実践発達科学Ⅰ
担当者近藤 清美教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングDEP-201

授業の概要(ねらい)

 本講義では,発達上で生じる様々な問題について論じながら,発達的な視点をもって心の問題を解決する視点や方法について学ぶ。
 発達は生まれてから死ぬまでの人の一生を扱い,個人のパーソナリティや特性だけでなく,社会や政治情勢,文化,歴史との関わりを抜きにして論じることはできない。また,発達は過去から現在,未来をつなぐ時間的流れの中にあり,前の世代から次の世代へとの重なりも重要な要素である。
 人生に生じる様々な問題について,発達という視点で見直してみると,どのように違った様相が見えてくるのか本講義では考察する。また,その様相をどのようにして把握すればいいのか,それに対してどのような解決方法があるのかを本講義では,参加者同士の討議を通じて考える。
 授業では,統計資料や実際の事例を提示し,与えられた情報を分析したり,他の人の考えを聞いたりして,様々な問題に対して自分なりに考える力を身につける。子どもの問題だけでなく,自分たちがこれから直面する大人の問題や高齢者の問題についても考える。

授業の到達目標

 ①発達的な視点をもって心の問題を考えることができるようになる。
 ②現代社会における発達上の問題について関心をもち,原因や対応方法について説明できる。
 ③統計資料や事例を読みながら,自分なりの考えをもち,発表することができる。

成績評価の方法および基準

特定の発達上の問題を取り上げ,レポートにまとめる(50%),リアクションペーパーの記述や授業中の発表内容(50%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書よくわかる臨床発達心理学麻生武・浜田寿美男ミネルヴァ書房
参考文献発達心理学秦野悦子・近藤清美医歯薬出版
参考文献臨床発達心理学の基礎山崎晃・藤崎春代ミネルヴァ書房
参考文献子どもの臨床発達心理学:未来への育ちにつなげる理論と支援 西本絹子・古屋喜美代・常田秀子萌文書林

準備学修の内容

授業の前の週に資料を渡されることがある。また,教科書の該当するページを前の週に指定されることがある。それらの資料を読んできて授業に備えること
興味の引かれた発達上の問題について,さらに自分で調べて学修を深めるように

その他履修上の注意事項

・レポートを提出することがこの科目の単位取得の条件です。
・授業中の積極的な討議への参加を求めます。
・授業中の私語や迷惑行為に対してはペナルティを科すので注意してください。

授業内容

授業内容
第1回人の生涯の流れと発達段階
第2回人生移行と発達上の危機
第3回今まさに直面する危機:青年期のアイデンティティの問題
第4回親からの自立と恋愛,結婚:恋愛しない症候群を巡る問題
第5回社会情勢と職業選択:ニート,ひきこもり,就職支援とキャリアカウンセリング
第6回学校における問題(1):いじめ,スクールカースト,子ども達の社会的スキル支援
第7回学校における問題(2):不登校,学校の意味の変遷,様々な学びの形
第8回気になる子:集団になじめない子,不器用な子,引っ込みじあん,何が問題なのか
第9回子どもの貧困:経済状態と子どもの発達
第10回子どもを作ること:親になることの発達,ワンオペ育児と父親の役割
第11回生殖医療と子どもの権利,「私の出自」
第12回子育て:育児不安,子ども虐待,子育て支援,アロマザリング
第13回中年危機,中年の自殺,2回目の青春とアイデンティティ危機,世代間関係
第14回認知症と高齢者介護,高齢者虐待,サクセスフルエイジング
第15回実践発達科学における学際的アプローチと問題解決の方法に向けて