管癌、膵癌)、肺癌について、薬物治療(医薬品の選択、代表的なレジメン等)を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑧4,8,9
5悪性腫瘍の薬物治療(5)
乳癌、頭頸部および感覚器の悪性腫瘍(脳腫瘍、網膜芽細胞腫等)、骨肉腫について、薬物治療(医薬品の選択、代表的なレジメン等)を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑧4,10
,13
6悪性腫瘍の薬物治療(6)
生殖器の悪性腫瘍(前立腺癌、子宮癌、卵巣癌)、腎・泌尿器の悪性腫瘍(腎臓癌、膀胱癌)について、薬物治療(医薬品の選択、代表的なレジメン等)を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑧4,11,
12
7悪性腫瘍の薬物治療(7)
悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病について、薬物治療(医薬品の選択、代表的なレジメン等)を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑧4~7
8悪性腫瘍の薬物治療(8)
がん終末期の病態と治療、がん性疼痛の病態と薬物治療を説明できる(知識)。板垣文雄
E2(7)⑨1,2
9症候の鑑別(1)
薬剤師による症候の鑑別と臨床判断のプロセスについて概説できる(知識)。
発熱、頭痛、発疹から想起できる頻度の高い疾患や見逃してはいけない疾患を説明できる(知識)。
板垣文雄
E1(2)①1
E2(9)3、4
F(2)④3
F(5)③2
10症候の鑑別(2)浮腫、嚥下困難・嚥下障害、腹痛から想起できる頻度の高い疾患や見逃してはいけない疾患を説明できる(知識)。板垣文雄
E1(2)①1
E2(9)3、4
F(5)③2
11症候の鑑別(3)下痢・便秘、動悸・心悸亢進、咳・痰・呼吸困難から想起できる頻度の高い疾患や見逃してはいけない疾患を説明できる(知識)。板垣文雄
E1(2)①1
E2(9)3、4
F(5)③2
12症候の鑑別(4)記憶障害、めまい、腰痛から想起できる頻度の高い疾患や見逃してはいけない疾患を説明できる(知識)。板垣文雄
E1(2)①1
E2(9)3、4
F(5)③2

成績評価の方法および基準

定期試験100% マークシートによる客観試験により、「がん薬物治療」と「症候の鑑別と臨床判断」に関する基本的な知識を有しているかを評価する。
中間試験0%
小テスト0%
レポート0%
その他0%

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書化学療法学(第2版)柴崎正勝、赤池昭紀、橋田充廣川書店
教科書がん専門・認定薬剤師のためのがん必須ポイント(第4版)金岡 祐次、吉村 知哲/監、吉村 知哲/編著じほう
教科書アルゴリズムで考える薬剤師の臨床判断木内祐二 編南山堂
参考書パートナー薬理学(改訂第2版)重信 弘毅、石井 邦雄、栗原 順一南江堂
参考書病気とくすり2020 -基礎と実践Expert’s Guide-南山堂
その他プリント

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1[事前学習(予習)] 医薬品の薬理作用、病態の発症機序、臨床検査に関する知識が、医薬品の選択基準を理解する上での基礎知識として必要です。指定した教科書の次回授業部分を事前に読んでおくこと。各回概ね2時間程度必要です。
[事後学習(復習)] 授業中の疑問点をまとめ、教科書等を利用し、次回の授業までに解決しておくこと。各回概ね2時間程度必要です。
2この講義は1.5単位ですので、予習・復習等の準備学習に必要な最低限の時間数は43.5時間であり、1回の講義あたり3.625時間となります。

その他の注意事項

1セルフテスト、定期試験に対し、解答・解説等のフィードバックを行う。
2当該科目は、ディプロマポリシー「4.科学的な根拠の下に医薬品等が生体に及ぼす影響を理解し、患者個⼈の背景を尊重した適切で効果的な薬物治療を実施できる。」の能力を身につけることに関連付けられる。
3この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し、理解すること。

主な関連科目

講義1年医学概論(症候・OTC)
2年生化学2、病態・薬理学2(内分泌・生殖器)、薬理学3(感染症・悪性腫瘍)、生化学1
3年病態・薬理学3(呼吸器・消化器)、病態・薬理学4(代謝・血液・骨)、病態・薬理学5(腎・循環器・高血圧)、病態・薬理学6(免疫・アレルギー・皮膚・感覚器)、薬物治療学1(総論・臓器別治療1)
4年薬物治療学2(臓器別治療2)
5年
演習1年
2年
3年
4年
5年
実習1年
2年
3年薬学実習7(がん、感染症、代謝性疾患)
4年
5年

メモ