Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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授業研究論 森  一平
選択必修  2単位
【教育文化】 17-1-1333-4234-08

1. 授業の概要(ねらい)

 子どもたちによりよい学びを提供するために、教師は専門家としての力量を絶えず発展させていかねばならない。教師の専門家としての力量とは、何よりもまず授業力のことであるだろう。そして、授業力を向上させるための最も確かで効果的な方法は、過去の自分の(あるいは他の教師の)授業を研究し、改善の糸口を探っていくことだ。
 しかしその授業研究も、適切なやりかたでなされなければ効果の薄いものになってしまうし、授業の改善につながりにくいものになってしまう。そこで本講義ではまず、①授業研究をめぐる歴史や論点を振り返ることを通し、授業研究とは何かを明確に把握することをめざす。そのうえで次に、②エスノメソドロジー・会話分析の立場にたちながら「相互行為としての授業」という観点で行われた研究事例を、自分たち自身の手で再検討・分析してみることを通し、適切な視点・方法に依拠しながら実際に授業研究を遂行していくための基礎的な力の獲得をめざす。

2.
授業の到達目標

 ①授業研究のありかたについて豊富な知識を身につけている。
 ②エスノメソドロジー・会話分析の立場から、実際に授業研究をおこなうための基礎力を身につけている。

3.
成績評価の方法および基準

 ・グループワークの成果物:40%
 ・最終レポート:60%

4.
教科書・参考書

 【テキスト】
 特に指定しない。毎回の講義でレジュメや資料を配布する。
 【参考文献】
 ・稲垣忠彦・佐藤学、1996、『授業研究入門』岩波書店。
 ・前田泰樹・水川喜文・岡田光弘編、2007、『ワードマップ エスノメソドロジー――人びとの実践から学ぶ』新曜社。

5.
準備学修の内容

 ・毎回の講義内容はたがいに関連しあっており、すでに講義した内容を前提にそれ以降の講義がおこなわれる。受講者は前回の講義で配布された資料を読み込み・復習したうえで次回の講義に臨むこと。
 ・あらかじめ資料や文献を配布し、その読解を宿題とすることがある。その場合にはただ機械的に読むのではなく、そこから自分なりの意見を引き出すような読みをおこなうこと。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業はグループワーク主体の授業であるため、学生たちの積極的な参加が何より重要となる。受講者には、グループワーク時にひとに任せずみずから積極的に意見を表明する態度を求める。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション――授業研究とは何か
【第2回】
 授業研究の歴史(1)――授業研究の起源と授業研究運動の展開
【第3回】
 授業研究の歴史(2)――戦後の授業研究と現在
【第4回】
 授業研究の論点(1)――授業とはいかなる実践か?
【第5回】
 授業研究の論点(2)――教室の時空間の(再)編成
【第6回】
 授業研究の論点(3)――授業の/における省察と反省
【第7回】
 相互行為としての授業(1)――エスノメソドロジー・会話分析の視点から授業を読み解く
【第8回】
 相互行為としての授業(2)――発言の順番交替組織の観点から
【第9回】
 グループワーク(1)――発言の順番交替組織を読み解く
【第10回】
 相互行為としての授業(3)――行為連鎖の組織の観点から
【第11回】
 グループワーク(2)――行為連鎖の組織を読み解く
【第12回】
 相互行為としての授業(4)――トラブルの修復組織の観点から
【第13回】
 グループワーク(3)――修復の組織を読み解く
【第14回】
 授業を読み解いた後に――授業改善にどう活かしていくか
【第15回】
 おわりに――講義全体のまとめと発展
 (注:上記計画は、受講者の学習状況や問題関心に応じて変更することがあります。)