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授業の内容(Course Description) |
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本講義は、秋期の「精神医学概論」の序論である。精神医学概論を受講予定の学生は履修しておくことが強く望まれる。 精神病理学は、病的心理学とも言われ、基本的な精神医学の方法論の一つである。一体異常とは何なのか、そもそも「病」とは何なのか、社会の問題を個人の問題にすりかえていないだろうかなどという疑問から始まって、何故、ある精神現象をその人間が表すのか、それはどのように変遷していくのかなどといったことを精緻に考える学問である。 一見似通っている精神現象の中に違った要素を見いだしたり、全く違って見える現象の中に共通のものを見いだそうとすることによって、100人が100人同じ診断をできるようになることを目指す症状学・記述現象学、個別性を重視し、その人が生まれて育っていく途上でもつさまざまな体験からその人を理解しようとする人間学的精神病理学や精神分析学をはじめとする力動的精神医学など、様々な立場がある。 本講義では、脳科学的、生物学的に「病」を捉えようとする場合でも、心を病む人々と治療的にかかわろうとする場合でも、基本となる学問である精神病理学の概略を学ぶことを目標とする。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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本講義では、脳科学的、生物学的に「病」を捉えようとする場合でも、心を病む人々と治療的にかかわろうとする場合でも、基本となる学問である精神病理学の概略を学ぶことを目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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講義ノートの提出30%、試験(最終講義日)70%の予定である。出席は義務付けないが、期間中数回、その日の講義内容を30分間ほどかけて自らとったノートに沿ってまとめ、提出を求める。講義出席前に下記池田のホームページを参照し、パワーポイントで製作したPDFファイルをプリントアウトしてくることを勧める。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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『精神病理学とは何だろうか』 松本 雅彦 著、星和書店などの予定である。 その他、適宜、講義やHPで提示する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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事前にPPTに目を通すことや、テキストや、講義内やHPで提示する参考文献に目を通しておくことが望ましい。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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本講義は、秋期の「精神医学概論」の序論である。精神医学概論を受講予定の学生は履修しておくことが強く望まれる。また、主体的、積極的な参加が望まれる。 適宜HPhttp://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htmを参照すること。 PDFファイルを閲覧するためのパスワードは講義中に呈示するほか、8号館7階心理学実験準備室前の掲示板に掲示する。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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概ね以下のような計画で進めていく予定であるが変更する可能性がある。 【第1回】 序論 【第2回】 精神医学の中に占める精神病理学の位置 【第3回】 精神医学の概史:1.収容の時代 【第4回】 精神医学の概史:2.脳と遺伝の時代 【第5回】 精神医学の概史: 3.「精神病」概念確立の時代 (クレペリンとブロイラー) 【第6回】 精神医学の概史: 4.「神経症」概念確立の時代 (ジャネとフロイト) 【第7回】 精神病理学の成立: 1.観察-記述の厳密さを求めて: 精神医学の方法論とその限界の提示(ヤスパース、シュナイダー) 【第8回】 精神病理学の成立: 2.性格-環境-体験から精神病を捉える (クレッチマー) 【第9回】 精神病理学の成立: 3.精神病理学からみる「診断と治療」の問題 【第10回】 戦後の精神病理学の動向: 1.アメリカの力動精神医学 (サリヴァン、フロム-ライヒマンら) 【第11回】 戦後の精神病理学の動向: 2.ドイツの了解人間学、現存在分析、発病状況論(ビンスワンガーら) 【第12回】 戦後の精神病理学の動向: 3.反精神医学運動の昂揚(レイン、クーパーら) 【第13回】 日本の精神病理学の歴史と現状 【第14回】 精神病理学の存在理由 【第15回】 まとめと試験
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