1. |
授業の概要(ねらい) |
|
民事訴訟法は、民法などの実体法の知識を前提に、その権利を実現するための手続を定めた重要なものである。権利を「絵に描いた餅」にしないためには、民事訴訟手続の理解が必要不可欠といえる。 本講義では、民事訴訟法学の基本的な手続と理論を学ぶとともに、その考え方を応用し、社会の様々な紛争にいかなる対応ができるのかを考えていく。そして、各自が当事者になった場合を想定し、紛争解決の技法を会得してもらう。 基本部分につき講義形式の授業を行うほか、受講生に報告を求めることもあり、多くの事例について受講生とともに考え、理解を深めていきたい。 民事訴訟法研究Ⅱは、民事訴訟法研究Ⅰを前提に、判決後の手続及び特殊類型、外国の民事訴訟法を中心に、受講生の関心のあるテーマを取り上げる。 なお、受講生の関心のあるテーマによって、授業の計画は、一部変更になることがある。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
・民事訴訟の流れが理解でき、民事訴訟法学の主要な問題状況を把握できる。 ・手続法の考え方(手続的正義・手続保障等)を身につけ、社会に応用できる。 ・現代社会の様々な紛争に対し、問題解決の技法を身につけ、対応策を考えられる。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
授業態度やレポート等で総合的に評価する。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
開講時に指示する。 参考書:高橋宏志『民事訴訟法概論』(有斐閣、2016年) 参考書:高橋宏志=高田裕成=畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選(第5版)』(有斐閣、2015年)
|
5. |
準備学修の内容 |
|
事前に次週のテーマを予告するので、参考文献等の該当箇所を一読しておくこと。 報告担当になった場合は、準備を行うこと。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
民事訴訟における全体像を理解しておくことが望ましい。 大学院の授業であるため、各自の問題意識が重要となる。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | ガイダンス―民事訴訟法研究Ⅰの内容の復習と民事訴訟法の全体像を確認 | 【第2回】 | 判決効―既判力の時的限界・既判力の客観的範囲・既判力の主観的範囲 | 【第3回】 | 複雑請求訴訟―民事訴訟の重層的構造 | 【第4回】 | 多数当事者訴訟―集団訴訟における解決のあり方 | 【第5回】 | 上訴制度―民事訴訟における人間の判断の限界 | 【第6回】 | 国際民事訴訟―国際離婚と子の奪取 | 【第7回】 | アメリカの民事訴訟法―マクドナルド・コーヒー訴訟の真実 | 【第8回】 | ドイツの民事訴訟法―民事訴訟法理論の最先端 | 【第9回】 | 医療過誤訴訟―ドラマ「白い巨塔」における裁判 | 【第10回】 | 環境訴訟―景観訴訟における民事訴訟と行政訴訟の交錯 | 【第11回】 | 原発訴訟―原発差止め訴訟と原発賠償訴訟の進展状況 | 【第12回】 | ネット訴訟―ネット炎上に対する法的課題と「忘れられる権利」 | 【第13回】 | 人工知能と訴訟―自動運転による事故の責任 | 【第14回】 | これからの民事訴訟の展望―民事訴訟法の立法課題 | 【第15回】 | まとめ |
|