固体の力学2
担当者平本 隆
学年・開講期2年次 前期  [理工学部 航空宇宙工学科]
科目の種類専門基礎
区分・単位選必 2単位
科目ナンバー2A204

授業の概要(ねらい)

「固体の力学1」から継続して弾性変形下の固体材料でできている部材に生じる応力、ひずみ、変位について学びます。実際の機械設計では、固体の力学1で扱った単純な条件の場合だけでなく。より複雑な応力、ひずみ、変形が作用しています。そのような場合の考え方や問題解法を学修します。
この講義では、DP1に関する知識を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、航空機設計(特に固定翼機、回転翼機の構造設計)業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

授業の到達目標

以下の項目を理解し、これらに関する基本的な問題を解析すことができる。
(1)静定弾性梁のたわみ解析
(2)不静定弾性梁のたわみ解析
(3)組合せ応力問題の解析
(4)長柱の座屈
(5)座屈を含む薄肉円筒の解析
(6)ひずみエネルギーを用いた構造解析

成績評価の方法および基準

定期試験80%、演習提出20%
講義で毎回演習課題を出題する。基本的に講義内で解答できるレベルとするが、自分で解くことが重要なので、解答が間に合わなければ、提出は次の講義でも構わないので、必ず解いてみること。これらの解答と解説はその後の講義内で行う。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書「固体の力学1」で使用したものと同じ。
強度設計の基礎をつくる材料力学入門、ISBN 978-4886615107
中山秀太郎大河出版
参考文献「固体の力学1」で示したものに加えて示す。
演習 材料力学(新訂版)、ISBN 978-4781909752
尾田十八、三好俊郎サイエンス社
参考文献演習 材料力学、ISBN 978-4888981989日本機械学会日本機械学会

準備学修の内容

演習課題は適宜出します。予習、復習では章末の演習問題を解くことが講義内容を理解するために重要です。次回の講義内容は適宜知らせるので、教科書の該当箇所を予習してください。講義後半に提示する演習課題には、提出不要のものも含むので、復習の材料としてください。予習、復習でおよそ90分を見込んでいます。

その他履修上の注意事項

講義には、科学計算用関数電卓が必要になります。後半の講義で実習する場合は方眼紙、コンパス、定規、分度器が必要になることがあります。その際は指示します。
数学は、「固体の力学1」と同様に三角関数、指数関数、対数関数、微分・積分の意味などを理解していることが必要です。また、講義を欠席すると授業内容の理解が難しくなるので、注意してください。

授業内容

授業内容
第1回梁の曲げ(復習):「固体の力学1」で学んだ剪断力分布、曲げモーメント分布、断面特性などを復習する
第2回梁の曲げ応力:梁の断面に作用する曲げモーメントによって生じる曲げ応力について考える
第3回梁の剪断応力:曲げモーメントおよび剪断力が作用する梁の断面における応力を考える
第4回梁のたわみ:荷重を受ける梁の変形を考える。たわみの形状、たわみ曲線を微分方程式で表し、その解法を学ぶ
第5回不静定弾性梁のたわみ解析:静力学的な釣合いだけでは解けない不静定梁の解法を学ぶ
第6回梁のたわみの演習:静定梁、不静定梁について、種々の条件でのたわみ解析を行う
第7回平等強さの梁:断面形状が梁の長さ方向に沿って変化する変断面梁についての解法を学ぶ
第8回組合せ応力、任意断面の応力:棒材や梁のような線状部材では近似できない板状の二次元的広がりを持った平面部材に生じる応力、変形について学ぶ
第9回主応力、主剪断応力:座標系に依存しない応力のひとつである主応力について学ぶ
第10回モールの応力円:主応力を図式的に求める簡便な方法であるモールの応力円の解法を学ぶ
第11回三軸応力における応力とひずみの関係:実際の構造部材における応力状態である三次元応力状態について、基本となる応力とひずみの関係式を考える
第12回長柱の座屈:長い柱が軸圧縮荷重を受ける際に生じる軸線に垂直な変形(たわみが生じる)現象である座屈について学ぶ
第13回薄肉円筒:組合せ応力の考え方の応用例として、与圧された航空機胴体構造と類似である薄肉円筒に内圧が作用する状態を考える
第14回ひずみエネルギーとカスティリアノの定理:周知のばねのエネルギーと類似の弾性体のひずみエネルギーの考え方とそれを使った弾性問題の解法について学ぶ
第15回テスト、まとめ:固体の力学1、2を通じて学修した内容をまとめ、テストを行って理解度を確認する