Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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地場産業論(Localized industry toward wider markets) 山本 健兒
3年 後期 専門 地域経済系選択 2単位
【地域・後期】 19-1-1570-4694

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

 地場産業という用語は日本独特のものですが、この概念に近い英語は新古典派経済学の父と言われるAlfred Marshallが用いたIndustrial districtです。この授業では、日本やヨーロッパにおける典型的な地場産業産地を取り上げて、それら各地でなぜその産業が発達したのか、産地存続に危機がなかったのか、あった場合にはそれを克服するためにどのような施策が実行されたのか、その施策は成功したのか、といった諸論点を講義します。
 この授業は、経済学部のディプロマポリシーのうちDP1「1.日本と世界の経済、地域経済、企業経営及び観光にかかわる基礎的理論・知識を修得」すること、および地域経済学科のディプロマポリシーのうち、特にDP2「2.複雑な地域の経済問題を理解」するための基礎に関わります。

2.
授業の到達目標

 地場産業の概念、その産地で展開する企業間関係、産地間の競争などに関する基礎理論を理解し、これを身近な地場産業に応用して独自に考える能力を身につけることが授業の目標です。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

 授業最終回に実施予定の試験で成績評価を行ないます。また、日本経済に関する基礎的な知識等に関する質問を授業中に口頭で行なう予定です。さらに、授業内容の理解が確実になったか否かを確認するための簡単な小テストや小レポートを随時課します。これらも最終的な成績評価に反映させる予定です。口頭での質問に対する学生からの解答や小テスト・小レポートについては、その都度教員から正解や解答に至る考え方などを解説するので、これが学生へのフィードバックになります。

4.
教科書・参考書

1学期間を通じて用いる特定のテキストはありません。ただし、日本の各大学図書館のリポジトリなどからインターネットを通じてダウンロードできる学術論文をテキストとして用いることがあります。その際には授業に論文を具体的に示すとともに、そのダウンロードの仕方を提示し、自ら取得してもらいます。

以下は、当面の参考書です。
伊東維年(編)(2017)『グローカル時代の地域経済』日本経済評論社
伊東維年・山本健兒・柳井雅也(編)(2014)『グローバルプレッシャー下の日本の産業集積』日本経済評論社
黒瀬直宏(2004)『地域産業』白桃書房
井出策夫(編)(2002)『産業集積の地域研究』大明堂
板倉勝高(1981)『地場産業の発達』大明堂
板倉勝高・北村嘉行(1980)『地場産業の地域』大明堂
北村嘉行(2006)『工芸産業の地域』原書房
上野和彦・政策科学研究所(編)『伝統産業産地の行方―伝統工芸品の現在と未来―』東京学芸大学出版会
山崎充『日本の地場産業』ダイヤモンド社
山崎充(1974)『変わる地場産業―“日本らしさ”は生き残れるか―』日本経済新聞社

5.
準備学修の内容・必要な時間

 授業中に教員が紹介する論文や書籍等を、事前に読むことが準備学習となります。復習では、授業内容に関する自分のメモをもとにして、ノートを整理することが必要となります。予習に1時間半、復習に2時間かかることが予想されます。

6.
その他履修上の注意事項

 復習をしっかり行うことが求められます。
試験は、授業最終回ではなく、定期試験期間中の実施になる可能性があります。詳細は12月初旬頃に、授業中でお知らせします。

7.
授業内容

【第1回】
「地場産業論」の概要に関するシラバスに基づく解説
受講上の諸注意
【第2回】
今、なぜ、地場産業が問題となるのか?
【第3回】
地場産業の概念と類型
【第4回】
日本における地場産業の地理的分布とその変化
【第5回】
関東地方の地場産業
【第6回】
木工家具産地 福岡県大川市の事例
【第7回】
肥前有田焼の事例
【第8回】
肥前における他の陶磁器産地の事例
【第9回】
諏訪地方の地場産業とその変化
【第10回】
金属加工業産地の変化
【第11回】
マーシャルの「産業地区(Industrial district)」概念
【第12回】
「第3のイタリア」の事例
【第13回】
オーストリア・フォラールベルク州の繊維織物産地の事例
【第14回】
ドイツ南西部の外科治療器具産地の事例
【第15回】
試験、及び解説