航空機設計
担当者平本 隆
学年・開講期2年次 後期  [理工学部 航空宇宙工学科]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー2B216

授業の概要(ねらい)

本講座では、航空機の形状設定、荷重の考え方、構造部材の配置と働きなどを学び、主に構造設計を中心とした航空機設計に関わる部分を網羅して取り扱います。講義を通じて航空機設計における基本的知識を理解し、将来の専門分野での理解を深めるための基礎を作ります。具体的には、三面図と主要諸元をベースに主翼荷重を推定し、考えられる桁構造の概略設計を行います。
この講義では、DP1およびDP2に関する事項を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、航空機設計業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

授業の到達目標

航空機設計の初期に行われる機体概念設計の概要を理解する。具体的には、下記を目標とする。
①主翼形状の特性、主要なパラメターの意味を理解し、算出できること
②設定した機体形状、性能から主翼荷重が推算できること
③主翼荷重から構造部材に負荷する荷重分布が算出できること
④与えられた荷重に耐荷できる部材寸度を設定するプロセスを理解できること

成績評価の方法および基準

講義において課題を5回に分けて課す。その内容成果によって成績を評価する。
提出内容のフィードバックは都度行う。各課題は関連しており、段階を踏んで進めるので、各回、確実に完了させることが必要。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特になし。各講義で必要な資料を配布する。
教科書
参考文献飛行機の構造設計、ISBN 978-4930858771鳥養鶴雄、久世紳二日本航空技術協会
参考文献航空機設計法、ISBN 978-4339046199李家賢一コロナ社

準備学修の内容

ひとつの課題につき、約5時間程度の時間が掛かることを想定しています。課題には、計算など実作業だけでなく、調査なども含みます。3週に1回のペースで出題するので、計画的に実施してください。また、通常の講義については、プレゼンテーション資料を事前にLMSでアップロードします。この講義では、特に教科書を定めないので、資料を見て、興味のある事項や理解しがたい事項について、いろいろと調べてみると良いです。準備学修は、課題も含めて、平均各週2時間程度を見込んでいます。

その他履修上の注意事項

講義では、航空機に関する一般的な知識を必要とします。本講義の受講前に航空工学概論の履修を薦めます。

授業内容

授業内容
第1回航空機の形:航空機の発達の歴史の中で設計との関連を理解する。
第2回航空機設計のプロセス:航空機設計に流れを見ながら必要な事項を学ぶ。
★出題[課題#1] 機体三面図の作図
第3回空力設計の基礎:翼の特性、三次元翼等主翼設計の基本を理解する。
第4回負荷荷重と構造設計:航空機に負荷される荷重を理解する。
第5回★出題[課題#2]パラメータの推算(揚抗比、抵抗の推算)
提出[課題#1]機体三面図と諸元表
第6回胴体構造:基本的な胴体構造様式を学ぶ。
第7回主翼構造(1):基本的な主翼構造様式と翼胴結合方式を学ぶ。
第8回★出題[課題#3]主翼荷重分布推算
提出[課題#2]パラメータの推算
主翼荷重算出の説明:航空機の主要諸元(重量、速度、荷重倍数など)から主翼に負荷する荷重を推定し、桁に掛かる曲げモーメント分布、剪断力分布を求める。
第9回主翼構造(2):リブ、補助翼、フラップなどについて働き、設計の要点を学ぶ。
★出題[[課題#4]主翼の構造線図を作成する。他機例を参考にして、桁、リブの配置を設定する。
第10回提出[課題#3、#4]主翼荷重分布、構造線図
第11回航空機構造材料:航空機構造に用いられる主な材料の特徴を理解する。
第12回桁構造設計:桁構造のうち、フランジの設計手順について学び、各自の主翼における桁形状を設計する。
★出題[課題#5]フランジ断面積の推定
第13回航空機構造の疲労設計:疲労設計の考え方、評価方法について学ぶ。
第14回降着装置と操縦装置:降着装置の設計における考え方、操縦系統機構の概要を学ぶ。
第15回提出[課題#5]桁フランジ設計