ナノ・巨視融合材料強度学 
担当者磯貝 毅
学年・開講期2年次 前期  [総合理工学専攻 博士前期課程(修士課程)]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー

授業の概要(ねらい)

材料強度学は機器・構造物が安全かつ経済的に使用されるために必要な、材料の強度に関する学問です。強度の問題による機器の破壊事故や不具合は大きな経済的損失を招くばかりではなく、人命に影響を及ぼすこともあります。このような事故が生じない設計を行うことが技術者にとっての責務と言えます。一般に、機器・構造物は、種々の環境下、異なる負荷条件のもとで使用されています。そのため、設計に当たってはさまざまな様式の破壊の可能性を考慮する必要があります。 本講義では、主として金属材料を例に、延性破壊、脆性破壊、疲労破壊、クリープ、腐食といった異なる破壊様式とそれらの相互関連性について論じます。また、金属、セラミック、高分子、複合材料の枠組における材料強度と破壊特性の共通点と相違点に着目した統一的概念について解説します。
授業は主として講義形式ですが、適宜問題演習を行い、その結果を発表してもらいます。
この授業では、DP1、DP2、DP3に関する知識、技術、能力を修得します。

授業の到達目標

(1)学生は種々の材料についてアトム・ナノ尺度における微視的組織の影響と、試片寸法・形状などの巨視因子を非線形に融合した材料の強度と破壊に関する基本的概念を理解することができる。
(2)学生は材料強度学的な取り扱いを身につけることができる。

成績評価の方法および基準

提出レポートにより評価します。フィードバックは授業中に適宜行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献「改訂 材料強度学」日本材料学会編日本材料学会(2005) ISBN4-901381-26-1
参考文献「材料強度と破壊学」学振先端材料強度第129委員会編技報堂(1999) ISBN4-7655-3251-8
参考文献「材料強度学(第2版)」横堀武夫岩波書店(1974)*  *絶版につき図書館等で利用して下さい。

準備学修の内容

「材料学」、「材料力学」等に関連がありますので、履修希望者はそれらに相当する科目を学部にて履修していることが望ましい。
毎回の授業前に該当する項目について、参考書や関連する学部の授業科目の教科書を読み、基本的事項を理解しておくようにして下さい。(1.5時間)
毎回の授業後に授業で学んだ事項についてノートや配布資料を用いて復習して下さい。また、参考書の関連部分や文献を自分で探し、当該項目に関する知識とその理解を深めて下さい。(1.5時間)
詳しい準備学修の内容については授業内で指示します。

その他履修上の注意事項

適宜プリントを配布して、講義を行います。

授業内容

授業内容
第1回ナノ・巨視融合材料強度学総論 : 材料強度学とは、比較材料強度学、破壊の多様性、破壊のスペクトル
第2回弾性体及び塑性体の力学的基礎 : 応力とひずみ、組合せ応力、降伏条件、弾性及び塑性体の構成方程式
第3回金属材料の強度-延性破壊1- : 延性破壊と脆性破壊、転位とは、転位の性質と役割
第4回金属材料の強度-延性破壊2- : 切欠きとき裂の非線形力学、ミクロとマクロを結合した破壊力学
第5回金属材料の強度-脆性破壊- : 脆性破壊、線形弾性破壊力学、低温脆性、延性-脆性遷移
第6回金属材料の強度-疲労1- : 疲労の巨視的取り扱い
第7回金属材料の強度-疲労2- : 疲労のミクロ的な取り扱い
第8回金属材料の強度-クリープ1- : クリープの連続体力学による取り扱い
第9回金属材料の強度-クリープ2- : クリープ変形機構と破壊機構
第10回金属材料の強度-クリープ3- : クリープき裂成長と寿命評価法、クリープと疲労の相互作用
第11回金属材料の強度-腐食- : 環境強度と腐食、応力腐食割れ、腐食疲労
第12回セラミックスの強度 : セラミックスの構造と機械的性質、強度の統計的評価
第13回高分子材料の強度 : 高分子材料の構造と機械的性質、粘弾性挙動、クレージング
第14回複合材料の強度 : 複合材料の種類と構造、複合材料の機械的性質
第15回まとめ