担当者 | 池田 政俊教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [文学研究科 臨床心理学専攻] | |
科目ナンバリング |
日本心身医学会の1991年の定義では「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」とされている。しかし本来心身医学は、心身二元論を克服し、人間の心身を全体として捉えようとする学問である。本講義では、心身医学を幅広く捉え、狭義の心身症のみならず、精神医学領域とされる病全般を、その心理的側面から理解することを目指す。
本講義では、心理臨床家に必要な心身医学、精神医学の全般的な知識を習得する事を目指す。すなわち、心身医学を幅広く捉え、狭義の心身症のみならず、精神医学領域とされる病全般を、その心理的側面から理解することを目指す。
テーマごとに、参考文献などを参考にしてレジュメを作成し、発表・討論する。それに教員が補足的に説明する。発表、討論への義務としての参加、レポート(レジュメ)で60%とし、そのほか、自主的な討論頻度(1回の発言につき5%評価をあげる予定である)、レポート(下記課題図書を読み、A4で2-3枚程度のレポート作成を課する予定である)、小テスト(未定)、内容、態度などを組み合わせ、総合的に評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキスト:精神医学関連として(春期の精神医学特論から引き続き使用予定):1.『知っておきたい精神医学の基礎知識―サイコロジストとコ・メディカルのために』(単行本) | 上島 国利(編集)、平島 奈津子(編集)、上別府 圭子(編集) | 誠信書房 |
参考文献 | 『心身症』 | 成田 善弘 著 | 講談社現代新書(絶版) |
参考文献 | 『新体系看護学全書:精神看護学Ⅰ/精神看護学概論/精神保健』第1章Ⅱ精神(心)の構造とはたらき | 岩崎弥生、渡邉博幸(編) | メヂカルフレンド社 |
参考文献 | 『身体という劇場-心身症への精神分析的アプローチ』 | マクドゥーガル著、氏原ら訳 | 創元社(絶版) |
参考文献 | 精神力動的精神医学ーその臨床実践 第5版(DSM-5準拠) | グレン・O・ギャバード(著)、奥寺崇(監訳)、白波瀬丈一郎(監訳)、池田暁史(監訳) | 岩崎学術出版社 |
「精神力動的精神医学」は、指定図書として図書館に10冊準備してある。この書籍の該当部分を、分担して各講義前に熟読し、レジメand/or PPTを作成し、30分間ほど他の受講生の前でプレゼンテーションしていただく予定である。他の受講生もテキスト、参考書、指定図書を熟読し、池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)にUPしてある「精神病理学概論」と「精神医学概論」の該当部分を事前に見ておくことが望まれる。
この講義は春期の「精神医学特論」と連動している。心身医学領域だけでなく、精神医学領域の治療論全般についても扱う予定である。履修者は春期に「精神医学特論」を履修することが強く望まれる。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 基本的にはテキストを使用する。初めにテーマ別に発表者と討論者を決める。発表者は事前に十分に内容を理解するよう努力して、それを要約したレジュメや参考文献、資料を準備するなどしてA4、2~4枚程度にまとめ、当日は他の履修者が内容を理解できるように発表する。討論者には質問と討論の中心になることが求められる。発表者には、こうした質問や討論に対応できるだけの準備が求められることになる。その後、教員が補足的な講義を行う。(討論者は設定しない場合もある。) 概ね以下の順番で行う予定であるが、参考書2、課題図書も使用していく予定である。 オリエンテーション、分担 |
第2回 | 心身症(定義、心身相関、ストレス学説、免疫、パーソナリティ、診断と治療) |
第3回 | 下記の項目のうち春期の「精神医学特論」で終わらなかった部分を引き続き行う。 1.精神障害の基礎知識 (1)統合失調症 (2)妄想性障害 (3)感情障害、気分障害 (4)器質性・症状性精神障害 (5)てんかん (6)精神作用物質による精神障害 (7)神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害 (8)性に関する精神障害 |
第4回 | (9)虚偽性障害 (10)心身症 (11)摂食障害 (12)睡眠障害 (13)パーソナリティ障害 (14)乳幼児の精神疾患 (15)児童・思春期の精神障害 (16)老年期の精神障害 |
第5回 | 2.精神科治療の基礎知識 (1)心理療法(概論) |
第6回 | (2)薬物療法 〈1〉薬物療法と心理療法 〈2〉向精神薬の薬理作用、なぜ効くのか。 〈3〉定型抗精神病薬 〈4〉非定型抗精神病薬 〈5〉抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、アマンタジン 〈6〉従来の抗うつ薬、トラゾドン 〈7〉SSRI 〈8〉従来の抗うつ薬 〈9〉気分安定薬 〈10〉抗不安薬 〈11〉睡眠薬 〈12〉その他の抗てんかん薬 〈13〉抗認知症薬 〈14〉その他の薬剤 〈15〉向精神薬の副作用 〈16〉大量服薬と中毒 |
第7回 | (3)その他の生物学的治療(電気けいれん療法、高照度光療法など) |
第8回 | (4)精神科心理社会的療法 〈1〉位置づけ 〈2〉社会療法、生活療法 〈3〉統合失調症の社会機能障害、リハビリテーション |
第9回 | 〈4〉作業療法 〈5〉デイケア 〈6〉レクリエーション療法 |
第10回 | 3.精神科関連の法と制度の基礎知識 (1)精神保健福祉法 (2)麻薬及び向精神薬取締法 |
第11回 | (3)覚せい剤取締法 (4)心神喪失者医療観察法 (5)精神障害者のための資格取得制限(欠格条項) |
第12回 | (6)成年後見制度 (7)その他(児童虐待防止法、DV防止法、守秘義務など) (8)司法精神医学(責任能力など) |
第13回 | 4.臨床心理学と精神医学の接点 (1)精神医学の関連領域(コンサルテーション・リエゾン、産業精神医学、社会精神医学など) 〈1〉コンサルテーション・リエゾン精神医学 〈2〉女性精神医学 〈3〉産業精神医学 〈4〉学校精神保健 〈5〉社会精神医学 〈6〉医療経済学 |
第14回 | (2)サイコロジストと精神科医との連携 (3)精神科チーム医療(PSW、Nsなどとの連携) (4)社会資源の活用(社会復帰施設、自助グループなど) |
第15回 | まとめと小テスト |