担当者 | 高田 孝二 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [心理学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | NGN-202 |
精神薬理学概論Ⅰに引き続き、薬物効果を通してみたこころのはたらきについて考えます。はじめに、「Ⅰ」で詳しく紹介した、薬物が効果を発揮するメカニズムについて簡単におさらいします。ついで、薬物乱用や薬物依存をテーマとして、薬物乱用の現状や、覚せい剤や「危険ドラッグ」などの乱用薬物のみならず、酒(アルコール)、たばこ(ニコチン)、茶(カフェイン)など嗜好品について、性差を含め、紹介します。このような「やめられない」行動は、物質使用のみならず、ギャンブルやゲームなどについても知られ、これらは「行動嗜癖」や「アディクション」とも呼ばれます。この講義ではこれら行動嗜癖と物質依存の異同についても簡単に紹介します。最後に、依存性物質を含め、親や化学物質摂取や化学物質への暴露(例えば内分泌かく乱物質、いわゆる環境ホルモン)が次世代の脳機能に及ぼす影響についての最新の知見を紹介します。
われわれが日常的に接している、くすりを始めとする様々な化学物質の効能や毒作用についての理解を深めるとともに、これら化学物質がこころのはたらきを変化させるメカニズムを、物質使用を伴わない「嗜癖的行動」(行動のアディクション)も参考にしつつ学修する。さらに、普段意識していないものも含め、我々が暴露される物質が、本人のみならず子孫のこころにも影響するメカニズムを学び、実生活に生かす。
基本的に試験成績(小テスト、期末試験)で評価するが、受講態度や質疑内容も考慮する。詳細は第1回講義で説明する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 参考文献は講義内で紹介する。講義はスライドに沿って行うが、スライドはキイとなるもののみ配布する。 |
嗜好品を含め、自分の身の回りにある化学物質が、自分やひとのこころにどのような影響を与えているのかを考え、授業内容をフィードバックしつつ、そのメカニズムを考える癖をつける。また、授業内容をフィードバックしつつ、「やめられない行動」がどうしてできるのか、どうしてやめられないのかなどについて、自身や周りの友人の行動を観察し、考察する癖をつける。不明点は質問する。
薬物名など細部を覚える必要はない。「ストーリー」(話の筋道、論理展開)を追い、理解すること、またそのためのキイワード・概念を把握する努力をする。積極的な質問・討論を歓迎する。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション・薬理学の基礎(春学期のおさらい)1 |
第2回 | 薬理学の基礎(春学期のおさらい)2 薬物動態学 |
第3回 | 薬理学の基礎(春学期のおさらい)3 薬物の作用点 |
第4回 | 薬物依存 1)薬物乱用の歴史、現状 |
第5回 | 薬物依存 2)薬物依存の概念、法規制、用語解説 |
第6回 | 薬物依存 3)身体依存、検索法、動物実験の倫理 |
第7回 | 薬物依存 4)精神依存の検索法 1 脳内自己刺激、薬物自己投与(1) |
第8回 | 薬物依存 5)精神依存の検索法 2 薬物自己投与(2) |
第9回 | 薬物依存 6)精神依存の検索法 3 渇望の動物モデル |
第10回 | 薬物依存 7)精神依存の検索法 4 条件性場所選好、薬物弁別 |
第11回 | 薬物依存 8)ヒトにおける薬物自覚効果、薬物弁別、薬物自己投与 |
第12回 | 薬物依存 9)薬物乱用の性差 |
第13回 | 行動のアディクション:ギャンブル障害、ゲーム障害 |
第14回 | 発達神経行動毒性:親の化学物質摂取・暴露が次世代の脳機能に及ぼす影響(1) |
第15回 | 発達神経行動毒性:親の化学物質摂取・暴露が次世代の脳機能に及ぼす影響(2) |