1. |
授業の概要(ねらい) |
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地場産業という用語は日本独特のものですが、この概念に近い英語は新古典派経済学の父と言われるAlfred Marshallが用いたIndustrial districtです。この授業では、日本やヨーロッパにおける典型的な地場産業産地を取り上げて、それら各地でなぜその産業が発達したのか、産地存続に危機がなかったのか、あった場合にはそれを克服するためにどのような施策が実行されたのか、その施策は成功したのか、といった諸論点を講義します。
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2. |
授業の到達目標 |
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地場産業の概念、その産地で展開する企業間関係、産地間の競争などに関する基礎理論を理解し、これを身近な地場産業に応用して独自に考える能力を身につけることが授業の目標です。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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授業最終回に実施予定の試験で成績評価を行ないます。また、合否ボーダーラインにある学生については、授業中に行なう小レポートを参考にして成績評価をします。ただし小レポートは随時書いてもらうのであり、毎回の授業で求めるとは限りません。
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4. |
教科書・参考書 |
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特定のテキストは用いません。以下は、当面の参考書です。 伊東維年(編)(2017)『グローカル時代の地域経済』日本経済評論社 伊東維年・山本健兒・柳井雅也(編)(2014)『グローバルプレッシャー下の日本の産業集積』日本経済評論社 井出策夫(編)(2002)『産業集積の地域研究』大明堂 板倉勝高(1981)『地場産業の発達』大明堂 板倉勝高・北村嘉行(1980)『地場産業の地域』大明堂 北村嘉行(2006)『工芸産業の地域』原書房 上野和彦・政策科学研究所(編)『伝統産業産地の行方―伝統工芸品の現在と未来―』東京学芸大学出版会 山崎充(1974)『変わる地場産業―“日本らしさ”は生き残れるか―』日本経済新聞社
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5. |
準備学修の内容 |
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毎回の授業の終わりころに、次回の授業のための準備として何を図書館や自宅等で行ってもらうのか指示します。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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復習をしっかり行うことが求められます。 試験は、授業最終回ではなく、定期試験期間中の実施になる可能性があります。詳細は12月中旬頃に、授業中でお知らせします。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 |
今、なぜ、地場産業が問題となるのか? |
【第2回】 |
地場産業の概念と類型 |
【第3回】 |
日本における地場産業の地理的分布とその変化
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【第4回】 |
木工家具産地 福岡県大川市の事例
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【第5回】 |
肥前有田焼の事例
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【第6回】 |
肥前における他の陶磁器産地の事例
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【第7回】 |
織物産地とその変化
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【第8回】 |
金属加工業産地の変化
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【第9回】 |
マーシャルの「産業地区(Industrial district)」概念
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【第10回】 |
「第3のイタリア」の事例
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【第11回】 |
オーストリア・フォラールベルク州の繊維織物産地の事例
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【第12回】 |
ドイツ南西部の外科治療器具産地の事例
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【第13回】 |
ドイツの製靴工業都市の変貌
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【第14回】 |
日本とヨーロッパの地場産業の類似点と相違点
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【第15回】 |
試験、及び総括討論 |
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