臨床心理実習Ⅱ
担当者岡本 潤子教員紹介, 尹  成秀教員紹介, 中島  俊
単位・開講先必修  1単位 [文学研究科 臨床心理学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 修士2年次必修の授業です。
 この授業は,春期の「臨床心理実習Ⅰ」での学修を踏まえ,臨床心理士および公認心理師としての将来を視野に,これまで積み重ねてきた臨床心理実習の締めくくりを行う機会となります。
 春期とは異なり,この授業の中では,個別具体的なケースや事案の共有を通じて,討議を深めるのではなく,共有できる課題についての討議を通じて,各人が体験している実務への理解を深めることを重ねていきます。例えば,クライアントとの距離の取り方,セラピストとしての立ち位置,自己開示についての考え,自身の持つ枠組みに気づく技術,SVを受けるスタンス,職種内連携・他職種との連携・関連他機関との連携,社会人としての接遇・服装の最低マナー,などについて,これまで経験してきた心理臨床センターでの運営実習・ケースの担当・陪席による体験,事例検討実習での体験,学外実践実習(医療・地域)での見学および実習体験を踏まえ,検討していきます。そのためには,自身がたまたま遭遇した事案や体験を共有するだけでは不足です。今一度,原点に立ち返り,参考図書にあたり,学びをまとめ直して体験を総括していくことが必要です。
 この授業でも,春期に引き続き,学生自身が準備をしてプレゼンテーションを行い,課題を共有し,討論していきますが,個別具体的な体験を紹介しあうことにとどまらず,改めて学んだ結果を基に,抽象化し,共通の課題として提示することが求められます。その作業の中で,修士1年次にあたった文献を,再度読み,新しい意味を発見する体験をすることを期待します。
 また,修了後の職業選択が具体的になる時期です。キャリア形成にヒントになるよう,修了生あるいは特定領域の心理士による講話を企画することを予定しています。さらに,大学院における学びを,自らポートフォリオにまとめる作業も行っていく予定です。
 なお,心理臨床センターにおける運営実習については,引き続きこの科目で評価に含んでいきます。

授業の到達目標

 「臨床心理実習Ⅰ」に引き続き,この授業を経て,実際に臨床現場で働くことが可能なレベルとなり,以下の通りの目標を達成することを目指します。
 ① 臨床現場における諸課題について,改めて学び,自身の心理臨床センターでの運営実習・ケースの担当・陪席による体験,事例検討実習での体験,学外実践実習(医療・地域)での見学および実習体験と統合して整理することができる。
 ② 整理した課題を,自身に特有な体験としてではなく,共有できる課題として適切に提示し,討議につなげることができる。
 ③ 他の院生の発表する課題を傾聴し,その意図を理解して討議に参加することができる。
 ④ 修了後のキャリアについて,長期的および具体的な両面において,建設的に検討できる。
 ⑤ ポートフォリオ作成により,大学院修士課程における学びをまとめることができる。

成績評価の方法および基準

 心理臨床センタースタッフによる評価30%,授業における発表および参加50%,ポートフォリオ20%の割合で,総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『心理療法家の言葉の技術[第2版]―治療的コミュニケーションをひらく』ポール・L・ワクテル (著), 杉原 保史 (翻訳)金剛出版
参考文献『ポール・ワクテルの心理療法講義―心理療法において実際は何が起こっているのか? 』ポール・ワクテル (著), 杉原 保史 (翻訳), 小林 眞理子 (翻訳)金剛出版
参考文献『対人援助のプロセスとスキル: 関係性を通した心の支援』ローレンス・M.ブラマー (著), ジンジャー マクドナルド (著),堀越 勝他 (翻訳)金子書房

準備学修の内容

 授業の中で,個別具体的に扱う予定はありませんが,心理臨床センターにおける運営実習は,心理臨床センターのスタッフの助言・指導に従いつつ,継続していくことが必要です。また,心理臨床センターにおけるケース担当・陪席担当についても,引き続きスーパービジョンを受け,継続していくことが必要です。
 本授業での発表については,充分に文献にあたり,改めて学んで準備をしてください。フロアの参加者が,発表を楽しみにするような,豊かな内容を期待します。発表日には,資料を用意し,配布してください。
 同時に,フロアとして参加する回も,当日の課題について,自身が軸としている文献を共有する準備を行うなど,積極的な準備学修を期待します。

その他履修上の注意事項

 「臨床心理実習Ⅰ」の単位を修得した人が履修できます。
 院生同士の発表と討議を繰り返す授業です。安全な自己開示ができるバランス感覚を各人が養い,深いけれど支え合える良い討議が繰り広げられるよう,各人が役割を果たしてください。修士課程で学んだ総仕上げとして,各人が納得できる時間となるよう,ひとりひとりが努力してください。

 この科目は臨床心理学専攻に特化した科目です。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション。
課題の設定および発表日の決定。
第2回ポートフォリオ作成についてのガイダンス
第3回学生の発表と討議 ①
第4回学生の発表と討議 ②
第5回学生の発表と討議 ③
第6回学生の発表と討議 ④
第7回学生の発表と討議 ⑤
第8回学生の発表と討議 ⑥
第9回学生の発表と討議 ⑦
第10回学生の発表と討議 ⑧
第11回学生の発表と討議 ⑨
第12回キャリアガイダンス ①
第13回キャリアガイダンス ②
第14回振り返りとまとめ
第15回ポートフォリオの仕上げと提出