Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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超域社会論特講 I 大野 雅子
選択  2単位
【超域文化専攻】 17-1-1410-0109-10

1. 授業の概要(ねらい)

 17世紀ヨーロッパに入ってきた「茶」はまたたく間にヨーロッパ人を魅了した。ヨーロッパ人にとって「茶」は「東洋」の神秘そのものであった。大航海時代のヨーロッパ人にとって「東洋」や「日本」とはどのような存在だったのか。「東洋」から来た「贅沢品」である「茶」とそれを飲むための「陶磁器」はヨーロッパ階級社会成立にどのような影響をもったのか。日本の「茶道」とヨーロッパにおける「紅茶」文化はどのように違うのか。さらに、19世紀イギリスにおいて日常の飲み物として定着する「茶」はどのようにしてイギリス人にとって「イギリス的」な飲み物となったのか。以上の疑問を解決するために様々な文献を渉猟する。

2.
授業の到達目標

 1.「茶」とヨーロッパ階級社会成立との関連を検証すること。
 2.「茶」と「贅沢」という概念との関連を検証すること。
 3.大航海時代のヨーロッパ人たちが日本に対してどのようなイメージをもったのかを検討すること。
 4.日本の「茶道」とヨーロッパの「紅茶」文化の違いを分析すること。

3.
成績評価の方法および基準

 授業内発表50%、期末レポート50%

4.
教科書・参考書

 ヴェルナー・ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』金森誠也訳、講談社学術文庫、2000年。
 ソースティン・ヴェブレン『有閑階級の理論』ちくま文芸文庫、1998年。
 角山栄『茶の世界史』中公新書、1980年。
 W. H. ユーカース著、杉本卓訳『ロマンス・オブ・ティー-緑茶と紅茶の1600年』八坂書房、2007年。
 マルコ・ポーロ『東方見聞録1』東洋文庫158、平凡社、1970年。
 シーボルト『江戸参府紀行』東洋文庫87、平凡社、1967年。
 リンス・ホーステン『東方案内記』大航海時代叢書8、岩波書店、1968年。
 ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』岩波文庫、1980年。
 ド・クインシー『阿片常用者の告白』岩波文庫、2007年。
 岡倉天心『茶の本』岩波文庫、1961年。

5.
準備学修の内容

 毎週の予習は必須。授業で扱う本は必ず事前に読んでおき、発言できるようにしておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 毎週出席すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 茶と「贅沢」、茶と「東洋」
【第2回】
 「贅沢」誕生以前のヨーロッパ階級社会
【第3回】
 「贅沢」の変遷
【第4回】
 「顕示的閑暇」
【第5回】
 「顕示的消費」
【第6回】
 ヨーロッパ大航海時代とマルコ・ポーロの東方旅行
【第7回】
 マルコ・ポーロが見た「ヤパン島」
【第8回】
 リンス・ホーテンが見た「ヤパン島」
【第9回】
 ジョナサン・スウィフトの「ヤパン島」
【第10回】
 ケンペルが見た江戸の飲茶
【第11回】
 日本の茶の湯
【第12回】
 ロンドン万国博覧会に出展された日本の陶磁器
【第13回】
 ロマン主義の時代における茶とアヘン
【第14回】
 ロマン主義の時代における茶のEnglishness
【第15回】
 まとめ