担当者 | 佐藤 光宣教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学科] | |
科目ナンバリング | EDE-201 |
経済生活に関する知識は経済現象の分析と総合を通じて生み出され、またその反省を積み重ねることによって発展し、遂に学問としての経済学として成立した。その後、幾多の経済学の学派(school of Economics)が形成されてきた。経済学とその学派に対して系統的に行われる理論的研究は、これを経済学史と称する。この経済学史は経済学の分析手段の理論的変遷を問題とする。したがって、経済学史は経済分析の歴史でもある。その経済分析と同様に歴史を幅広く辿りつつ、経済理論が依拠する思想的根拠に一層切り込んで考究する学問分野は、これを経済思想史という。このように経済思想史においては、経済学的知識の体系原理まで踏み込んで考究する。さらに、経済学を構成する種々の概念を、それが拠って立つ本質ないしは根拠において把握する試みがなされるのである。この試みは思想的解釈そのものであり、この広範な知的営みを通じて、極めて豊富な内容を有する学問としての経済思想史の実像に接近することができるであろう。本授業のねらいはここにある。
現今の資本主義という金銭文化段階(pecuniary stages of culture)にある諸社会は、極めて不安定な様相を呈している。学生には、この経済社会のなかで生き抜く力が以前にも増して求められている。加えて、我々は、問題解決能力を涵養することはもとより、何が問題なのかを見極める能力そのものが問われている。それゆえ授業の到達目標は、各時代の経済問題を的確に摘出し処方箋をともかくも提示した先人たちから、その生きる姿勢を学び取ることである。そこで授業の到達目標の細目を、次のように定める。
(1)ギリシャ時代から18世紀に至るまでの経済思想の流れを理解できること。
(2)現今の経済社会について思想的解釈ができること。
(3)経済思想の根底に置かれた特定の人間性の概念を理解できること。
(4)アダム・スミスの生涯と著作について的確な知見をもつことができること。
(5)主要な古典派経済学者たちの中心問題と人間性の概念を正しく理解できること。
前期期末試験の点数を中心に、学習到達度調査小テストと平常点によって成績を決定する。その配分基準は次の通りである。
期末テスト60%/学習到達度調査小テスト20%/平常点20%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキストは使用しない。プリントを配付する。参考書は下記の通りである。 | ||
参考文献 | A History of Economic Thought, 1954 | Eric Roll | London: Faber & Faber Ltd. |
参考文献 | 経済学説史 | 隅谷三喜男 訳 | 有斐閣、上下巻、平成14年刊 |
参考文献 | The Evolution of Economic Thought, 1963 | Jacob Oser | New York: Harcourt Brace & World |
参考文献 | A History of Economic Thought, 1977 | William J. Barber | London: Penguin Books |
参考文献 | 経済思想史入門 | 稲毛満春・大西高明 訳 | 至誠堂、昭和48年刊 |
参考文献 | The Theory of the Leisure Class, 1899 | Thorstein Veblen | New York: The Macmillan Company |
参考文献 | 有閑階級の理論 | 小原敬士 訳 | 岩波書店、昭和36年刊 |
参考文献 | The Theory of Business Enterprise, 1904 | Thorstein Veblen | New York: Charles Scribner's Sons |
参考文献 | 営利企業の理論 | 小原敬士 訳 | 岩波書店、平成8年刊 |
参考文献 | Imperial Germany and the Industrial Revolution, 1915 | Thorstein Veblen | New York: Macmillan |
参考文献 | 制度主義者たちと限界主義経済理論 | 佐藤光宣 著 | 多賀出版、昭和63年刊 |
まず、「ジャン・カルヴァンの二重予定説」についてレポートにまとめること。
次いで、総合基礎教育科目の「経済学」を履修し、その内容を的確に理解していることが望ましい。同様に、「経済学史」は必須の授業科目と言わねばならない。また、歴史について深く真摯な関心を持つことは、この授業の準備として何より有益である。さらに、世界史と経済史とを同時に学ぶことも準備学習となる。「経済思想史Ⅰ」の履修は、そのまま「経済思想史Ⅱ」の履修準備となることは言うまでもない。
なお、授業2単位週90分間の授業については、週180分以上の授業時間以外の学習時間が必要である。本授業も、その例外ではない。
経済思想の歴史を理解することは、先人たちの知的格闘を通じて建設された経済学に対して畏敬の念を深めるに違いない。学生は授業に臨んでは、経済学的および歴史的な観点から物事を考える態度で聴講し、読み書きすることを望む。授業の内外を通じて行われるであろう勉学は、この授業が学生に対して最も欲するところである。
なお、毎回の授業に際して学生は勉学のための秩序を乱すことのないよう、まず要望する。また、一貫した知的環境のなかで授業が成立するよう、併せて要望する。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 自己紹介。授業の内容と予定 ―シラバスの解説を中心として― |
第2回 | 経済思想の歴史とその概要 ① ―経済思想の淵源から古典派経済学が集大成されるまで― |
第3回 | 経済思想の歴史とその概要 ② ―新古典派経済学と制度主義経済学を中心として― |
第4回 | 経済思想の淵源 ―プラトンの「理想的社会」とアリストテレスの「クレマティスティケ」― |
第5回 | 中世キリスト教神学と経済思想 ―トマス・アクィナス(Thomas Aquinas)の社会経済思想― |
第6回 | 重商主義の経済思想 ―ジェームズ・ステュアート(Sir James Steuart)と「政治家率先」― |
第7回 | 重農主義の経済思想 ―フランソワ・ケネー(François Quesnay)の『経済表』とその経済政策論― |
第8回 | 古典学派の経済思想 ① ―アダム・スミス(Adam Smith)の生涯と著作― |
第9回 | 古典学派の経済思想 ② ―アダム・スミスの人間性の概念と中心問題― |
第10回 | 古典学派の経済思想 ③ ―アダム・スミス経済理論のニュートン主義的性格― |
第11回 | 古典学派の経済思想 ④ ―アダム・スミス著『道徳情操論』と『諸国民の富』との内面的関係― |
第12回 | 古典学派の経済思想 ⑤ ―デイヴィッド・リカード(David Ricardo)の人間性の概念と中心問題― |
第13回 | 古典学派の経済思想 ⑥ ―デイヴィッド・リカードの労働価値説とジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham)― |
第14回 | 古典学派の経済思想 ⑦ ―トマス・ロバート・マルサス(Thomas Robert Malthus)の人間性の概念と中心問題― |
第15回 | カール・ハインリッヒ・マルクス(Karl Heinrich Marx)の経済学 ―『資本論』の基本概念と現代的意義― |