家族臨床心理学
担当者岡本 潤子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCLI-202

授業の概要(ねらい)

 そもそも家族とは何か,という問いが,奥深い意味を持ちます。家族はひとを育み癒す滋養の環境であると同時に,最も激しい感情を引き起こし多くの紛争を生む巣窟でもあります。
 この授業では,一見誰もがわかったつもりでいる「家族」を,臨床心理学的な視点で,様々な面から問い直し,絶えず動き,呼吸をしているものとして家族をとらえなおしていきます。家族についての様々な事実を紹介するだけでなく,システムとして家族をとらえ,家族そのものの発達の中で子どもや家族員が体験する諸相を見ていきます。
 講義が中心の進行になりますが,受講する学生には,自分自身の家族についての枠組みを問い直し,新しい発見を求める意欲的な気持ちで授業に参加する姿勢を期待します。

授業の到達目標

 ① 家族の定義及び家族の変遷について説明できる。
 ② 家族ライフサイクルなど,家族の発展・成長・変化についてのとらえ方を理解し,説明できる。
 ③ 家族をシステムとしてとらえる臨床的視座について理解し,説明できる。

成績評価の方法および基準

 定期試験の成績(70%)と,授業参加状況(30%)を総合して評価します。授業参加状況とは,カードリーダーによる各授業の出席数ではなく,授業内で求めた発言の内容や,不定期に実施する振り返りシートの提出の状況とその内容の評価のことを指します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは使用せず,毎回,授業のレジュメを配布します。
参考文献『家族心理学』中釜洋子他有斐閣ブックス
参考文献『家族臨床心理学入門』村尾泰弘北樹出版
参考文献『家族臨床心理学―子供の問題を家族で解決する』亀口憲治東京大学出版会
参考文献『子どもの養育に心理学がいえること』シャファー,H.R.新曜社

準備学修の内容

 授業で紹介する書物,ニュース,インターネットサイトなどを,興味を持って読み,関心を広げてください。

その他履修上の注意事項

 ① 配布するレジュメは概要なので,講義や,自主的な学習により,充実させ,内容を理解するようにしてください。
 ② 個人の体験だけからではなく,多角的に家族を見る姿勢を身につける努力をしてください。
 ③ 大教室での授業です。授業中は,私語や他の学生の迷惑になる行為は慎んでください。
 ④ 心理学の研究調査への協力を複数回予定しています。参加は任意ですが,研究参加体験としてご協力ください。
 ⑤ <重要>教室の大きさに合わせ,受講者数を制限する可能性があります。その場合は初回の授業の出席に基づいて受講者を決めていきます。受講を予定している人は,必ず初回授業に出席してください。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション。家族とは
第2回 家族の定義の変遷。核家族・世帯について
第3回 家族をシステムとして見る視点について
第4回 家族ライフサイクル ①
 (家族の発達段階という視点,移行期のストレスと現象,家族ライフサイクルⅠ~Ⅱ段階)
第5回 家族ライフサイクル ②
 (家族ライフサイクルⅢ~Ⅶ,家族ライフサイクルのまとめ)
第6回 離婚と家族 ①
 (離婚の制度,親の離婚と子どもについての制度)
第7回 離婚と家族 ②
 (親の離婚の子どもへの影響)
第8回 犯罪と家族 ①
 (犯罪の要因としての家族)
第9回 犯罪と家族 ②
 (犯罪の立直りの環境としての家族,犯罪加害者・被害者の家族)
第10回 家族の中の暴力 ①
 (家族の中で起きる暴力の種類,児童虐待の定義や実態)
第11回 家族の中の暴力 ②
 (児童虐待の背景,影響,介入)
第12回 家族療法 ①
 (家族療法の定義・歴史,各派の概念や技法Ⅰ)
第13回 家族療法 ②
 (各派の概念や技法Ⅱ)
第14回 テスト
第15回 振り返りとまとめ