担当者 | 鈴木 稔 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [資格科目] | |
科目ナンバリング | CAS-203 |
博物館資料には美術・工芸品、書跡・典籍・古文書類、考古学資料、自然史標本、生体資料などさまざまなものが含まれ、極めて多様性に富んでおりそれらを適切に保存するためには幅広い知識が求められる。ここでは、資料の物質的特性や材質・製作技法に関するもっとも基礎的な知識及び資料の理化学的調査法を習得する。また、各種の劣化要因とそれぞれの抑制方法を学び、ミュージアムの収蔵・展示に関わる保存技術について知る。さらに、地域文化の遺産の保存と災害対策についても触れる。なお、スライド画像・ビデオ映像等を多用して理解しやすい授業をめざす。
博物館にとって資料の安全かつ長期安定的な保存はもっとも基本的な使命である。学芸員は常に館内環境の制御に配慮するとともに、資料の脆弱性と劣化メカニズムについて知り、適切な対策を施さなくてはならない。本授業では学芸員に求められる資料保存に関するこれらの基本的技能を習得する。
2/3以上の出席は必須条件(50%)。期末テスト(50%)を合わせて成績を評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は用いず教場にてプリントを配布する。 | ||
参考文献 | 参考文献は適宜指示する。 |
本授業では理系の用語が出てきて戸惑うことがあるかもしれませんが、次回の授業までにネットなどを使って検索してみることが理解の大きな助けとなります。わからないままにしないことがなにより大切です。
また、空いた時間を利用して帝京大学総合博物館に立ち寄り、展示室の設備や展示品、展覧会の構成などについて授業との関連という視点で参観してほしいと思います。
どんな博物館園にも資料保存上の問題はあるものです。なるべくまめに足を運んでどんな問題点があるか、どのように対処しているかを自分の目で確かめてみてください。そうすることによって理解が深まります。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス 博物館資料保存の意義(人口減少対応、災害対策など博物館に求められる保存機能) |
第2回 | ミュージアムの現状(デジタル化、環境問題、ハンズオンなど今日的な課題の概観) |
第3回 | 古美術技法材料紹介1 絵画(絹、紙、色料、膠着剤) |
第4回 | 古美術技法材料紹介2 彫刻その他(木彫、服飾品、漆工品、金工品) |
第5回 | 保存と修復の歴史と基本理念 |
第6回 | 資料劣化の要因と対策1 相対湿度、温湿度の測定と制御 |
第7回 | 資料劣化の要因と対策2 光の波長と資料劣化、光の測定と制御 |
第8回 | 資料劣化の要因と対策3 カビ・虫・獣の害、消毒と環境問題、IPMの課題 |
第9回 | 資料劣化の要因と対策4 有害ガス、空気の動き、収蔵庫と展示ケース |
第10回 | 資料調査法 可視化―X線CT、X線透過写真、赤外線TV、 材質・年代・産地―蛍光X線分析、走査型電子顕微鏡 |
第11回 | 美術館における資料保存の問題点(記録メディアなどの新ジャンル資料、銀塩写真と映像資料) |
第12回 | 歴史・考古・民俗系博物館における資料保存の問題点(紙資料の保存、出土品の保存処理、民具の保存) |
第13回 | 自然史・産業系の博物館における資料保存の問題点(環境教育の拠点、生物多様性、動態保存) |
第14回 | 地域文化遺産と災害対策(エコミュージアム、文化財と観光、文化財レスキュー) |
第15回 | まとめ |