オペレーションズリサーチ
担当者小林 靖之
学年・開講期3年次 前期  [理工学部 情報電子工学科]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー3F322

授業の概要(ねらい)

ORは様々な分野に適用可能な数学的手法です。当初 ORは軍事目的で研究が始まりましたが、現在では工場の生産・資材・物流管理等、日常に必要なプロセスを効率化するツールとして活用されており、現代においてORを用いない大規模プロジェクトはありえません。しかしながらORで用いられる技法は多種多様であるため、本講義では基本的技法に絞り講義します。また、Excelを用いて初歩的な実習を授業中に行ないます。
この授業では、講義とコンピュータによる実習を実施します。
この科目は、ディプロマポリシーDP3に関連します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業においてデータ解析や最適化のコンピュータ業務に携わっており、授業では、企業における実体験、現場課題などを踏まえて、授業で取り上げる様々な手法について汎用的な実務上の要点も解説します。

授業の到達目標

ディプロマポリシーDP3のうち、自然科学、特に数学の基礎的な知識を実際の課題解決に応用できることを目標とします。具体的には、この講義ではオペレーションズリサーチ(OR)における線形計画法や待ち行列理論等の基本的技法を理解して簡単な計算ができること、表計算ソフトウェアであるExcelで実際にORを適用できる能力を身に付けることを目標とします。

成績評価の方法および基準

出席率2/3以上を満たした場合に定期試験の受験資格を与え、中間試験:40点、期末試験:40点、宿題レポート評価:20点の合計100点満点として60点以上を合格として評価します。
宿題レポート評価点数として、〆切を遵守の上で合格した宿題レポートの数の割合に比例して最大20点を与えます。
宿題レポートでは表計算ソフトウェアの利用を含みますが、中間・期末試験では試験会場で筆算問題を解ける能力が求められます。
フィードバック方法として、提出された宿題レポートを提出直後に解説を行ない、授業期間内に添削し返却します。各宿題レポートの最終〆切は出題日から次回の授業です。これ以降の遅延を認めません。宿題レポートを開講学期内のうちに速やかに返却しますので、各宿題レポートの〆切を遵守してください。
原則として、再試験を実施しません。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は特にありませんが、講義スライドや宿題用の問題等をLMSに掲示します。
参考文献各単元の参考書を授業中に紹介します。
参考文献Operations Research: an Active Learning Approach
(e-learingコースのため、ISBNコードはありません)
Heung-wing Joseph LEE, Man-kin Adam LEUNG, et al.香港理工大学が作成し、edXの下記リンク先に登録
https://www.edx.org/course/operations-research-an-active-approach

準備学修の内容

7.授業内容に各授業回の詳細を記載しますが、各授業回の予習として講義予定の要約資料を通読して要点をまとめ(約1.0時間)、同じ回の復習としてLMSに掲載する課題(宿題レポートを含む)(約2.0時間)を必ず解いて下さい。
ORで用いる技法は実際に使ってみないと理解できません。つまり講義をただ聴いただけでは身につかないということです。そのため授業中に演習を行ないますが、復習としてパソコンによる計算、電卓を用いた計算をLMSに掲載する資料を参照しながら自分自身で試みて下さい。そうすれば確実に身に付きます。
オープンな教育リソースである 4.参考文献の"Operations Research: an Active Learning Approach" が、7.授業内容の第1回~第10回(線形計画法とその応用)の自主学習教材として活用できます。

その他履修上の注意事項

授業における講義と演習をCL教室で行ないます。
LMSを利用します。
宿題解答や定期試験で用いますので、通信機能のない関数電卓を用意して下さい。
演習の大半において、Excelの基本的な操作スキルをあらかじめもっていることが非常に重要です。
基本的なOR技法の解説・演習が中心であるため、数学やその計算作業に苦手意識がなければ授業について行けると考えます。しかし、本講義の後半で取り上げる待ち行列理論では、科目「数理統計学」レベルの確率の知識があると大変良いです。
ちなみに、本講義で取り上げる基本的なOR技法(線形計画法,待ち行列他)は、情報処理技術者試験にも出題されます。

授業内容

授業内容
第1回オペレーションズリサーチの概要と線形計画法とは: ORの歴史と様々な手法と応用例、線形計画法の概要を概説します。また基本的な2変数の線形計画法を図的解法で実際に解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(1)ORの概要」と「(2)線形計画法とは」を通読し要点をまとめてください。
復習として線形計画法の図的解法等の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第2回Excelによる線形計画法の解法: 線形計画法の概要を復習し、線形計画法をExcelに付属するソルバーで自動計算する方法を解説し、線形計画法の問題を実際にソルバーを用いて解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(2)線形計画法とは」と「(7)Excelによる線形計画法の解法」を通読し要点をまとめてください。
復習として線形計画法のExcelによる解法等の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第3回シンプレックス法(1) 基礎: 線形計画法を筆算で計算できるシンプレックス法を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(3)シンプレックス法の基礎」を通読し要点をまとめてください。
復習としてシンプレックス法の筆算解法等の初級レベルの宿題(LMS掲載)を解答してください。
第4回シンプレックス法(2) 手順: 線形計画法の問題の性質に応じたシンプレックス法の計算手順の詳細を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(4)シンプレックス法の手順」を通読し要点をまとめてください。
復習としてシンプレックス法の筆算解法等の初・中級レベルの宿題(LMS掲載)を解答してください。
第5回二段階シンプレックス法: 通常のシンプレックス法が最初の段階から解けない場合の対策法の詳細を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(5)二段階シンプレックス法」を通読し要点をまとめてください。
復習としてシンプレックス法の筆算解法等の中級レベルの宿題(LMS掲載)を解答してください。
第6回線形計画法の双対問題: 線形計画法の最大化問題と最小化問題を相互に変換する双対問題の概念を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(6)線形計画法の双対問題」を通読し要点をまとめてください。
復習としてシンプレックス法の筆算解法と双対問題の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第7回線形計画法の応用問題:輸送計画と割当て問題の線形計画法による解法を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する輸送計画と割当て問題の例題解説を通読し要点をまとめてください。
復習として輸送計画と割当て問題の発展宿題(LMS掲載)を解答してください。
第8回ネットワーク問題の解法(1) 最短路問題: ネットワークで表現した経路間の最短路の計算を線形計画法で表現しExcelのソルバーにより自動計算する方法を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(8)ネットワーク問題の解法Ⅰ」の最短路問題を通読し要点をまとめてください。
復習として最短路問題の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第9回ネットワーク問題の解法(2) 最大流問題: ネットワークで表現した経路間の最大流の計算を線形計画法で表現しExcelのソルバーにより自動計算する方法を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(8)ネットワーク問題の解法Ⅰ」の最大流問題を通読し要点をまとめてください。
復習として最大流路問題の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第10回前半のまとめ・中間試験: 第1回~第9回に講義した線形計画法の学修成果の評価のため中間試験を行います。
予習としてこの授業内容の第1回~第9回を復習してください。
復習として中間試験の結果から理解不足とわかった単元を復習してください。
第11回最小費用流問題と動的計画法: ネットワークで表現した経路に関する複雑な問題を解く応用手法である最小費用流問題を解説します。また、部分の最適解を利用して全体の最適解を得る動的計画法を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(9)ネットワーク問題の解法Ⅱ」と「(14)動的計画法」を通読し要点をまとめてください。
復習として動的計画法の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第12回待ち行列理論(1) 待ち行列とは、ポアソン分布・指数分布とは: 待ち行列理論の理解に不可欠な確率モデルの詳細を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(10)待ち行列理論Ⅰ」を通読し要点をまとめてください。
復習としてポアソン分布・指数分布の宿題(LMS掲載)を解答してください。
第13回待ち行列理論(2) 待ち行列での確率モデル・M/M/1(1)モデル: 待ち行列理論の根幹をなす平衡方程式の基礎を解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(11)待ち行列理論Ⅱ」を通読し要点をまとめてください。
復習としてポアソン分布に従う到着モデルのシミュレーションやM/M/1(1)モデルの宿題(LMS掲載)を解答してください。
第14回待ち行列理論(3) M/M/1(∞)モデル: 平衡方程式を用いて実際の待ち行列に近い窓口1個でのモデルを解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(12)待ち行列理論Ⅲ」を通読し要点をまとめてください。
復習として M/M/1(∞)モデルの宿題(LMS掲載)を解答してください。
第15回待ち行列理論(4) M/M/n(∞)モデル、その他重要公式: 平衡方程式を用いて窓口2個以上の待ち行列モデルを解説し、簡単な例題を解く実習を行います。
予習としてLMSに掲載する「(13)待ち行列理論Ⅳ」を通読し要点をまとめてください。
復習として M/M/n(∞)モデルの宿題(LMS掲載)を解答してください。