Web Syllabus(講義概要)

平成26年度

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日本の公益事業 II 橋本 悟
選択  2単位
【経済】 14-1-1110-3493-12A

1. 授業の内容(Course Description)

 公益事業とは、エネルギー産業(電力、ガス)、公共交通(鉄道、バス、タクシー、航空など)、電気通信、上下水道などで、公的な要素の強い産業である。これらの産業では、一般企業と異なり、法律や規制などによって企業活動にさまざまな制約が課されたり、あるいは事業そのものが公的機関によって行われている。なぜこのような制約のもとで活動をしているのか、このような規制を取り払うとどうなるのかについて理解することがこの講義の目的である。具体例を取り上げながら、公的要素をもつ産業をいかにして効率的に経営させるかについても学習し、「公共性」と「私的性」について考えることで、公的規制の在り方について検討する。近年、公益事業の分野では、規制緩和や民営化が盛んに行われているが、その根拠や民営化の手法についても学習する。
 授業は、基本的にレジュメを用いて行い、受講生のレベルにあわせて難易度は調整する予定である。
 日本の公益事業Ⅱでは、主として現代の流れである規制緩和の概要とその評価について、さらにPPP(Public Private Partnership)やインフラファンドなどの新しい流れについても学習する。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 この講義における目標は以下のとおりである。
 (1)公益事業が規制のもとで活動する理由を理解する。
 (2)近年の規制緩和の意味を理解する。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 授業中の課題・宿題(40%)期末試験(60%)
 その他、授業への参加度、質問なども考慮する。期末試験は持ち込み可とする。800字程度の論述試験にする予定である。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは特に指定しない。参考文献は以下の通り。
 塩見英治(2011)『現代公益事業』有斐閣ブックス。
 藤原淳一郎・矢島正之(監修)(2007)『市場自由化と公益事業』白桃書房。
 桑原秀史(2008)『公共料金の経済学』有斐閣。
 井手秀樹・鳥居昭夫・竹中康治(2010)『入門・産業組織』有斐閣。

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 基本的に予習はしなくてよい。しかし復習は以下の点に注意しながらしっかりと行ってほしい。
 (1)授業で学習した専門用語を覚える。
 (2)新聞やニュースで関連する記事に目を通し、その記事に対して自分の意見をもち、コメントできるようになること。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 公益事業は社会にとって必要不可欠であり、かつ身近な存在であるが、どのように企業活動が行われているかを十分に理解していない人が多いと思われる。したがって、公益事業に関して少しでも興味のある方の履修を勧める。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 イントロダクション(公益事業とは何か。経済学的分析手法)
【第2回】
 公益事業の性質の復習(規模の経済、自然独占性)
【第3回】
 公益事業の性質の復習(外部性)
【第4回】
 ユニバーサルサービスとネットワーク性
【第5回】
 電力事業とガス事業のアンバンドリング(企業の境界)
【第6回】
 鉄道産業の上下分離とモーダルシフト
【第7回】
 鉄道産業における内部補助の妥当性
【第8回】
 航空産業におけるLCCの台頭と空港民営化
【第9回】
 道路事業における費用便益分析
【第10回】
 道路事業における費用便益分析の問題点の検証
【第11回】
 企業の境界と公益事業
【第12回】
 PPP(PFI)と公益事業
【第13回】
 ファンドによる資金調達(インフラファンド)
【第14回】
 総復習1
【第15回】
 総復習2