環境政策と法Ⅰ
担当者長島 光一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングPOS-301

授業の概要(ねらい)

 「環境政策と法」では、どのような政策によって環境を守っていくのか、環境を守るために、法はどのように機能するのかについて考えてきます。環境政策を理解するためには、その対象(様々な環境問題の政策課題)を理解するとともに、方法(環境に関する法の分野とその機能)についても理解する必要があります。環境問題は、公害だけでなく、自然保護や気候変動防止など、国内外で多くの検討課題が次々に登場しています。また、環境に関する分野は幅広く、法律(環境法)も多種多様になっています。
 そこで、政治学科の科目であることから、法学の基本的な知識を確認するとともに、環境政策と環境に関わる法について学んでいく形式の授業にします。法律学が苦手、理解できていないと思う学生にとっても、法律学を確認するとともに、環境分野で法律をどのように活用するのかという応用の視点で考えてもらえればと思います。
 法律学は、社会の様々な問題とつながっていて、あらゆるテーマとも繋がる学問です。この授業では、環境政策にスポットを当てて、テーマごとに様々な事例を通じて、法学の全体像を理解し、環境問題を通じて、法の役割と限界について問題意識を持ってもらい、法律学で何をどこまでできるのかを一緒に考えます。また、それに加えて、法では解決できない問題について、政策にも目を向けることで、法律と政治のしくみを学ぶ作業をしていきます。
 環境政策と法Ⅰでは、法に重点を置いて、法分野ごとに様々な環境問題が、法とどのように関係するのかを勉強します。
 なお、ゲストスピーカーを呼ぶ予定もあります。

授業の到達目標

①環境問題に対して、法がどのような役割を担っているのかを理解する。
②環境政策がどのように進められ、現在のどのような課題があるのかを理解する。
③法学の基本的の知識を理解し、環境政策を考える上でどのように使うことができるか、レファレンス能力を身につける。
④政策立案における法の役割を理解し、環境問題に対して、どのような対応ができるか意見を述べることができる。

成績評価の方法および基準

学期末にテストを行い評価します(70%)。
また、毎回、リアクションペーパーを求めますので、そこで書かれたことや発言等も重視します(30%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『環境法入門(第3版)』交告尚史=臼杵知史=前田陽一=黒川哲志有斐閣
参考文献『法学入門』奥田進一=高橋雅人=長友昭=長島光一編成文堂

準備学修の内容

 予習について、教科書の次回の該当頁を事前に告知しますので一読することをお勧めします。また、レジュメに次回の学ぶ範囲の課題を提示しておきますので、それについて自分の考えをまとめておいてください。
 復習について、毎回のレジュメの最後に演習課題を出しますので、各自取り組んでみてください。(翌週に解説します。)

その他履修上の注意事項

環境問題は身近な課題です。「自分だったら、その問題に対してどのように対処するのか?」という問題意識をもって臨んでほしいと思います。
 なお、講義では、ドラマや映画、アニメ、ニュースなども取り上げ、環境政策との関連に言及します。幅広い知識と関心をもって臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:環境政策を考える上での基本的な法の視点を理解します。
第2回法学の全体像:法学の全体像を理解した上で、環境法の体系・法原則について理解します。
第3回環境と立法:どのように法律がつくられるのかを学び、環境政策をどのように実現するのかを考えます。
第4回環境と憲法・人権:憲法の人権の考え方を理解した上で、環境権について考えます。
第5回環境と憲法・統治:憲法の統治のあり方を理解し、法律がどのようにできるのか、環境基本法やその他の環境立法の成立過程を例に理解します。
第6回環境と行政法:行政法の基本的な考え方を理解した上で、環境行政の課題を探ります。
第7回 環境と民法:民法の基本原則や不法行為を学び、四大公害事件から民法の課題とその克服の歴史をたどります。
第8回環境と企業法:商法や会社法を理解し、環境ビジネスについて考えます。
第9回環境と刑法:刑法の犯罪成立要件について学び、環境犯罪の是非を検討します。
第10回環境と裁判:訴訟手続の流れを理解し、環境訴訟の困難さに対する克服を考えます。
第11回環境と法政策:どのように政策を立案するのか、景観問題を参考に考えます。
第12回環境と国際法:国際的な合意をどのように実現して国際条約が作られるのか、環境保護の条約を例に理解します。
第13回環境から考える法と科学のあり方:科学に対して法がどのように接すべきか、原発問題から考えます。
第14回現代の環境問題の法的課題:法哲学を参考に、法主体として一人一人の役割を理解することで、自然保護問題にどのように立ち向かうのかを考えます。また、東日本大震災等の災害についても考えます。
第15回まとめ:これまでの講義で触れた事項の要点を確認するとともに、時事的なトピック等を法学の視点で検討します。