現代世界の政治経済
担当者宋 宇
学年・開講期1年次 Ⅰ・Ⅲ  [理工学部 情報科学科(通信課程)]
科目の種類総合基礎
クラステキスト授業
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー4A107

授業の概要(ねらい)

私たちの暮らしの中で、日々政治、経済と関わっています。政治と経済の二元論を守る立場から、両者の相互作用がないという見方がありますが、現実において、多くの場合、政治と経済の相互作用が証明され、その関係を無視しそれぞれ活動ができ、機能するのはほぼありえないと言って良いでしょう。例えば、福祉国家について、その誕生は政治によって実現されましたが、誕生した背景には市場の失敗によるものであります。そして、福祉国家の活動領域は各種の所得保障制度を中心としましたが、現代においでは、既に社会サービスへとその重点が移されています。
この通信授業は、上記に述べた政治と経済との相互関係を重視し、テキスト、及ぶサブテキストを通してまず政治と経済に関する基礎概念、理論を学習します。次に福祉国家という具体例を取り上げ、福祉国家の誕生、発展とその行方について、把握したうえで参考書を使い、福祉財政の角度から、政治と経済の関係性についてさらに理解を深めていきます。
この通信授業では、DP1 (ディプロマポリシー1)に関する知識、技法、態度を修得します。

授業の到達目標

この通信のテキスト授業では、学生による能動的な学習により、レポートの作成を通じて、以下の知識と能力を身につけることができます。
①学生は、政治と経済の基礎知識、理論を学習することができると同時に、幅広く物事を考えるようになります。
②現代世界において、ある特定の分野の知識のみで現実問題を解決しようとする自体は、ほぼ不可能であることについて理解ができ、自ら視野を広げ、ある問題・課題について異なる視点から考えるようになります。
③レポートの作成を通じて、文章表現力を高め、分析した成果を正確かつ効果的に伝える能力を蓄積することができます。

成績評価の方法および基準

レポートAの提出(20%)、レポートBの提出と完成度(30%)、試験の結果(50%)で評価します。
評価基準の説明:
①通信課程の規定上、試験の受験資格は、レポートA・Bの両方を合格した者としています。そのため、本通信授業はレポートAの満点を20点、レポートBの満点を30点とします。レポートA・Bを合わせて30点以上を取得しないと、試験を受けることができません。そして、レポートBの提出はレポートAが合格ラインに達している(10点以上)からの提出とします。
②レポートBの場合、レポートAでフィードバックしたコメントを踏まえたうえで作成してほしいです。それがレポートBに反映されることを前提としているので、レポートBの評価はレポートAより割合が高く設定しています。
②試験問題の満点は50点とします。最終的に、レポートA・Bと試験の得点数を合わせて、学生の成績評価となります。

フィードバック方法:
・レポートについて、LMS上で細かくコメントします。
・質問を対応します。担当教員に直接メール(songyu@ucre.teikyo-u.ac.jp)で問い合わせてください。事務的なことは教務に聞いてください。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書(2004)『比較政治経済学』新川敏光、井戸正伸、宮本太郎、眞柄秀子有斐閣アルマ(ISBN4-641-12225-3)
教科書+LMS上にサブテキストの掲示あり
参考文献(2018)『福祉財政』高端正幸、伊集守直(編)ミネルヴァ書房(ISBN978-4-623-08369-5)

準備学修の内容

テキスト授業のため、レポート作成の前には「予習」とみなし、レポートAで講評したことをレポートBに反映し、さらに試験の際に、レポートA・Bで講評されたことを反映すれば「復習できた」と位置付けます。準備学修の内容と所要時間の概要について、以下のように提案しますが、あくまでも一つの例に過ぎないので、各自のペースとやり方で進んで構いません。

「予習」:
・テキスト、特にサブテキストの熟読と理解:テキストを読みながら、適宜にメモを取り、要点をまとめます。その都度、学習したことや感想などを整理し、レポート作成の材料になるようにしてください(1回1時間半程度)。
・レポート課題を確認し、問われる課題を意識しながら、テキスト・サブテキストを再読し、必要に応じて情報を収集し、資料調べなどを行ってください(1日1時間程度)。
「復習」:
・レポート返却後、コメント内容を確認し、テキストや参考書と照らし合わせながら、補足内容などについてメモを取るようにしてください(2時間程度)。
・LMS上でアップしたサブテキストを熟読し、内容を把握し、理解できるように復習します(1日30分から1時間程度)。

その他履修上の注意事項

・自分なりの計画を作って、それに沿って進んでください。日頃に新聞記事、ニュースを確認するようにしてください。何か気づき、感想があれば、すぐにメモを取ることを勧めます。レポートや試験に活用できるように整理すると良いでしょう。
・テキストを読み、わからない専門用語があったら、まず自分なりに調べてみてください。各自の必要に応じて、他の参考書などで内容を深めてもよいでしょう。

授業内容

授業内容
第1回学習計画の設定、テキスト・参考書の「はしがき」とサブテキストの「あとがき」を読む
政治と経済とは?どう違うのか?(テキスト序章)
第2回戦後の政治・経済体制(テキスト第1章~第3章)
第3回コーポラティズムとは?(テキスト第4章~第6章)
コーポラティズムと開放経済、労働運動、金融レジーム
第4回政党とマクロ経済政策(テキスト第10章)
第5回政策決定(テキスト第11章)
第6回政治体制と経済成長(テキスト12章)
レポートA課題の予習、準備
第7回レポートA課題について資料調べ、作成
第8回福祉国家とは?
福祉国家の発展、理論、類型、ゆくえ(テキスト第7章~第9章)
第9回日本における福祉財政の全体像(参考書第Ⅰ部)
参考書はテキスト扱いではないので、購入しない場合、各自授業内容のテーマに沿って、資料を収集し学習してください。
第10回福祉財政とは?
年金・医療編(参考書第Ⅱ部:第5章、6章)
第11回福祉財政:介護保障、児童福祉、障害者編(参考書第Ⅱ部:第7章~第9章)
第12回福祉財政:生活保護、雇用保障編(参考書第Ⅱ部:第10章、11章)
第13回レポートAのコメントを踏まえ、レポートBへの思案
必要に応じて、テキスト、サブテキスト、参考書を再読します。
第14回好きな外国を一つ選び、学習した政治・経済の側面から、その外国の政治経済について調べ、福祉財政についても参考書の第Ⅲ部を参照しながら、学習します。日本と比較の視座から取り組んでください。
第15回好きな外国をもう一つ選び、学習した政治・経済の側面から、その外国の政治経済について調べ、福祉財政についても参考書の第Ⅲ部を参照しながら、学習します。日本と第14回目で取り上げた外国と一緒に比較する視座から取り組んでください。つまり、日本を含め3ヵ国の福祉財政について比較してみてください。