日本教育史
担当者佐藤 高樹教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングEDU-203

授業の概要(ねらい)

 教育学部選択必修科目(教育学系科目)である本科目は、〈教育の歴史〉という視座から、日本の社会的・文化的特色を理解することをねらいとしている。
 教育という営みは社会や歴史によって大きく影響を受ける事象である一方、人々が社会や歴史に働きかけて時代を切り拓く意図的な試みでもある。その時代の社会的・文化的状況と、その時代に生きた人々の教育意識・行動の背景を構造的に捉えるうえで、また今日への示唆を得るうえで教育史の知は有効な視座として機能する。
 この授業では、とくに近現代の教育の歴史に焦点を当て、各時期の教育制度や実践、慣行等について取り上げることで、高校時までに各受講生が学んできた歴史へのさらなる肉付けを行い、歴史認識の充実化をはかっていく。

授業の到達目標

 この科目は、日本における学校教育制度の定着から拡充、および変容といった史的展開の俯瞰、およびその中で形成されてきた教育文化の理解を目的としている。
(1)教育事象の歴史的展開とその特質、社会的背景について自分なりの補助線を引きながら解釈できる、
(2)今日の教育問題を歴史的視座をふまえつつ考察できる、
といった思考・表現のスキルの獲得を到達目標とする。

成績評価の方法および基準

(1)授業参加度(リアクションペーパー):30%(授業内容を理解し、獲得した知識を活用して自分の意見を書けるか)
(2)ミニレポート :30%(テキストや関連資料を自主的に読み、教育史に関わる知識を収集できるか)
(3)試験 :40% (評価基準:設定した問題について、授業内容を踏まえたうえで論理的に説明できるか)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『教育から見る日本の社会と歴史』(第2版)、2017年片桐芳雄・木村元編著八千代出版

準備学修の内容

(1)指定のテキストを各自読み進め、不明な点、もっと知りたい箇所などをチェックしておくこと。リアクション・ペーパーや授業を活用して、積極的に担当教員に質問してほしい。
(2)近代以降の教育のようすを伝える格好の素材として、小説が挙げられる。以下の例が代表的である。安価で購入できるので読んでもらいたい。
 夏目漱石『坊っちゃん』、島崎藤村『破戒』、壺井栄『二十四の瞳』、黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』、黒井千次『春の道標』、
 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』、灰谷健次郎『兎の眼』

その他履修上の注意事項

(1)“自分にとって教育の歴史を学ぶ意味とは何か”、“自分の住む地域・出身地域にはどんな独自の教育の歴史があるのか”など、自分なりの問題意識を持って受講すること。
(2)リアクション・ペーパー、レポートなど課題の提出が求められる。学生には主体的に参加する姿勢が求められる。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション :教育の歴史を学ぶ意味
第2回近世の人間形成・学びから近代の「教育」へ
第3回近代学校教育の成立
第4回天皇制教育体制の確立
第5回天皇制教育の展開:動揺と再編
第6回都市化・大衆化のなかの教育
第7回デモクラシーの時代と子ども:大正新教育の展開
第8回地域に根ざした教育:郷土教育、生活綴方
第9回戦時下の教育と子ども
第10回総力戦と教育
第11回戦後教育改革
第12回戦後の新教育実践と政策の転換
第13回高度経済成長と教育の拡充
第14回高度経済成長後の子ども・学校・社会
第15回まとめと評価:歴史からみる日本の教育の課題
(※受講者の問題関心に応じて、内容を柔軟に変更することがある。)