近代日本文化研究Ⅱ
担当者濱田  陽教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLT-102

授業の概要(ねらい)

 日本列島において十二支動物は、千数百年にわたって時間や方位の把握に用いられてきた。十二支の時空のシステムは数字の反復や積算ではなく、玄妙に変化する地球、太陽、月などの自然と生きものや人の関係として展開してきた。
 列島に伝承された神話、物語、民俗、宗教などを考察し、個性あふれる十二支動物を導き手として、生きとし生けるものが織りなす日本文化の時空に分け入り、伝統文化と近代文化双方の知識を培いながら伝統の日本、近代日本、現代文明がはらむ課題を深く学ぶ。

授業の到達目標

 日本文化への多様な視座を養い、講義・教科書の内容をふまえて自身の感想を展開し、内容の深い考察をまとめる思考力、文章表現力を身につける。

成績評価の方法および基準

 授業参加、期末レポートにより総合評価
 *期末レポートのテーマは最終講義日2週間前に発表予定

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 『日本十二支考 文化の時空を生きる』(2017年1月刊)  秋期は本書の後半を中心に学ぶ。 濱田陽 中央公論新社
教科書
参考文献

準備学修の内容

 教科書に沿って進むため、次回授業で扱う予定の箇所を通読しておくこと。一回の授業で平均15ページ分ほど進むことを目安とする。

その他履修上の注意事項

 授業中に教科書中の着目すべき箇所を自分の判断でマークし、主体的に気づいたことや考えをメモするなど(教科書に書き込んでもポストイットなどを用いてもよい)、時間をかけて一歩一歩理解を深めていって欲しい。

 「7.各回の授業内容」には教科書各章が割り振られているが、章によって分量の差があるため、じっさいの授業進行はある程度前後することを前提としてほしい。

授業内容

授業内容
第1回第二部 十二支動物と日本文化の時空の旅
 第二部第四章 卯—兎 弱さの希望 
  豊穣のシグナル/地下世界への導き、こころの鏡/いとおしい希望
第2回 第二部第五章 辰—龍 想う、自然の精霊
  激情を受けとめる/龍を失う/意味の方法
第3回 第二部第六章 巳−蛇 実をはかる生きた尺度
  大地、海、空/いのちと環境/生きた尺度
第4回 第二部第七章 午−馬 近しい神の乗り物
  日本馬の魂/時空を凝縮する/愛する理由
第5回 第二部第八章 未−羊 遠いあこがれ
  羊の影/変換力をあこがれ/ひつじの謎
第6回 第二部第九章 申−猿 群れの誇り高い自由
  近い親しさの畏敬/誇り高い自由/古代人の創造力の新鮮
第7回 第二部第十章 酉−鶏 個の、恋するプライド
  勇敢な鶏の居るところ/たまご、ひよこ、恋するにわとり/神をも動かす声
第8回 第二部第十一章 戌−犬 伴侶力
  ともに渡り、ともに生き抜く/会いたい、会えない想いを超えるとき/いつの日か花を咲かそうよ
第9回 第二部第十二章 亥−猪 独りで出会う野生
  野生の猪に祈る/循環する亥/山の神としての猪
第10回第三部 よみがえる時空と文化学
 第三部第一章 十二支の潜在力
第11回 第三部第二章 世界の文化へ―未来の十二支
第12回 第三部第三章 文化学への関心
第13回 第三部第四章 存在と超越性
第14回 第三部第五章 復活に気づく
第15回まとめ、期末レポートのテーマについて解説