科目名分類学年卒業認定との関連
病態・薬理学6(免疫・アレルギー、感覚器)講義3年後期必修・1.5単位
担当者(※は責任者)
※小佐野博史(薬物治療学), 河村剛至(病院薬学)

授業の概要

 病態・薬理学6では、いくつかの疾患群に関して、その原因と病態、薬物治療の基本を学びます。
免疫系は外来微生物に対する強力な防御システムとして機能していますが、免疫応答の制御機構が破綻すると様々な疾患を生じることになります。この講義では、まず、外来異物に対する免疫亢進疾患であるアレルギー疾患を扱った後、同じく免疫亢進疾患である自己免疫疾患、および医療関連の免疫亢進疾患である移植免疫について学び、逆に免疫システムの先天的な異常を起因とする原発性免疫不全症候群についての概要を学びます。また、免疫系と同様に生体の恒常性に関与する組織損傷の治癒過程である創傷治癒に関係する皮膚疾患についても学び、次いで免疫機構の標的である外来微生物が引き起こす感染症について学びます。
感覚器疾患の中でも眼科系疾患は著しくADL(Activities of Daily Living)およびQOL(Quality of Life)を低下させる疾患です。最後に、白内障、網膜症、緑内障、加齢性黄斑変性といった失明にいたる眼科系疾患などを取り扱います。本科目は、実務経験(薬剤師)のある教員が担当する授業が含まれます。

授業の到達目標

すでに薬理学1~3までの講義で学んだ薬物の薬理作用の知識を基礎として、医療の担い手としての薬剤師に求められる基本的な知識を身に着けるために、以下の各疾患の病態および薬物治療の基本を修得する。
①原発性免疫不全症候群
②免疫亢進疾患(アレルギー性疾患、自己免疫疾患)
③移植免疫
④感染症
⑤皮膚疾患
⑥眼科系疾患

授業形式

教科書と教科書の内容を補助するプリントを使った講義を行います。

授業計画

項目内容担当コアカリ
番号
1免疫の概念と免疫反応
アレルギー性疾患
orientation (講義の進め方)
免疫応答の制御と破綻について説明できる(知識)。代表的なアレルギー疾患(皮膚以外)について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。
河村剛至
E2(2)②1,2,3,4,5 E2(6)②2, E2(6)③4, E2(2)④1
2自己免疫疾患(1)自己免疫疾患と免疫不全症候群について概説できる(知識)。代表的な臓器特異的自己免疫疾患について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。河村剛至
E2(2)②7, 8, E2(2)④1
3自己免疫疾患(2)代表的な全身性自己免疫疾患について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。河村剛至
E2(2)②6, 8, E2(2)③1, E2(2)④1,
4移植免疫と再生医療臓器移植と免疫反応の関わりについて説明できる(知識)。臓器移植(腎臓、肝臓、骨髄、臍帯血、輸血)について、拒絶反応および移植片対宿主病(GVHD)の病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。河村剛至
E2(2)②9, E2(2)④1
5感染症(1)呼吸器系感染症、消化器系感染症に関し、その代表的なものについて、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。河村剛至
E2(7)③1, 2,
6感染症(2)尿路系感染症、性感染症、全身性細菌感染症に関し、その代表的なものについて、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。河村剛至
E2(7)③3,4,5,6
7感染症(3)全身性感染症、ウイルス感染症に関し、代表的なものについて病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。インフルエンザについて、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)薬剤耐性菌による代表的な院内感染について、感染経路と予防方法、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。河村剛至
E2(7)③9, 10、E2(7)④1,2,3,5,6
8皮膚科系疾患(1)アレルギー性皮膚疾患および代表的な皮膚疾患、褥瘡、創傷治癒過程について、病態(病態生理、症状等)、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。皮膚の疾患に用いられる代表的な薬物の基本構造と薬効(薬理・薬物動態)の関連を概説できる(知識)。小佐野博史
E2(2)①3, E2(2)②2,3,4,6
9皮膚科系疾患(2)化膿性皮膚疾患、皮膚真菌症、その他の皮膚感染症に関し、代表的なものについて病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。小佐野博史
E2(6)③2,4,5 
10眼科系疾患(1)緑内障について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。小佐野博史
C7(1)⑬1, E2(6)①4E2(6)①1
11眼科系疾患(2)白内障、網膜症および加齢性黄斑変性について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。小佐野博史
E2(6)①2, 3
12眼科系疾患(3)頭頸部および感覚器の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(知識)。小佐野博史
E2(7)⑧10 

成績評価の方法および基準

定期試験100%:授業の到達目標にある基本的知識の修得について、マークシートによる客観試験により評価します。
受験資格はシラバスに記載された通りに行います。
中間試験0%:実施しません。
小テスト0%:実施しません。
レポート0%:実施しません。
その他

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書病気が見える⑥免疫・膠原病・感染症医療情報科学研究所メディックメディア
教科書病気と薬2020日本病院薬剤師会編南江堂
参考書なし
その他適宜、教科書を補完するプリントを配信・配布します。また、講義開始前に小テストを実施します。

事前事後学修の内容およびそれに必要な時間

1事前学修:各講義について、前もって資料を配布します。配布資料を読み、その回の講義の全体像を把握した上で、資料中に使われている専門用語は調べておくこと。また、指示された教科書のページを読んで、重要点を抜き出しておくこと。事前学習は2時間程度必要です。
2授業開始前の実施した小テストの解答・解説を配信します。それぞれの問題を精査し、教科書、資料プリントの関連事項を調べてまとめておくこと。事後学修は2時間程度必要です。
3履修についての【1】単位制についてを参考に予復習が必要になります。

その他の注意事項

1この科目と学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)との関連をカリキュラム・マップを参照し理解すること。
2小テスト、定期試験に対し、解答・解説等のフィードバックを行います。見直しを行うことは知識の定着にとても大切です。必ず、行ってください。
3本科目では、免疫系制御の破綻がどのような疾患を生じさせるかを学びます。3年次の感染免疫学は特にこの講義と密接に関連した科目です。免疫に関連した細胞・分子さらに用語に関しては、常に意識して講義に臨んでください。
4臓器移植は医療行為であり、対象となる臓器・組織(腎臓、肝臓、骨髄、臍帯血、血液)に関連した疾患については、病態・薬理学4(代謝・血液・骨)、病態・薬理学5(腎・循環器・高血圧)および悪性腫瘍に関して薬理学3(感染症・悪性腫瘍)と関連付けて学習するようにしてください。
5感染症の薬物治療を修得する上で、感染症治療薬の薬理作用・副作用に関する知識は必須です。2年次に学んだ感染症治療薬の分類と作用、臨床応用上の注意(薬理学3)は押さえておく必要があります。
6眼器官に関する解剖、機能形態学的な知識が必須ですが、講義でも取り上げます。生命科学、薬科生物学、生理学1,2と関連付けて学習するようにしてください。

主な関連科目

講義1年薬科生物学
2年生化学2、生理学2、病態・薬理学1(精神・神経・筋)、薬理学2(情報伝達・神経)、薬理学3(感染症・悪性腫瘍)、病態・薬理学2(内分泌・生殖器)、薬理学1(総論・末梢神経)、生化学3
3年感染免疫学、分子生物学、毒性学、病態・薬理学3(呼吸器・消化器)、病態・薬理学4(代謝・血液・骨)、病態・薬理学5(腎・循環器・高血圧)、薬物治療学1(総論・臓器別治療1)
4年薬物治療学2(臓器別治療2)、薬物治療学3(悪性腫瘍・複数疾患合併症・臨床検査)、薬物治療学4(感染症・統合演習1)
5年
演習1年
2年
3年
4年薬学演習、薬学統合演習1
5年
実習1年
2年
3年
4年
5年

メモ