民事訴訟法研究Ⅰ
担当者長島 光一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法学研究科 法律学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 民事訴訟法は、民法などの実体法の知識を前提に、その権利を実現するための手続を定めた重要なものである。権利を「絵に描いた餅」にしないためには、民事訴訟手続の理解が必要不可欠といえる。
 本講義では、民事訴訟法学の基本的な手続と理論を学ぶとともに、その考え方を応用し、社会の様々な紛争にいかなる対応ができるのかを考えていく。そして、各自が当事者になった場合を想定し、紛争解決の技法を会得してもらう。
 基本部分につき講義形式の授業を行うほか、受講生に報告を求めることもあり、多くの事例について受講生とともに考え、理解を深めていきたい。
 民事訴訟法研究Ⅰは、民事訴訟法の総論的なテーマ、訴えの提起から審理を中心に毎回テーマを決めて講義を行い、受講生と意見交換をし、民事訴訟制度について見識を高めていく。その際に、映像資料も多様し、問題理解に資するようにしたい。
 なお、受講生の関心のあるテーマによって、授業の計画は、一部変更になることがある。

授業の到達目標

①民事訴訟の流れが理解でき、民事訴訟法学の主要な問題状況を把握できる。
②手続法の考え方(手続的正義・手続保障等)を身につけ、社会に応用できる。
③現代社会の様々な紛争に対し、問題解決の技法を身につけ、対応策を考えられる。

成績評価の方法および基準

授業態度やレポート等で総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書詳細は開講時に指示する。
参考文献『民事訴訟法(第3版)』(2018年)三木浩一=笠井正俊=垣内秀介=菱田雄郷有斐閣
参考文献『民事訴訟法判例百選(第5版)』(2015年)高橋宏志=高田裕成=畑瑞穂編有斐閣

準備学修の内容

 事前に次週のテーマを予告するので、参考文献等の該当箇所を一読しておくこと。(特に、テーマに関する判例百選の該当判例の事案の把握をすることで、何が争点なのか理解をしておくとよい。)
 報告担当になった場合は、準備を行うこと。

その他履修上の注意事項

 民事訴訟の全体像を理解しておくことが望ましい。
 大学院の授業であるため、各自の問題意識が重要となる。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス―法学における民事訴訟法の位置づけ
第2回紛争解決学―裁判による解決とADR
第3回司法制度改革―法曹養成と民事訴訟制度の改革とその成果
第4回訴訟物論争―訴訟手続の開始における請求の問題
第5回裁判所の役割―裁判官の思考プロセス
第6回当事者―当事者が裁判を利用する理由
第7回弁護士―訴訟代理人の活動の実際
第8回民事訴訟法の原則―民事訴訟法学の理念
第9回訴訟審理の進め方―口頭弁論のあり方
第10回事実認定―証拠収集の方法
第11回鑑定―専門家の意見の評価
第12回科学的証拠の取扱い―DNA鑑定やデジタルフォレンジックの活用
第13回証明責任論―現代型訴訟における証拠の偏在
第14回訴訟上の和解―民事訴訟における当事者間のやり取り
第15回まとめ