Web Syllabus(講義概要)

　一説によれば、心理療法と呼ばれるものは少なくとも400種類以上はあるという。本講義では、精神分析的心理療法の学習をベースにしつつ、どのような心理療法にも通底すると思われる臨床心理面接の基本を学ぶことを目標とする。松木（2005）は、“…私たちが誰かのこころに援助したいと真剣に思うのなら、私たちの理解と技量はこれくらいでいいんだとの安易さや簡便さは望まれるべきではありません。またこころを私利や欲望から安易にあつかうのは罪悪です。大いなる努力や没頭、禁欲、根気、ときとして犠牲が必要であるとしても、こころのもっとも深いところに出会い、働きかけられるものを真摯に学ぼうとしてよいではありませんか”と述べている。実証することは困難なことが多いかもしれないが、「人と人との関わりで何かが変わるはず」という信念を持って、先人たちの経験からできるかぎりのことを学びたいと思う。

　本講義では、精神分析的心理療法をベースにとして、秋期の多様な心理療法の学習の準備段階として、どのような心理療法にも通底すると思われる臨床心理面接の基本を学ぶことを目標とする。

　報告・討論への参加を通して、各自の理解力・考察力および表現力などを総合的に判断する。出席点も考慮する。

　テキスト、参考文献は、適宜、講義および下記HPで提示する。
　『耳の傾け方―こころの臨床家を目指す人たちへ』松木邦裕著、岩崎学術出版社、および『心理療法の臨床と科学』マラン、鈴木龍訳、、誠信書房（絶版）を中核テキストとして使用する予定である。
　テキストなどをどこまで使用するかは、履修者の人数や進行具合で判断する。参考文献などは、適宜、講義および下記HPで提示する。
　参考文献：『サポーティヴ・サイコセラピー入門－力動的理解を日常臨床に活かすために』ヘンリー・ピンスカー著、秋田恭子、池田政俊、重宗祥子訳、岩崎学術出版社　978-4753310272
　　　　　　『北山理論の発見－錯覚と脱錯覚を生きる』北山修監修、妙木浩之、池田政俊編著、創元社
978-4-422-11305-0
　　　　　　『新体系　看護学全書 精神看護学１ 精神看護学概論、精神保健』岩崎弥生、渡邉博幸編、メヂカルフレンド社（第１章「精神（心）」のとらえかた、Ⅱ精神（心）の構造とはたらき、pp46-74、池田政俊）　978-4-8392-3305-1

　発表担当者はもちろん、履修者全員が教員の提示した文献を事前に精読し、関連文献を調べるなど、討論に向けて十分に準備をしてくることが強く望まれる。

　適宜池田のHP（http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm）を参照すること。
　真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと（私語、携帯電話、担当時の欠席など）。
　主体的・創造的な参加が望まれる。