Web Syllabus(講義概要)

平成27年度

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非行少年の処遇 岡本 潤子
選択  2単位
【教育】 15-1-1360-3763-14A

1. 授業の内容(Course Description)

 非行を行った少年に対する処遇は,社会の「子ども観」を映す指標です。それは,時代により変化し,人権についての意識や,人間関係の科学についての態度を反映し,国家経済や政治の影響も大きく受けています。非行少年の立ち直りを有効に実現することは,肯定的な人間観の共有に資するだけでなく,社会防衛の視点からも極めて重要なことです。
 しかし,非行少年への処遇に,社会は大きな関心を寄せているとは限りません。「非行少年の更生」「立ち直りへの支援」は,他人事としてとらえられがちであり,敬遠される話題になりがちです。
 本年は,新少年院法と少年鑑別所法の施行があり,非行少年に対する処遇が大きく変化する年です。本授業では,まず,非行少年に対する処遇の歴史的背景と「少年法」の理念を学んだ後,非行に関わる捜査機関,判断機関,処遇機関の具体的関わりを学んでいきます。リスク・アセスメントについての考え方,諸外国の制度や処遇,国連における条約や準則なども視野に入れ,検討していきます。
 授業では,非行少年の処遇についての知識を深めるだけでなく,社会の一員としての自分の「非行少年の処遇」についての姿勢を意識し,考察していきます。
 本授業は,春期の授業「少年非行の要因」での学習を前提としています。

2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 ① 「少年法」の歴史と理念について,説明できる。
 ② 捜査機関である警察及び検察庁の役割と実務を説明できる。
 ③ 判断機関である家庭裁判所の役割と実務を説明できる。
 ④ 児童相談所,保護観察所,少年院,少年鑑別所等の役割と実務を説明できる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)

 定期試験の成績(70%)と授業への参加状況(30%)を総合して評価します。授業の参加状況は,出席だけではなく,授業内で不定期に実施するリフレクションペーパーの提出をあわせて判断します。

4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキストは使用せず,講義に際してプリントを配布します。
 参考図書:『平成26年版犯罪白書』法務総合研究所編集
      『法と心理学の事典』越智啓太外編集,朝倉書店

5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 授業の中では,非行少年の処遇に関わっている人の体験談や参考文献などを紹介します。それらの書物,新聞,専門誌,メディア情報などに興味を持ってあたり,関心を広げてください。
 授業の前後には,配布するプリントを確認して整理し,授業時必ず持参するようにしてください。

6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 配布するプリントは概要なので,講義により細部を充実させ,内容を理解するようにしてください。授業では,知識を得るだけではなく,社会の一員として,非行に対する自分の立ち位置を絶えず問う姿勢を持ってください。
 大教室での講義になりますので,授業中の私語や,他の学生の迷惑になる行為は慎んでください。
 <重要>教室の大きさにあわせ,受講者数を制限する可能性があります。その場合は初回の授業の出席に基づいて決めていきますので,受講を予定している人は,必ず初回の授業に出席するようにしてください。

7.
授業の計画(Course Syllabus)

【第1回】
 ガイダンス。
【第2回】
 少年事件の取り扱いの流れ。少年審判と刑事裁判との違い
【第3回】
 非行少年に対する処遇の歴史
【第4回】
 少年法の理念。改正と処遇への影響
【第5回】・【第6回】
 家庭裁判所における少年審判
【第7回】
 児童相談所,児童自立支援施設での少年への関わり
【第8回】
 少年鑑別所における少年への関わり
【第9回】
 保護観察所の処遇
【第10回】
 少年院における処遇 ①
【第11回】
 少年院における処遇 ②
【第12回】
 リスク・アセスメントと処遇
【第13回】
 諸外国の制度や処遇,国連の準則等
【第14回】
 テスト
【第15回】
 まとめ