担当者 | 山田 博雄 | |
---|---|---|
単位・開講先 | 選択 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | HIT-201 |
政治現象の根底には、つねに利害と価値をめぐる闘争の側面がある。その点を知らなければ、政治の現実を正しくみることは難しい。思想・歴史を学ぶことを通じて政治を見る目が大きく開眼し、自立した判断を下せるようになってくれればと思う。具体的には、明治期日本の主要な政治思想を、おおよそ時代の推移に沿ってみていく。そしてそこに現れる普遍的原理と現実政治の乖離の問題や政治思想の果たすべき役割の問題などを考えてみたい。
一つは、日本政治思想史の重要概念を修得すること。二つは、日本政治思想史を構造的に把握し、そこに内在する問題を認識し、その解決にむけた方向性を明示する能力を身につけること。
レポート課題(3回。授業内容、および参考文献に関するものについて書く)60%、及び、ほぼ毎回の授業における「リアクションペーパー」40%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | 『明治精神の構造』 | 松本三之介 | 岩波現代文庫 |
参考文献 | 『福翁自伝』 | 福沢諭吉 | 慶應義塾大学出版会ほか |
参考文献 | 『学問のすゝめ』 | 福沢諭吉 | 慶應義塾大学出版会ほか |
参考文献 | 『三酔人経綸問答』 | 中江兆民 | 岩波文庫または光文社古典新訳文庫 |
近代日本の政治思想がいかなる歴史的状況から出発したか、教科書の「Ⅰ明治精神のバックボーン」(14~
26ページ)を基本的視座として、授業内容を整理してみる。また、歴史とその人の生涯を知るために福沢諭吉
の『福翁自伝』をあらかじめ読んでおくことを推奨する。「文学」としても、この自伝は傑作だから。
できれば日本の近代史などを履修しているのが望ましい。また、学問の基本には、本を読むという一面がど
うしても必要なので、読書する習慣のある人の受講が望ましい。もう一つ、各受講生がいかに自ら「問い」を立てられるか、いいかえると、単に様々な知識を覚えるのでなく、自分で問い、かつ考えようとする意欲ある人の受講を望みたい。講義での遅刻や私語の厳禁などはいうまでもない。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | 日本政治思想史を学ぶ意味(および教科書「はしがき」) |
第2回 | 教科書「序章 明治精神への視座」(1~11ページ) |
第3回 | 明治精神のバックボーン(国家主義)、教科書(14~19ページ) |
第4回 | 明治精神のバックボーン(進取の精神と武士的精神)、教科書(19~26ページ) |
第5回 | 啓蒙の精神――福沢諭吉(幕末体験と思想形成)、教科書(28~35ページ) |
第6回 | 啓蒙の精神――福沢諭吉(文明の精神、文明と国家)、教科書(36~50ページ) |
第7回 | 民権の思想――植木枝盛(民権とナショナリズム)、教科書(52~63ページ) |
第8回 | 民権の思想――植木枝盛(国家と個人)、教科書(63~71ページ) |
第9回 | 民権の哲学――中江兆民(「東洋のルソー」)、教科書(74~81ページ) |
第10回 | 民権の哲学――中江兆民(自由と立憲)、教科書(81~97ページ) |
第11回 | 平民主義の思想像――徳富蘇峰(地方青年の思想的模索)、教科書(100~109ページ) |
第12回 | 平民主義の思想像――徳富蘇峰(平民主義の提唱)、教科書(109~117ページ) |
第13回 | 国粋主義の国家像――政教社の人びと、教科書(120~135ページ) |
第14回 | 愛国と平和主義――内村鑑三、教科書(138~160ページ) |
第15回 | 黎明期の社会主義――平民社の人びと、教科書(162~187ページ) |