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授業の概要(ねらい) |
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この授業においては、日本文学における「愛」の表象を探求する。『源氏物語』において、光源氏は母桐壷更衣を生涯にわたって探し求めるが、失われた母の愛を取り戻すことはできない。彼にとって様々な女性たちは母の幻影に過ぎない。日本文学においては、男女の愛よりも母や父や兄弟姉妹との愛が人生の最重要課題となる傾向がある。誤解やすれ違いによって疎遠になっていた父・母・兄弟姉妹との愛を回復するとき、男女の愛は背後に退く。または、男女の愛の成就は失われた親の愛のメタファーとして機能する。または、子供時代の愛を成就させることによって人生のゴールに到達する。扱う作品はどれも感動的な作品である。それらを読みながら、日本文学における愛の表象について考える。
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授業の到達目標 |
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1.日本文学についての基礎知識を修得する。 2.日本文学における「愛」の表象を学ぶ。 3.「表象」について理解する。 4.批評的観点から文学作品を読むことによって思考力を養う。
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成績評価の方法および基準 |
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授業内提出物20%、期末テスト20%、発表60%
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教科書・参考書 |
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参考書:橋本治訳『窯変 源氏物語』1巻、14巻(中公文庫)、三島由紀夫『豊饒の海 1~4』(新潮文庫)、谷崎潤一郎『細雪』(中公文庫)、森村誠一『人間の証明』(角川文庫)、村上春樹の『ノルウェイの森』(講談社文庫)、村上春樹『国境の南、太陽の西』(講談社文庫)、東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)、東野圭吾『白夜行』(集英社文庫)、東野圭吾『手紙』(文春文庫)、山田宗樹『嫌われ松子の一生(上下)』(幻冬舎文庫)、湊かなえ『豆の上で眠る』(新潮文庫)
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準備学修の内容 |
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毎回の授業で発表できるように準備する。
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その他履修上の注意事項 |
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授業は学生の発表が中心である。受け身的に知識を得ようとするのではなく、自ら探求する精神が重要である。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | 授業説明 | 【第2回】 | 紫式部の『源氏物語』における母の形代 | 【第3回】 | 紫式部の『源氏物語』における浮舟の決意 | 【第4回】 | 三島由紀夫の『豊饒の海』における禁忌の愛 | 【第5回】 | 三島由紀夫の『豊饒の海』における母なる愛 | 【第6回】 | 谷崎潤一郎の『細雪』における家制度と愛の相克 | 【第7回】 | 森村誠一の『人間の証明』における母の愛 | 【第8回】 | 村上春樹の『ノルウェイの森』における愛の不可能性 | 【第9回】 | 村上春樹の『国境の南、太陽の西』における青春の恋 | 【第10回】 | 東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』における父と娘の愛 | 【第11回】 | 東野圭吾の『白夜行』における愛と支配 | 【第12回】 | 東野圭吾の『手紙』における兄弟の愛 | 【第13回】 | 山田宗樹の『嫌われ松子の一生』における愛の渇望 | 【第14回】 | 湊かなえの『豆の上で眠る』における姉妹の愛 | 【第15回】 | まとめと期末テスト |
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